白根三山縦走 2002年9月21日(土)晴れ〜22日(日)曇り時々雨、晴れ
間ノ岳方面より北岳を望む
連休だ!テント担いでどこか行こう。と思った。そうだ、なかなか遠くて行けない白根三山縦走をテント定着でのんびり歩こうかと決定。でも週末の天気はあまり芳しくない。で、軟弱に小屋泊まりに変更した。しかし三日の予定を二日に短縮したため結構な厳しい歩きとなった。最後の最後まで迷った。連休最後の月曜日は雨模様、日曜日も午後あたりから怪しいとの天気予報。それに最近の結構な冷え込み。う〜ん、テント泊に未練がある。今回を逃すともう今年はテント泊のチャンスはなさそうだ。テントから顔を出しのんびり星空を眺めてみたい…しかし、雨じゃあ億劫だしテントの撤収も大変だしとしばし逡巡。もうテント泊でザックはパッキング済みである。会社からの帰路、電車の中でず〜っと悩んだ。小屋二泊はお金も問題だ(^^;;; 10月の連休は小屋泊まりを考えているし出費が痛い。う〜ん…
【山 名】 南アルプス 白根三山 北岳(3,192m)、間ノ岳(3,189m)、農鳥岳(3,026m)
【メンバー 】 単独
【行 程】 9/21 広河原…二俣……肩ノ小屋4……北岳……間ノ岳…農鳥小屋(泊)
0610 0755 1030-1055 1130-1215 1415 1535
9/22 小屋…農鳥岳…農鳥小屋…間ノ岳…北岳山荘…八本歯ノコル…二俣…広河原
0500 0605-25 0725-40 0855 1035-45 1135 1235-1300 1400
【地 図】 甲斐駒・北岳(1/40,000図 昭文社 山と高原地図10)
よし、ここはラクチン登山に変更しよう。ザックを軽くして行程を一泊に縮めて歩こう。初日の行程がちょっと遠そうだが、何とかなるさとテント装備を大慌てで小屋泊まりに変更し、伊勢崎を22時半出発。秩父を過ぎ、雁坂トンネル、甲府、そして南アルプス林道経由で広河原に着いたのは2時を過ぎていた。いやあ、秩父あたりのくにゃくにゃ道路は神経を使い疲れる、そして南アルプス林道の真っ暗闇のトンネルは不気味だ。
道路際の駐車場は結構混んでいた。ようやく隙間を見つけてホット一息。夜空には満天の星空。明日の好転は約束され他も同然だ。さあ、寝よう。朝、何か騒々しい。バス乗り場から「今日は混雑が予想されます!北沢峠あたりの小屋は予約で満員です。注意しましょう」と放送だしきりと安眠を破る。いったいどう注意すればいいんだろうと寝ぼけ眼で聞いていたが、人のざわめきに耐えきれず起床。妻に準備してもらったおにぎりをほおばり、光り輝く北岳をめざして吊り橋を渡った。さあ、白根三山縦走のスタートだ
<<<広河原から望む北岳
この天気が持ちこたえてくれればいいが…
吊り橋を渡る>>>>
この吊り橋結構揺れるんです。さあ、気を引き締めて歩こう。
吊り橋を渡ると広河原山荘がありその左手に登山道があった
最初は樹林帯の中を緩やかに登る。暑い陽射しを遮られて爽やかな歩きだ。時々木々の間から山頂が見える。う〜ん、今日は好展望が期待できるぞと足取りが軽い。早立ちの人達をぐいぐいと追い抜く。今日は体調も良い。やはりザックが軽いといいなあ…テント担いでたらこうはいかないなあな。しかし今日は暑い。数日前までの寒さが嘘のようだ。この陽気と青空に、これならテントでも良かったかなとちょっと悔やまれたが、もうそれは言うまい。
沢を渡りガレ場となる。登山道は左手に変わるが、単独の男性はそのまま沢を登っていった。そしていったんまた沢に下り対岸に移りしばしの登り。黄色や紫の花が見え始めると、北岳がど〜んとその山容を表した。ヤッホーと静かに叫ぶ。この時期もう雪渓はわずかとなっている。二俣が近づき振り返ると鳳凰三山方面が美しい。
二俣に到着。以外と早く着いた。見上げる北岳は青空に映える。しかしこの天気はいつまで持つのだろう?予定では、山頂に行くのは明日だ。天気予報は日曜は雨模様と告げていた。よし、時間も早いし山頂は今日拝んでおこうと、急遽予定変更。ちょっとした急な登りを過ぎると気持ちよい広場に到着。そして一気に稜線まで登り詰めるとそこに待ち受けていたのは、白き峰、甲斐駒だった。そして左手にはたおやかな気品を感じさせる仙丈がみえた。ナナカマドも少し色づき始め、山々の全景として頑張っている。いやあ、爽快!しばし休憩しその展望に見入る。
<<<鳳凰三山方面
ちょっとモヤッとしているが、疲れて振り返るとど〜んと鎮座する地蔵岳。オベリスクはどこかなあ?
