針ノ木岳・蓮華岳 2002年8月3日(土)晴れ〜4日(日)曇りのち晴れ
さあ、いよいよ針ノ木雪渓だ
日本三大雪渓の一つ、針ノ木雪渓を登り天然クーラーで涼んでこよう。それに蓮華岳にはコマクサの群落があるらしい。そして針ノ木岳は素晴らしい展望が期待できる。のんびり小屋泊まりで行くはずだったが…
【山 名】 後立山 針ノ木岳(2,821m)、蓮華岳(2,799m)
【同行者】 トラベエさん御夫婦、酒呑童子
【行 程】 8/3 扇沢P…大沢小屋……針ノ木峠……蓮華岳……針ノ木峠(テント泊)
0625 0735-0745 1120-1340 1530-1600 1650
8/4 針ノ木峠…針ノ木岳…針ノ木峠……蓮華岳……針ノ木峠…大沢小屋…扇沢P
0430 0526-0625 0740-0900 1010-1025 1110-1120 1255 1405
【地 図】 鹿島槍・黒部湖(1/50,000図 昭文社エアリアマップ 36) 、黒部湖(1/25,000図)
暑い!涼みに行こう!よし雪渓歩きだ。天然クーラーで涼める針ノ木雪渓からコマクサ咲き乱れる蓮華岳へのんびり小屋泊まりで行きましょうと話が決まったのは木曜日だ。最初は単独で雪渓から針ノ木岳、そして赤沢岳方面へ縦走路を北上し種池山荘から扇沢に戻る周回コースを以前から考えていた。しかし、この暑いのに縦走は厳しそうだ。雪渓ピストンコースと縦走、この2案をNさんに提示したが「この暑さ、縦走コースは考えられない。でも私は都合で行けない。頑張ってきてね」とのご意見。やはりねえ、この一言で縦走案はあっさり引っ込めることになった。そしてトラさん御夫婦との話がトントン拍子でまとまり今回の山行になった次第である。
「じゃあ、明日(金曜日)山小屋予約しておきますから…」と請負い、早速電話「予約お願いです」「う〜ん、その日はめちゃくちゃ混みますよ。来れば泊まれないことは無いけどねえ…テント場もありますよ」との返事。で、急遽トラベエさんに連絡「どうしよう! テントが無難みたいですけど…」「じゃあ、テントにしよう。峠まで頑張ればあとは楽だしね」と決定。
帰宅後、小屋泊まりで準備していた装備をテント泊用に変更。出発時間が迫ってくる。準備で汗だくになってしまった。そして22時少し前にトラベエさん宅へむけ出発。慌ててきたので忘れ物無いかなあと不安だった。そしてお二人をピックアップしていざ扇沢へ出発。午前1時25分深夜、駐車場着。結構な混みようだ。見上げれば満天の星空だ、明日は晴れるぞ!さっそく、車の横の狭いスペースに愛用のテントを設営し、明日の健闘を祈り軽くビールを嗜む。今宵は飲み過ぎないぞと強い決意。飲み過ぎた戸隠山の失敗が脳裏をよぎる。
じゃあ、お休みなさいと奥様は車内へ戻る。さあ、明日は晴れるかなあ…我々はテントで思いっきり体を伸ばしてゆったり寝ることができた。そして朝。既に早立ちの人達でざわついている。山に陽があたり赤くなっている。空は思った通りの真っ青!トロリーバス乗り場では長い行列が続いていた。立山方面へ行く人の方が圧倒的に多いようだ。しめしめ、針ノ木の方は空いてるかもね。今年二度目のテント泊、もう年かなあ…ザックの重さが肩に食い込む。今日は18kg位かな?
何度か車道を横切り、いよいよ登山道に入る。時々針ノ木岳が見える樹林帯、ブナの林で太陽が遮られ時々吹く風が心地よい。沢を二度ほど横切り大沢小屋に到着。「おまえ達何時間くらいでここまで来た?」とご主人「1時間ちょっとかな」「山頂までは3時間半だな」とご託宣を受ける。快活そうなおじさんだった。小屋前には百瀬慎太郎氏の詠んだ「山を思えば人恋し 人を思えば山恋し」と刻まれたレリーフがあった。
ここから30分も歩いただろうか、ダケカンバの樹林帯をすぎ、一気に展望が開けると雪渓があらわれた。右手の山腹にはニッコウキスゲだ。山肌の緑、空の青さと白い雲、そしてちょっと汚れているが白い残雪…夏山の雰囲気がいっぱいの景観だ。奥に見えるのが針ノ木岳かな?
雪渓手前で6本爪アイゼンを装着。爽やかな一筋の風が頬をなぜる。う〜最高!天然クーラーだあ\(^0^)/
二本ストックとアイゼンで快適な登りが続く。しかしザックの重さで次第に快適さより苦しさの方が増してくる。風よ吹け!雪渓上には大きな石がゴロンゴロンとしている。いつの日か音も無く転げて来るんだろうな…今日は見通しも良く落石の恐怖はあまりわかなかった。ノドと呼ばれる雪渓が狭くなったところはかなりの急登、休み休み登る。振り返れば、綺麗な三角形の爺ケ岳が見事だ。しかし少しガスが出てきた感じだ。さあ、雪渓もあと少しだ。頑張ろう!!
