切れ落ちた岩綾歩き 西上州・二子山       2000年11月19日(日)快晴

林道から望む二子山(右が東岳)

 赤岩峠から天丸山方面に縦走しようと思ったが、林道が通行止め。で、やむなく近くの二子山へ…
ここは以前家族で登ったし、ピンチヒッターの山と思ってあまり乗り気ではなかったが、快晴、岩綾、展望と申し分なしであった。やはり西上州、何度歩いても面白い。

行 程  登山口…股峠……東岳……股峠……西岳……魚尾道峠…ロウソク岩……祠………分岐…登山口
      0635   0715   0735-0755 0815  0845-1025 1050    1115-1215 1235-1250  1255  1315
メンバー 単独
地 図  昭文社エアリアマップ 15 西上州・妙義


荒れた沢沿いの道林道が通行止め
 先日天丸山から眺めた赤岩峠から天丸山へと続く稜線を縦走しようと計画した。以前ここを歩いた人のホームページで情報収集、時間的にも歩けそうだ。さっそく決行。国道299号の中里村から志賀坂峠をめざす。天気も最高!!今日は楽しい縦走ができそうだと車を走らす。そして志賀坂トンネルの出口からすぐに右の林道へ…ところが!!
 なんと、無情にも「落石のため通行止めの」看板とバリケード…ガッビ〜〜ン
どこからか回れないかと地図を見るが、こんな山の中、そう簡単には道はない。しょうがない
以前歩いたことのある二子山にでも登るか、その後時間があったら諏訪山にでも登ろうかと思案しながら、二子山登山口に到着。
道路端には5〜6台の車。(特に駐車場はないが、道路端に沢山駐車可能)

股峠
 沢沿いに杉林を登る。荒れた沢で、ところどころ登山道がわかりにくいが、間違うほどではない。杉林を抜けるあたりから紅葉が素晴らしい。振り返ると両神山方面の展望が木々の間から望める。本当はあっちのほう歩いてたのになあ…と未練がましく山容を眺める。ここらあたりから太陽が岩壁を照らし出す。ローソク岩への分岐を過ぎわずか急な登りでまた峠に到着峠。

東岳への岩場(登りに利用)東岳下りに利用した岩場
 せっかく二子山に来たからにはやはり東岳を登らなければと、落葉した雑木林の道を登る。ところどころ凍った霜柱でアイゼンが欲しいくらいだった。しかし、今日は持ってない(これからの時期は低山といえども必要だなと思った)転ばないように慎重に登る。急登わずかでいよいよ岩場となる。左へ巻く。いくつか踏み跡があり右の方を行くと厳しい岩に遭遇。最初の一歩の引っかかりがない。しがみついてやっと登る。下りは反対側のコースが良さそうだ。ここがガイドブックに書かれている「無理だったら引き返した方がいい」と言う岩場だろう。その後は岩綾を登り下りして山頂に到着。そそり立つ西岳が見事だ。
 ここで赤岩峠から縦走の予定変更を伝えようと妻に電話する。最初は繋がらなかったが、うろうろ歩き回ってる内に繋がった。不安定なので無線に変えて交信する。さて西岳をめざそう。厳しかった登りの岩場は、左のコースをとる。ロープが張ってあったが、それでもかなり厳しかった。
股峠にある看板(上級者コースは赤線)

西岳
 股峠まで戻る。12人ほどがガチャガチャと岩登りの道具を持って東岳をめざしてきた。あの人数ではあの岩場渋滞だろうなと思いながら登り始める。少し行くと、「上級者コースと一般コースの表示」、まっすぐ上級者コースを進む。今度は「山頂へ(岩場)と、熟達者」の表示。熟達者をめざす。そして今度は「クライミングコースとの西岳」の表示。とにかくまっすぐ登る。クライミングコースは、ロープを使うほどでもないが、ほぼ垂直と思える岩場。しかしこの山特有の、穴のあいた岩、恐竜の背のような凸凹した岩で手がかり足がかりはかなりある。でも落ちれば一大事、慎重にゆっくり登る。東岳を振り返れば、先ほどの団体がだいぶばらけながら登っている。あの厳しい岩場では数人がたむろしている。こちらもまだ登りは続く。いやあ、面白い(^^;


西岳頂上からの展望(両神山から赤岩尾根方面)
頂上
 無事岩場を登り切ると、突然眼前に広がり切り立った岩綾…いやあ、素晴らしい。足はすくんでいるが心は躍る。二人連れが頂上間近で手間取っている。頂上は縦に長い。少し進むと一般コースと道をあわせる。そして待望の頂上だ。
歩き損なった赤岩尾根から大ナゲシへの稜線はもちろん、展望360度、遮るものはない。先日歩いた天丸山らしき山も見える。
二人連れは頂上に着くやいなや、休憩もとらずに先に進んでいる。まあ、人それぞれだろうが、何とも勿体ない。
ピンチヒッターで登った二子山、しかし岩綾歩きの面白さに魅せられ、それにこの展望、このスリル…この思い出が薄れないように、時間があったら歩こうと思っていた諏訪山は、もう心の隅にもない。のんびりと時を過ごす。へっぴり腰で眼下を覗くとローソク岩でクライミングしている。切り立った岩壁に目を転じると数人が岩にしがみつくように登っている。いやあ、怖そう!!
北西には無惨に削り取られた叶山が痛々しい。
程なく単独の男性到着。栃木は太田からはるばるやってきたそうだ。この人も両神山に登る予定が、林道交通止めで二子山へ変更組だった。いやあ、参ったね