二俣手前から望む北岳>>>
紅葉には少し早かったようだ。ところどころにナナカマドの赤い実が鮮やかだった
<<<甲斐駒ケ岳
黒と尾根から登ったのはいつだったかなあ?今度は北沢峠の方から仙丈ケ岳とセットで登ってみたい
仙丈ケ岳>>>>
甲斐駒とは対照的なたおやかな稜線が安らぎを与えてくれる。登れるのはいつの日だろうか?
この感動を誰かと共有したい!でも私は単独だ。自然と他の単独の人と話が弾む。「どちらから…素晴らしい景色ですねえ」このひとことがお互いに安らぎを与えてくれる。「これからどちらへ…」埼玉から来たという男性は、今年最後の山登りだそうな。思いっきりこの展望を満喫していた。このあと、北岳山頂までご一緒することとなった。東京から来たという単独の女性「今日は北岳山荘泊まり、間ノ岳まではザック置いて行ってきたいで〜す」と元気だ。
紅葉の綺麗な山肌を眺めながら肩ノ小屋に到着。ベンチに腰掛けておにぎりをほおばる。鳳凰三山、オベリスクがばっちり見える。もちろん富士山もばっちりだ。八月末にあそこに登ったんだよね。あそこが剣ケ峰かなあと思いでもひとしおだ。そして一気に北岳をめざす。青空が少しづつかげってきた。急げやいそげ、この展望のあるうちに…
<<<肩ノ小屋への稜線
山肌は少し色づいていた。北岳はまだ遠い。左手には仙丈ケ岳、後方には甲斐駒ケ岳。素晴らしい展望だ
富士山>>>
肩ノ小屋前広場から望む
この形、富士山ですって言わなくても分かるよね
ほんと秀麗ですねえ。ほら、あそこがケが峰ですよ
先日の富士登山で〜す
北岳山頂です。この頂に立つのは二回目。前回は登るまでは全くのガスの中、しかし見る見るうちにガスが切れ興奮したものだった。それから数年。その時歩けなかった間ノ岳を求めての山行。今日はまずまずの展望であった。どこの山が見えるかって…北岳は日本第二の高峰。もうあそこも、そっちもこっちもみ〜んな見えます。さあ、あなたもその目で確かめてみよう。レッツゴー北岳!
