上越 タカマタギ山 その2
1,040mピークから望む棒立山
左側からの尾根が迫ってくる。
あの向こうには険しい雪庇が隠れているだろう。厳しい斜面となってきた。
キックステップで登ろうとするが、一歩進んで2歩下がる感じでなかなか進まない。ストックをグイと突き立てて踏ん張り、2,3度靴を蹴りこみ足場を広げる。そして膝でぐっと雪を押しつける。こうしないと次の一歩が出ないのだ。直登は厳しいのでジグザグに登る。しかし、ジグザグに登るのも、ズルッとずり下がりそうでなかなか苦しい。
振り返るが後に続くパーティは全く姿を見せない。
しょうがない、今日は最後まで先頭だと固く気を引き締める。木々の間からは谷川連峰の雲がとれ全貌を表しつつある。元気百倍だ。
直登、ジグザグと適当に組み合わせて登る。あそこがピークかなあ…ま〜るい地平線のような雪原、よ〜しあと100歩休憩せずにのぼるぞと気合いを入れる。予定では先ほどのピークから1時間と見ていたが、思わぬ急登とラッセルに時間をとられ、20分超過でついに棒立山に立つことができた。
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厳しい登りです |
谷川岳も見えてきた |
サラサラの樹氷が… |
ピークでは、それは素晴らしい景色が待ち受けていた。標高差は約100m位しかないのに立派な山容を見せるタカマタギ!!谷川岳の山々に負けずに立派な山容だ。そしてそれに続く日白山から平標山から仙ノ倉山から万太郎山、茂倉岳、そして新潟の方の巻機山から越後三山の山々…しばし呆然といった感じで見とれてしまう。天気の神様に感謝しよう。見た限りタカマタギは意外と近く感じる。青空はないが、天気も回復し、予定の14時着は大丈夫のようだ。この先もトレースは無いが、ここまで頑張ってきて気分も良い。よ〜しこうなったら誰にも先頭は譲らないぞ〜(^_^;)
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棒立山はもう少し |
棒立山から望む茂倉岳 |
タカマタギ中腹より棒立山 |
いったん40m程稜線沿いに下る。左手の雪庇に近寄らないようにグングン下る。下りは快適そのものだ。そして鞍部に降りて見上げるタカマタギ。意外ときつそうでなく一安心。棒立山の登りに比べれば緩やかに感じる。急登を登り切ると、少し尾根歩き、そして待望の山頂だ。予定の14時少し前だった(^_^;)
山頂からは、申し分ない360度の大パノラマが広がる。谷川の山々の雲もバッチリととれている。今朝の雨模様を考えれば、青空があったらなあと思うのは罪あたりだろう(^_^;) ひとつひとつ地図でピークを確認する。こちらからは茂倉岳、万太郎山の姿がひときわ印象的だった。それぞれ厳しい尾根から登ったときのことを思い出した。いやあ、あの長い尾根よく頑張ったなあ、今でもあの体力は残っているかな?
今日もこの素晴らしい景色を誰かに伝えようと無線でCQを出す。地元新潟、埼玉熊谷の局、関越移動の3局と交信することができた。QSL交換の約束をする。これでまたJARLの会費を納めなきゃいけないなあ(^_^;)
棒立山の方を見ると数名がこちらに向かって歩いている。さてそろそろ下山としよう。最後にグルッと展望を見納めデジカメで動画を撮影。写りはいまいちだが、まあ記念にはなるし自分で楽しむには手頃だ。そういえば苗場山の方は余りよく見ていなかった。谷川の迫力に押されてるのかなあ。最後にもう一度じっくり眺めて下山する。
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急登を終えタカマタギ山頂 |
素晴らしい展望。後方は谷川連峰 |
日白山への稜線 |
途中で二人組とすれ違う。「先頭は厳しかったでしょう」とねぎらいの言葉をもらった。山頂付近で雪洞泊とのこと。いいなあ、素晴らしい夕日がみれれば良いですねと分かれる。その後少しして3人パーティーと出会う。こちらはテント泊とのこと。「日帰りですか?頑張りますねえ…こっちはテントで宴会!」とうらやましい言葉。いいなあ…そして棒立山との鞍部では二組がテント設営中。朝いちに登った二組のようだった。こちらも山の一夜が待ち遠しいように晴れやかな笑顔、賑やかだった。
棒立山によっこいしょと登り返し、改めてタカマタギを振り返る。何度見ても立派な山だ。これから登りで苦労した急な下り。たくさんの人が我が輩がつけたトレースを忠実にたどっている。いやあ、満足感をひしひしと感じる。でもそんな中でも意地っ張りがいて人と違うところを歩いている。そうだよね、こんな気分のいい雪、
思いっきりあちこちトレースをつける気分は最高ですよね。
ブナ林を過ぎ、1,040m手前のピークにもテントが二張り、ランニングシャツ姿になっている。横には雪のブロックで築いた雪洞?トイレ?いいなあ…ピークを過ぎ、雑木林を下る。このころはもう気温が高く、人もたくさん歩いたせいか、綺麗なステップとなっている。
でも、ちょっとぐずぐずした雪のため、急いで下るとそのステップを崩してしまう。急坂が終わったあたりにたくさんの人達が横一列に雪洞を掘っていた。いやあ、大人数。さらに進むと、今度はテントがまた二張り。女性の方が多いパーティーだ。女性から「飲んでいかない。おいしいよ〜、もう帰るの」と声がかかる。いやあ、賑やかだ。寄っていきたい気分になったが、社交辞令だろうから清く辞退して下る。
やはりこの山は隠れた人気の山のようだ。標高もそれほど高くなく、樹林の中では風もそれほどでないので雪洞やテントでもこの時期だったら楽しい冬山気分が楽しめるんだろうなあ。何度も何度もうらやましいなあと思った次第です。今度は相棒見つけて雪洞泊してみたいなあと思いつつ林道を歩いて毛渡橋に着いた。帰路は気分良かったので関越道利用で帰宅した。2,500円の威力は凄い。やはり世の中金かなあ(^_^;) 1時間40分で到着。いいなあ、近くて良い山、タカマタギ。また青空の時、行ってみたいなあとビール飲みながら山行を振り返った。