爽快な岩稜ハイク 西上州・二子山       1995年10月28日(土)快晴

東岳から西岳を望む

 西上州の山は面白い。絶好の快晴の中、そそり立つ岩峰と切れ落ちた稜線歩きが魅力的な二子山で、紅葉と爽やかな岩稜ハイクを満喫した。

登人登山口…股峠…東岳…股峠……西岳……魚尾道峠…鉄塔下…登山口
0845       0940 1025  1050  1130-1235  1350    1400    1500


「山に行こうか、たっくん?」「うん、行こう行こう。ママも行こうよ」「低い山で怖くないところなら行く」との家族会議(とはいっても上の二人の娘は興味ないのか話題に乗ってこない)の結果、渋く落ち着いた雰囲気の静かなる山域「西上州二子山」となった。

 ガイドブックによると「
大岩壁、切れ落ちた稜線etc」とあるが、グレードは「一般」となっており、まあ大丈夫だろうと楽観しての出発となった。国道462号経由で神流湖沿いのカーブの多い道を慎重に過ぎるとやがて左手に二子山(と思ってたら叶山だった)が姿を現した。「おっ、すごいなあ。多分あれが二子山だろう」というとたっくんと妻が声を合わせて「え〜っ、怖そう。話が違う〜だまされたっ」と非難の声。「遠くから見ると怖そうだけど、登るところはぜ〜んぜん怖くないよ」と如何にも登ったことがあるような口振りでとりあえず納得させる。程なく、恐竜の足跡が発見された中里村を過ぎ、登山口に到着。既に10台以上の車が駐車しており満杯。広めの路側帯に駐車し、いざ出発。

 最初は沢沿いに杉林の緩やかな登りである。ひんやりと気持ちよく汗は出てこない。程なくローソク岩の分岐に着。これより雑木林の中を若干急な登りとなり股峠到着。休憩中のおじさんの「
東岳は子供は無理かも。結構危ないところもあるよ」との声に妻たちは「ほら〜危ないってよ」と尻込みする。「大丈夫、大丈夫」と、ひと休みの後ザックを置いて身軽になり東岳をめざす。しかし途中の岩場「こわい、ここで待ってる」と妻が脱落。たっくんと二人で山頂をめざす。どうにか最初の岩場を越えると前方に東岳が間近だ。山頂手前の起伏のある岩稜をみてたっくんが尻込みする。「妙義山に登ったんだから慎重に登れば大丈夫だよ」と励まし励ましどうにか狭い山頂に到着。これからめざす西岳の岩峰が手強そうに見える。展望は素晴らしいが、途中で待ってる妻が気になり、記念写真を撮り急いで股峠をめざす。
 妻と合流、たいしたこと無かったよと不安を和らげる。しかし、待っている間、数組のパーティがここらで断念し西岳に向かったとのことであった。ガイドブックにも「一カ所悪い岩場があり、
危険と感じたときは引き返した方がよい」と記されており、難しいと感じたらそのほうが無難だろうと思った。

 股峠から西岳をめざす。直登コースと一般者コースの分岐と思われる所から一般者コースと思われる方を登る。特に標識には気づかなかったが見落としたのであろうか?しかし、一般者コースと言えども山頂手前では結構緊張を強いられ慎重さが必要であった。
山頂から叶山方面を望む(こちらへ降る) 
 途中小学校低学年と思われる子供二人を連れた家族連れと出会ったが、元気に登っているその子供たちを見て妻も励まされたのか、
どうにか山頂に立つことが出来た。東岳よりは広い山頂であるが、よろけたりすれば真っ逆様に転落だ。断崖絶壁の迫力に圧倒されながら、こわごわと下をのぞき込む。あれがローソク岩であろうか。遠くには荒々しい稜線が魅力的な両神山、北面には赤久縄山等の360度の展望が素晴らしい。先週の太郎山に引き続き、快晴に恵まれ最高の気分だ。
 しかし、西のほうに見える採石のために山頂部分が大きく削り取られた山は無惨だ。この素晴らしい二子山も石灰岩の山であり、あのように削り取られないことを祈るばかりだ。

 ゆったっりと食事しながら帰路の紅葉に彩られた岩稜を眺める。数組の先行したパーティーが岩稜に見え隠れする。あんな所どうやったら行けるんだろうかと不安がる妻とたっくんに、「みんな確実に前進しているし、歩いて見れば以外と道はしっかりしている。ここを降りなきゃあ帰れないんだ」と自分も含め気を引き立たせる。「さあ、下山開始だっ」。ゴジラの背の様な…と形容された岩尾根を慎重に歩く。岩には浸食されたような穴が開いておりホールドに丁度手頃だ。尾根の途中から坂本への道を下る。

 程なく今日
最大の難関と思われる6m位の鎖場に到着。恐がりやの妻にはちょっと無理かなあと思うくらいの鎖場である。先にザックを降ろしまずたっくんから挑戦だ。さすが妙義の経験があり、無事に降りた。次は妻である。「鎖をしっかり持って!!」「落ち着いて歩幅を小さく」「大丈夫、大丈夫」と励まし、足先を手で誘導しどうにか降りた。やはり鎖場も降りる方が難しい。緊張で足が震えていたが無事降りれて一同ほっと一息である。これからは樹林帯の中をただひたすら急降で魚尾道峠経由で登山口をめざす。途中、天に聳える二子山の西、東岳がよく見える場所があった。一同、あれに登ったんだなあ。凄いなあと感激に浸りながら、僅かで登山口に到着。「こんな怖いところはもう二度とこない」と二人から言われながらも満足した一日であった。

 やっぱり西上州は面白い。