無線
 時間はたっぷりある。少し風が強いので雨具の上を着る。では記念に無線でもするかとスイッチを入れる。まず熊谷の局と交信する。話していると、なんと89年に一度交信しているという。(帰って調べたところ、群馬に引っ越してきて1.5年目の冬、固定同士で繋がっていた)
10年以上前に繋がった局とまたこうして交信できるってなんと素晴らしいことだろう。アマチュア無線万歳!!
続いて
榛名富士移動局、榛名水沢山移動局、他数局と交信。茨城の筑波山も57位で聞こえていたが、他局と話が長引いていたので断念した。

スケッチ
 まだまだ時間はたっぷりある。久しぶりにスケッチをする。のんびり絵を描いていると心が豊かになってくる。気分最高、でも出来映えは(^^;
出来映えなんて関係ないんだ。心が豊かになれば…
作品はこちらをどうぞ  叶山方面の岩場  両神山から赤岩尾根

魚尾道峠への岩綾、白いのは叶山さて下山
 下りは魚尾道(よのおみち)峠経由。どうしてこんな魚の尾っぽの様な名前が付いたのだろうか?
実業之日本社「東京付近の山」に掲載の二子山の説明によると「西上州地区は古生層によって成立している山が多く、二子山一帯は古代海中にあった…」とある。ふ〜ん、ここが海だったなんて信じられない。確かに岩を見ると海水で浸食されたような感じ。ゴジラの背のような岩綾と紹介されているのも何となく納得できる。その名残で魚尾道…なるほどねえ

 やせた岩尾根を北西に進む。手がかりはしっかりしているが、周りに目を転じると切れ落ちた崖…慎重に進もう。岩綾も終わりに近づく頃、左に降り始める。すぐに鎖場。6mほどだ。以前家族できたときはここで危うくリタイヤと思ったもの。しかしリタイヤしても行く道は無し。妻を励まし手取り足取り下ったのを思い出した。あのときは一般コースとのガイドブックの案内を信じて家族で登ったが、その時を思い出しては
「嘘つき、あんな怖いところもう二度と行かない」と未だに言われ続けている。そう言えばあれ以来家族山行の機会が減ったような(^^;
西岳直下の岩場
ローソク岩クライミング
 鎖も無事通過、檜の植林帯を下るとわずかで魚尾道峠の分岐。まだ時間は早いのでこのまま下るのは勿体ない。先ほど頂上から眺めたローソク岩を見に行こうと左に曲がる。厳しかった岩場の基部をトラバース気味に歩くとやがて楽しそうな声がこだまする。少し上に登り返すと小降りの岩場でクライミングの練習中。挨拶してローソク岩をめざす。ここではクライミングの検定?中であった。右の岩壁を眺めると、こちらも結構な人達が岩を登っている。日頃見慣れない光景にしばし見とれる。「ロープ下さい、ビレイとります、etc」日頃聞き慣れない言葉や光景が異次元の世界のようだ。しかし見ているだけでも面白い。ついつい長居をしてしまった。
さて下ろうと
小降りの岩迄戻り、途中から左に曲がり進んでいたら藪道となり、ついに進行不能となった。いやあ、間違えちゃったかな。見上げれば岩を登るクライマー達が見える。一旦登り返して戻る。そして道発見。ローソク岩をめざす。そして出現したのは、なんと、またまた岩にへばりついたり、下でロープを確保したり
お昼ご飯を食べたりのちょっと異様な雰囲気の岩場に到着。ここでもしばらく見とれてしまった。聞くと「祠」と言う岩登りのメッカらしい。二子山にもこんなところがあったのかとちょっと驚き

二股手前の紅葉(山容は東岳)そして股峠への分岐に到着
このあたり登るときにはあまり気づかなかったが、紅葉が綺麗だ。ここからの下りはグングンととばす。そして登山口着。なんと道路端には沢山の車、2台以上は止まっていた。
最初はピンチヒッターとして登った山であったが、岩、紅葉、高度感、クライミング見学と大満足の一日であった。

ガイドブックは西岳のコースについては、どれも「一般向き」と書かれているようだが、岩綾歩きはかなり緊張する。高所恐怖症や岩場の苦手な人は安易に近づかない方が身のためでしょう(^^;  特に東岳の岩場、一カ所だけですが「やばいな」と思ったら潔く引き返しましょう。また西岳への上級者コースも面白いですが危険がいっぱいです。恐竜の背のような岩は、手がかり充分ですが、これが万一はがれたらと言う事も常に想定して注意しながら登りましょう。岩が嫌いな人は一般コースにしましょう。また魚尾道峠への岩綾も慎重に歩きましょう。もちろんこちらも危ないと思ったら「一般コース」を戻る勇気を持ちましょう。
私も以前家族で歩いたときは、内心やばいなと思いましたが、無理して歩いてしまいました。今回新たに歩いてみて、いやああのときは無理したなって思った次第です。妻や息子は岩場がそれ以来嫌いになりました(^^;