しかし体力の衰えは隠せず少しづつ休む回数が増えていた(^^;;;
雪渓も最後となり、左手の登山道へとアイゼンをはずして進む。大きな岩を過ぎるとだんだん傾斜が急になってくる。そして右の斜面をジグザグに登る。滑りやすい砂礫地で石を落とさぬように神経を使いながら登る。トラベエさんは重い荷物のためかちょっと息が上がっている。がんばれえ!もう少しだよ。しかし奥様は元気だ。あとでわかったことだが、奥様のザックはそれほど大きく見えないが、中には沢山の重い物がぎっしりと詰め込まれていたのだ。
もう登りもわずかとなると元気が出て最後の気力を振り絞り、一気に針ノ木峠へとたどり着いた。おおおおおっ、素晴らしい展望だ。槍が岳も見えてるよ〜ちょっと雲が多いけどね、目を凝らせば大丈夫でした。テントの受付をして小屋の右手から少し登ったテント場。さあ、ビールを残雪に埋めて冷やしてる間にテントの設営。
でも割り当てられたところが狭くてトラさん宅は設営困難。それに夜中に寝ぼけてテントから飛び出したりしたら、雪渓を真っ逆様。強風でも吹こうものならテントごとせっかく登った雪渓を滑り降りそうな場所だった。やばいねえと奥様が場所変更の交渉。で、我が家とは少し離れた場所に設営となった。
「さあ、ビールも冷えたよ〜」と雪から掘り出し「乾杯!!!!」ごっくんと旨い。このビールは奥様が頑張って運んだものです。そのあともいろいろと、おいしい物をいただき、ありがとうございました。ザックが小さいねえなんて行って失礼(^^;;; 重さは我が輩とあまり変わらなかったんでは…
トラさん宅は槍が岳が見える絶好地、でも少しトイレのにおいがするんだって(^^;;; 我が輩宅は赤沢岳方面の展望が素晴らしい。でも夜は寝とぼけないようにしなくっちゃ…
一眠りして蓮華岳に行こうと決定。目覚めてトラベエ宅に伺うと「頭が痛い!腹が痛い!足が痙攣だ〜」とトラさんが苦しそうに唸っていた。
どうしたの?飲み過ぎ?高山病?熱中症?…
奥様が「トイレに行って歩き出せば直る!」と檄を入れるがトラベエさん、起きあがる気力無し。少し寝ていれば直るだろうとの事で、「元気になったら追いかけてきてね〜」と、奥様と二人で蓮華岳をめざす。
トラベエさんどうしたんだろうね?そんなに飲んでないんだけど(ビール一本くらいかな?)寝不足、暑さで参ったんだろうね、せっかくコマクサ楽しみに頑張って登ってきたのにねえ…
写真いっぱい撮って見せてやろうねと登り始める。最初は結構急な登りです。振り返れば針ノ木方面が対面にそそり立っていいる。明日はあっちか、トラベエさん元気になってねと思いながら登っていると、勾配も緩くなりぽつりぽつりとコマクサが現れてきた。山頂もどきのピークを少し下ったところに白いコマクサが咲いていた。これは行き会ったおじさんから「ここ下ったら珍しいコマクサあるよ」と教えてもらったから気づいたものです。おじさんありがとね
奥様が旦那様のために必死にデジカメで撮影。時間はたっぷりありますからのんびり登りましょう。針ノ木方面はガスって来たが、蓮華方面はまだ青空が見えている。ピークを超えると山頂とおぼしきところが見える。この頃からがすってきて景色が見えなくなってきた。チングルマやタテヤマリンドウその他の花が現れてきた。奥様デジカメ撮影頑張る。慣れないためか、時々アレッなんて言ってたが、カメラをのぞく姿は必死だ。夫にこの景色、この花を見せてあげたいという愛は強し(~0~)
山頂はどこ?先ほど山頂と思ったところは偽ピーク。いったん下ってさらに登る。しかしわずかな登りでrのあり、花を愛でながらの稜線歩きはルンルン気分。これで展望良かったら最高だね。山頂がちかずくにつれコマクサやその他の花が多くなってきた。そしてようやく山頂着です。コースタイム約1時間のところ、1時間50分もかけてしまった。これぞ山頂テント泊のおかげです。あまり時間気にしなくて良いもんね、トラさんのことは気になるけど…
雲行きは忙しい。少し待てば晴れるかもと期待して三角点のある岩場で空を眺めて休憩。30分ほど粘りましたが、展望は回復せず。頭上には青空が見えているのにね。神様仏様、私の大展望を!との願いは届かなかったようだ。あきらめて下山開始。下りはそこそこ急いで下る。名残惜しそうに山頂を振り返りながら…
帰りに小屋をのぞくと「今日は大混雑、一畳に3人です」と書かれていた。うひゃああ、テント担いできて良かったね。さて、トラベエさん待ちくたびれただろうなあと、トイレの脇の岩場を登る。そこには元気になったトラさんがビールを飲んでいた。冷たく冷えたビールを「はい、どうぞ」って差し出された。いやあ、やっぱりビールは旨い。トラさん、その後体調も戻り、途中まで登ったとのこと。「いやあ、コマクサたくさんあったよ!」とデジカメのモニターで満足してもらう。
さて、晩御飯です。明日の予定はどうしようか?まずは針ノ木でご来光を仰いで、その後天気良かったらトラさん一人で蓮華岳行って来る。僕たち途中でビール飲みながら待ってるから…と楽しい語らいながら夕食。このときも奥様のザックからはいろいろの物が…「また一緒に登ろうね、その時もおいしいものお願いね」等とは口に出して言わなかったが、期待しよう(^^;;;
さて明日は晴れるだろうか?今日は夕焼けを望むことはできなかったが…
花の写真はこちら 山の写真はこちら 後半へ続く