日光連峰縦走 
 
1999年9月25日(土)〜9月26日(日) 快晴

左から男体山、大真名子山、子真名子山。右奥は日光白根山

右より小真名子山、大真名子山、男体山。右奥は奥白根山(女峰山より)

紅葉には少し早いが日光連山を歩いてきました。ひとつひとつの山が独立峰みたいな感じでかなりきつい山行であったが、静かな雰囲気と雄大な展望、それに歩き通したという満足感で充実の山歩きだった。

9/25  霧降高原点…キスゲ平……赤薙山……女峰山……帝釈山…富士見峠(泊)
     0845     0945-0955  1045-1115 1430-1450   1520     1555
9/26  富士見峠…小真名子山…大真名子山…志津小屋…男体山…中宮バス停
      0520     0555-0605   0710-0730   0830  1045-1110   1245
メンバー  単独


キスゲ平霧降高原からリフトを横目に樹林帯の中を登る。やはり山は歩いて登らなくっちゃという信念を捨てようかなあと思うようなつらい登り。急ではないんだが体調が今ひとつである。先日から扁桃腺を患わし薬の世話になっている。自然に触れれば治るだろうと自分の都合の良いように解釈して…このあたり夏だったらニッコウキスゲが沢山咲いているんだろうなあと思いながら歩いていると程なく広々として展望の良いキスゲ平に到着。このあたりから丸山まではふつうのハイキングの人達もいるようでちょっと賑やかだ。下の方はよく見えるがあいにく赤薙山方面はガスが掛かっている。ひと休み…しかし今日は暑い!!

 


赤薙山から女峰山を望む
ここから大きなザックを背負った青年(この後Sさんと呼ぶ)と抜きつ抜かれつ縦走を楽しむこととなる。

 展望の良かった草原の道から樹林帯の急登となり
赤薙山に到着。三等三角点のある山頂は樹林に囲まれ展望は良くない。端の方の樹林が切れた間からは雲竜渓谷、女峰山、男体山の山容を垣間見ることができた。ようやく体が馴染んできて体調も良くなってきた。しかしちょっとシャリバテ気味。Sさんの「お先に」と言う声を見送りながらおにぎりをパクつく。


2,295m峰から女峰山を望む
よし元気も出たぞ。岩混じりのやせた尾根を登り下りして赤薙奥社跡に到着。キノコ採りの人達であろうか?ふくろに沢山のキノコが入っていた。私には道々あまり目に付かなかったが、その気で歩けば結構あるもんだなあと感心した。ここから一旦鞍部に下り、登り返して一里ガ曽根と呼ばれる尾根である。実際は一里もないが樹林に囲まれてあまり展望も良くないシャクナゲの多いだらだらとした道が続く。そして視界が開けると2,295m峰である。このあたりからハイマツを見かけるようになる。女峰山がど〜んと構えている。う〜ん良い景色。でも先は長いなあ…

 


水場前の広場
 しばし展望を楽しむ。そしてちょっと急な道を下り少し登ると水場への標識。水だ水だ〜。表示から数mで水場。手前はちょっとした広場になっており、いざという時はツエルトくらい張れそうだ。今日は2Lの装備をしてきたがもう1Lがなくなりつつある。冷たい水をたっぷりと飲み水筒に補充する。ここで今日の予定を変更しようとの考えが頭をよぎる。当初予定では、今宵は水場もある唐沢避難小屋泊のつもりだった。そして扁桃腺の具合によっては箱石金剛から黒岩、そして西参道へ下山も考慮していた。しかしここで水も補充できたし体調も万全となってきた。よし、女峰山に3時前に着けたら縦走決行しよう。そして今日行けるところまで行こう…

 


女峰山はもう一息
 ここから水節約モードに切り替える。ちょっと少な目だが食事と明日の山行には間に合うだろう。シャクナゲやダケカンバの樹林で展望も良くないが2,318m峰を過ぎると痩せ尾根の急登となる。Sさんと岩場の途中で尾瀬方面の素晴らしい展望に見とれてしばし休憩。今日は奥社跡以降Sさん以外登山者も見あたらず、こんなところで休んでても迷惑にならない。いいなあ、静かな山は…

 さああと一息だ。岩場から重い腰を上げハイマツの茂る道を一気に山頂をめざす。ガスが忙しく動いている。今日はもう展望はお預けかと思っていたが、サアーッとガスが引き男体山までの縦走路が目に飛び込んできた。やったね!!
Sさんも到着し二人でこの感動を分け合う。奥鬼怒、燧ガ岳、至仏山、奥白根等の山々が疲れを吹っ飛ばしてくれる。富士山は?…今日の天気でここまでは贅沢というものだろう(^_^;

 さあ、決断の時だ。時間、体力、水…申し分ない。地図を確認し富士見峠まで行こうと決めた。Sさんも当初は唐沢小屋泊の予定だったらしいが、私の計画変更を聞いて心を動かされたようだ。「同行していい?」と言う。初めてのツエルト泊を体験したいとのことである。「どうぞどうぞ!!」寂しい山の中で一人寝るよりも二人いれば心強い。じゃあ、富士見峠で又会いましょうと先に進む。

 女峰山頂から急な岩場を大きく下る。そして鎖のある痩せ尾根、
日光三嶮のひとつ、馬の背渡りってここかなあ…しかしこのあたりも立ち枯れや山肌の崩壊が激しく殺伐とした尾根歩きである。何故こんなに立ち枯れしてしまったんだろう。可愛そうな山である。帝釈山から眺める女峰山は本当に格好良い。

