上越 タカマタギ山 その1
2002年3月16日(土) 雨のち曇り時々晴れ、無風岳人(山の雑誌)に以前載っていて気になっていた山である。谷川連峰の大パノラマを望む、好展望の山「タカマタギ」。無雪期は藪で歩けそうもない。標高差約900mはトレースがないと厳しそうだが、以外と知られた人気の山、トレースも期待できるかも…。よし、行こう 棒立山から望むタカマタギ
【山 名】 上州 タカマタギヤマ(1,529m)
【メンバー 】 単独
【行 程】 毛渡橋…登山口…鉄塔…1,040mピーク…棒立山……タカマタギ山
0855 > 0910 1100-1125 1245-1310 1355
1630 < 1610 1540-1525 1455-1450 1430
【地 図】 土樽(1/25,000図)、谷川岳(昭文社エアリアマップ1/50,000図)
晴れの予報だが、新潟方面は朝のうちは雨という。日本全国、晴れ模様だし大丈夫だろうと出発する。この時期、関越道はスキー客で結構混雑する。朝早く17号経由で行こうと早起きを決意する。しかし今日も少し出遅れた。最近、体力の低下かそれとも夜更かしのせいか…なかなかすっきり起きれない。
久しぶりに電車利用も良いかなあと調べたが、JR土樽着が8時半過ぎ、それに帰りも本数が少ない。
もう少し本数が多ければなあと思いながら、愛車で5時半過ぎに伊勢崎を出発。前橋を過ぎ、沼田あたりでいつもは見える谷川岳は雲の中、う〜ん、駄目かなあ…国道17号で猿ケ京経由は結構時間がかかる。水上から湯沢迄は関越道を利用しようと決定。しかし依然谷川岳は姿を現さない。反対にポツリポツリと雨が落ちてきた。空は益々どんよりとととしてきた。
大峰山あたりは晴れているので、こっちにしようかなあと思案する。でも、晴れると言ってたからなあと良い方へ期待し、関越に乗る。長いトンネルを過ぎると新潟県、全く青空はなくなり雨がひどくなってきた。おまけに湯沢ICはスキー客だろうか、長〜い列で路側帯で順番待ち。雨はまだ降っている…
土樽へ向かう。何となく空が明るくなってきた感じ。毛渡橋の近くに平標山への登山道を示す標示があった。既に2台の車、1台は荷物と人をおいてどこか別の所に停めに行ったようだ。大きなザックを持ったパーティーである。雨はまだ降っている。しばらく様子を見る。土樽駅の方からも数人のパーティーが雨具をきてやってきた。こちらもテントみたいだなあ…待っているうちに雨も小降りになったような雰囲気だ。山の上の方は厚い雲で全く見えないが、天気予報を信じて登ることに決定。逡巡すること約30分、出遅れたんでタカマタギまでは無理かも…まあ、天気も良くないし、様子見のつもりで1,040mのピークか、できれば棒立山迄行ければ良しとしよう。
2つのパーティーが登ったことだし、トレースは問題なかろうと、今日は12本爪アイゼンとワカン、ストック2本、それにゴアの雨具とした。ピッケルは不要だろう。念のためにフリースとオーバーズボン、目出棒、オーバー手袋はザックに入れた。暖かいとはいえ山の上はどうか分からない。まだまだ寒さ対策は必要だろう。
さて、出発。さっそく関越道とJR上越線の鉄橋をくぐり林道を北へ向かう。鉄橋の下で先ほどの1組のパーティーが身繕い中、雪はいっぱいだがたくさんの踏み後があり一安心、でもズブズブとけっこう潜り歩きにくい。杉林の鬱蒼とした林道を緩やかに歩く。やがてとりつきと思われる尾根の手前に到着。赤い目印があった。上の方を見るともう一組のパーティーが尾根の上を歩いていた。もう少し先から登ったのだろう。急斜面にはトレースがなかった。まあ、いいか、ここから登ろうと進む。だいぶ前のトレースはあったので、ここから登る人もいるんだろう。雪が締まっているのでどこからでも登れそうな雰囲気だ。
空はどんより… 最初の取っつき 鉄塔付近から足拍子方面
とは言っても結構急な取り付きだ。ジグザグに登りながら尾根に出てわずかで鉄塔に着いた。このころ雨はやんでいた。振り返ると足拍子山と思われる山容が雲の中から少しずつ見えてきた。上の方は青空さえ見えてきた。雨具の上を脱ぐ。鉄塔あたりの尾根は左の谷筋は雑木林でどこでも歩けそうな感じ、右は杉林で登山者のためだろうか枝打ちしている。そしてすぐに雑木林となる。マンサクの花がところどころに咲いていた。雪山で見るマンサクはより黄色く見えた。
少し進むともう一組のパーティーが休んでいた。この先は今日のトレースは無く、以前に歩かれたちょっと不明瞭なトレースがたくさんあった。結構人気の山なんだなあと徐々にきつくなる登りを、靴の先を蹴りこみキックステップで登る。ふくらはぎ位まで埋まるが、ワカンはまだ不要だ。坪足の方が歩きやすい。急なところは膝で雪を崩し足の踏み場をつくる。なかなかしんどい。まあ、そのうちあのパーティーが追いついてくるだろうと考えながら登る。そして1,040mの松川の方から続く尾根の広い台地に到着した。棒立山上部は厚い雲に包まれている。しかし、足拍子から谷川方面は明るく、時々山が姿を見せる。あの尾根に続く山頂は茂倉岳かなあ、ちょっぴり山頂がのぞいている。この分なら、そのうちこちらも晴れてくるだろう…
あちこちに古いトレースが 1,040mピークから足拍子方面 棒立山方面(左のピーク) 天候回復の兆しに気をよくし、偵察山行のつもりだったが、山頂をめざすことに変更した。山頂到着予定は14時に設定。それより遅くなるようなら途中で引き返そう。まずは棒立山だ。しばらく休んでいたがパーティーはやってこない。この先は全くトレースがない。嬉しい反面、ラッセルの苦しさが胸をよぎる。
このピークまでは、それなりに踏み後があったが、ここから先は全くない。前日の雨は、このあたりから上は雪だったようだ。気持ちよく続くブナの枝は樹氷となっている。この雪がトレースを消してしまったのだろう。さわやかな風にサラサラと樹氷が舞い落ちてくる。雪面はこの樹氷の絨毯でちょっと変わった雰囲気。心配したトレースもふきらはぎから膝くらいまでだ。ときどきクラスとしたところもあるが、アイゼンをつける必要もない。坪足で進む。
気落ち良いブナ林が続く。左側は急斜面だ。用心して右寄りを歩く。右側はとても気持ちよさそうなブナの林とまろやかな雪面。そういえば、ここは動物の足跡が全く見あたらないなあ、舞い落ちた樹氷がトレースを消してしまったのだろうか?そしてずっと右の尾根は山肌がいたるところ、パッチを当てたように雪崩の後が痛々しい。怖いなあ…
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