頂上の隅の方から下を覗くと、岩場が切れ落ちている。あそこがバットレスかなあ?そして眼下には大樺沢の雪渓が見える。右に目を転じれば今から歩く間ノ岳への稜線が果てしなく遠い。ここで埼玉の男性と別れる。
今日は北岳は我が輩にとって通過点に過ぎないのだった。
赤い屋根の北岳山荘をめざして下る。左手より八本歯ノ頭からの道と合流するとわずかで山荘だ。100円玉でバイオトイレで小用を足す。山のトイレ問題は人気の山域では大変だろうなあ…などと殊勝なことを考えながら気持ちよく用を足す。今日はこの小屋は混みそうだとのこと。(翌日きいたら布団一枚に二人くらいだったらしい)。しばらく緩やかな道を歩く。疲れているので時々足が止まる。振り返ればでっかい北岳の山容が元気を付けてくれる。中白峰からの北岳はなかなか見応えのある山容だ。
<<<北岳方面から望む間ノ岳への稜線
緩やかな稜線に見えるが疲れた体にはまだまだ遠く感じる
間ノ岳への途中で>>>>
緑と黄色、そして時々赤色、草紅葉が美しい
身軽な格好の単独の女性が軽快な足取りで追いついてきた。北岳にしようかと迷ったそうだが、間ノ岳に下とのこと。身軽とはいえスイスイと抜かれてしまった。彼女に追いついたのは山頂手前。携帯電話がかかってきたようで、「今、間ノ岳!」などと楽しそうに語らっていた。動くと電波が切れるのか、佇んで話している。これ幸いにぐいっと追い越させてもらった。だだっぴろい間ノ岳の山頂。風が強い。風を避けて岩の間で一休み。先ほどの女性もやってきた。笑顔の爽やかな女性だった。聞くとテント泊とのこと。北岳山荘のテン場で泊まるそうだ。あすは北岳めざすらしい。軟弱にも小屋泊まりにした我が輩、やっぱり年の差だなあ…って感じた。爽やかな笑顔で「またどこかで遭いましょうね」と送られて農鳥小屋をめざす。
ゴロゴロとした石ころの多い下り。小屋が見えるんだけどなかなか辿り着かない。これも疲れているせいだろうか?農鳥岳頂上あたりは厚い雲に覆われている。全容が拝めない!明日のためにも山頂の様子を眺めたい。まだ時間はあるので中腹でちょっと一休み。スケッチを始める。でも、疲れのためか出来がいまいちだ。今回は公開は見送りだな(^^;;;
そのうち願いが通じたのか、雲の動きが早くなり山頂が顔を覗かせた、。やったね、安心して小屋をめざす。
<<<農鳥小屋への下り
ゴロゴロの石が意外と歩きにくい。一度踏み外して転んでしまった。農鳥岳よ、山頂を見せておくれ!
農鳥小屋>>>>
赤い屋根が印象的な小屋。ワンワンと犬が出迎えてくれた
ようやく到着。こっちだよと部屋に通される。大広間みたいな部屋だ。先客が7人ほどいた。土日は千円高いとのこと。寝具を借りて夕食のみで7000円。うまい夕食が期待できるかな?泊まり客は水は無料とのこと。朝は配れないから夕方までに済ませてねとのこと。「このままで大丈夫?」と聞いたとたん親父から「飲めない水はやらん。小屋に対して一番失礼な言葉だ!」ときつく怒られた。「心配ならわかして飲め!」と追い打ちをかけられた。内心ムカっときたが、やはり失礼な言葉だったんだろうかと反省し「ごめんなさい」と謝った。まあ、気を取り直して展望を楽しむ。夕食です(旨いかって…まあ、山小屋ですから(^^;;;)。同宿者同士、食後のひとときを団らんしていたら、次があるから終わったら早く出てって急かされた。まだそんな時間たってないのにねえと言いながら、大人の皆さんはおとなしく引き上げる。
天気は悪化の兆しで雲が多かったので夕日は無理かと諦めていたが、徐々に西の空が赤くなってきた。燃えるような夕焼けとは行かなかったが、山での夕焼けはいつでも感動する。今日の泊まりは10数人だ。このくらいの人数だったらなぜか親近感がわく。宵闇の中、夕日を眺めながらしばし団らんの時間だ。
夕日も終わり部屋に戻る。電気はなくランプだ。隣の人と明日はどちらへ…などとウイスキーを飲み交わす。小屋の親父が、7時過ぎに「もうすぐランプ消すからね」と告げに来る。え〜っ、もう…
ちょっと早すぎるような気がしたがしょうがないよね。ランプをつけてウイスキーを飲む。ほんわかいい気分になった。時間はまだ7時半にもなっていない。でも暗くなるとやはり眠くなる。さて寝るか…
<<夕日に照らされる西農鳥方面
雲が切れ素晴らしい景色が現れた。明日はいよいよあの頂へ!
夕焼け>>>>
いつ見ても山の夕焼けは感動的です。あの山並みは中央アルプスかなあ?
明日は雨だろうねと親父のご託宣。う〜ん、この天気でねえ…おやすみなさい