富士見峠でツエルト泊
 帝釈山からは展望もない樹林帯の中、掘割りのような歩きにくい道が続きグングンと高度を下げる。標高差約400m。いやあ、せっかく登ったのに…
木の根っこで何度か転びそうになりながらようやく
富士見峠到着。さっそく適当な場所を探してツエルトを張る。しばらくしてSさん到着。真新しいツエルトを張るSさん、初めてのツエルト泊に胸ワクワクのことだろうな。さあ、後は食べて寝るだけ。まずはビール!!そしてドライフーズの鶏肉ご飯、最近このシリーズ(五目ご飯、すき焼きetc)に惚れ込んでいる。それにコーンスープ。
 大きなザックを背負っているなあと思っていたSさんのメニューは…どれどれ、ふ〜ん、旨そうだなあ…

 辺り一面ガスが立ちこめてきて峠は幻想的な雰囲気。おばけが出そう…なんてこんなところでは禁句である。静かだ…鹿の声が聞こえる。食事が済みそれぞれのツエルトに入る。水割りを嗜みながら無線をつけると筑波山からのCQが聞こえてたので応答ししばし交信を楽しむ。そのうちこっくりこっくりと疲れが出たのか闇に融けるように寝てしまった。

小真名子山の中腹から女峰山方面の日の出
 そして朝、まだ暗い。明けの明星かな、きらりと光る星がひとつ。テントの窓から星が見たいと行っていたSさん、星見れたかなあ…この天気では満天の星空はちょっと無理だっただろうな…私は星を見ようと思ってたもののぐっすりと寝込んでしまった次第である。朝食はレトルトの赤飯とコーンスープ。薄暗い中ツエルトを撤収し、ガレ場の急登で小真名子山をめざす。ご来光を山頂でと思っていたがちょっと出遅れてしまい、ガレ場を過ぎたあたりで女峰山の右手に上がる日の出を拝む。朝からこの登りは小粒だが結構しんどかった。

 

 

小真名子山より太郎山を望む小真名子山は大きな無線反射板が建てられている。三角点はここだ。ここからは朝日を受けて奥白根山方面が綺麗だ。山頂はここより少し登ったところだが展望は良くない。そして又約200mの下りである。立ち枯れの多い鷹ノ巣からまた大真名子山まで大きく登り返す。針葉樹林のなか倒木やえぐられた道に閉口しながら登る。まったくなんという縦走路だ(^_^;足腰を鍛えるのはもってこいのコースだなあ…こちら側から見る大真名子山は丸っこい雰囲気の山だ。ようやく緩やかな登りになり明るい尾根となり大真名子山に到着。二人連れが休んでいた。志津越えから登ってきたとのこと。昨夜は志津小屋泊まりだったのだろうか?

 


大真名子山山頂
 二人連れは小真名子山方面をめざし下っていった。Sさんも到着。またまた二人だけの展望、この縦走路からちょっと離れた太郎山がこっちにも登っておいでと呼んでいるようだ。でも、勘弁ね今回は男体山までで〜す。女峰山からここまで連なる山々に別れを告げ眼前に聳える最後のピーク男体山をめざす。う〜ん、またまた600m下って700mの登り返し…
 早速
千鳥返しと呼ばれる日光三嶮のひとつ、鎖場や梯子を下る。それほど危険ではないが小真名子山側からの登りに比べれば緊張する。グングンと下れば最後は笹の中、このあたりカラマツはわずかに紅葉の雰囲気である。

 



大真名子山より男体山を望む
 志津越えには所狭しと沢山の車が駐車している。志津小屋でひと休み。立派な小屋だなあ、布団や鍋釜もある。誰が持ち込んだんだろう?手も届かないような壁には意味不明なビニールに包まれた荷物がいくつもぶら下がっている。何だろう??冬期登山のためのデポだろうか?それにしては早すぎるような…
さあ、最後の登りだ。途中何合目と言う表示が励ましてくれる。1合目を過ぎると
砂防工事の姿が痛々しい。3〜4合目はただひたすら樹林帯の中を登る。そして6合目を過ぎると大きなガレ場が現れ平坦な道となる。そして8合目を過ぎると展望が良くなり9合目に達するともう後は平坦な尾根歩きの雰囲気。女峰山から大真名子山までの縦走路が一望できる。あそこから歩いてきたんだなあと感慨もひとしお。でも、小真名子山は大真名子山の後ろに隠れてちょっぴりした姿が見えない。

砂礫の下り
 後1合目を残ししばし休憩。そして登山者でごった返す山頂に到着。やはり日光連山の主峰とも言うべき信仰の山、人気抜群である。眼下に見える中禅寺湖から対岸の山並み、そして足尾方面の山々から尾瀬方面までぐるっと360度の展望。
おおっ、
富士山も見えるぞ〜、あれは八が岳かなあ。同定できない沢山の山々にあちこちから歓声が上がる。でも余りの人の多さに閉口して少し下ったところの溶岩陰に陣取り展望を満喫する。続々と登ってくる登山者の列が続く。

 



二荒山神社より男体山を望む
 さあ、いよいよ縦走のフィナーレ。
中禅寺湖をめざしグングン下る。最初は火山岩がむき出しとなった赤茶けた砂礫状の滑りやすい下り、しかし次第に大きな岩のごろごろした下り、そしてガレ場。登りの人はどこまでも続く。至る所に落石注意の表示。5合目あたりまでは予断を許さない下りが続く。膝ガクガク、もう限界か…そしてようやく樹林帯となり一旦林道に出てまた鬱蒼とした樹林帯をしばらく下ると二荒山神社に到着。厳しくも楽しかった縦走も終わった。バスに揺られてのんびりと霧降高原まで車を回収に戻る。

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