
高谷池
天狗の池に浮かぶ火打の姿が見たくて、そして帰りに露天風呂に入りたく、テントを担いで歩いてきました
山行日 2002年7月21日〜22日 晴れのち曇りのち雨、曇りのち晴れ
メンバー 単独
行程 21日 燕温泉…麻平…黄金清水…1,954ピーク…黒沢池ヒュッテ…富士見峠……高谷池……火打山…高谷池(泊)
0550 0625 0755-0820 0850 0950 1040 1120-1230 1355-1415
1645
22日 高谷池…茶臼山…黒沢池ヒュッテ…大倉乗越…分岐……妙高山…天狗平…露天風呂…燕温泉駐車場
0610 0655-0705 0725 0800 0910-0935 1030
1220 1300
高谷池は初めてテント泊をした思い出の地である。その時は笹が峰コースであったが、今回は燕温泉の露天風呂に入りたくて燕新道経由とした。前回と同じく天気予報はあまり良さそうでない。しかし、いよいよ梅雨明けかという時期となり、もしかしたら梅雨明け一番で素晴らしい青空が…と期待もしていた。
国道18号線をぶっ飛ばす。といってもまだ我が愛車パジェロイオは入院から戻っていないので代車…この車はなかなかスピードが出ない。特に坂道なんか悲惨である。まあ、借り物だから文句は言うまい(^0^;)
約4時間弱で燕温泉駐車場に到着。結構混んでいる。今日は寝酒は中止、戸隠の時の苦い思い出がよみがえったからだる約3時間仮眠して目覚めると目の覚めるような青空。やったね。さあ、出発だ。
最初は燕登山道から妙高を経由してと考えていたが、出発前にインターネットで情報収集していたら「海の日は混むよ〜、テント場は満員だったら笹が峰まで下ってもらう」等と書かれていた。そうか、海の日だった。確かに込み合うだろうなあ、とコースを再度検討する。テント場に早く着くには妙高山頂は明日に回そうと変更する。
雰囲気の良い温泉旅館の石畳を登り、露天風呂への分岐を右にとり麻平をめざす。平坦な道で右手の緑の中に一条の滝が見えた。そして吊り橋。ここから川原の湯へ行けるようだが今日はパス・これより徐々に登りとなり麻平に到着。暑い。風も無い。しかし今日は体調がよい。17kgくらいあるザックが肩に食い込むが、久しぶりのテント泊の喜びが重みを忘れさせてくれる。途中4人組を追い越し、だらだらとした登りが続く。風はないが樹林が熱い日差しを遮ってくれる。
夏山に備えてか、ネマガリ笹や下草が刈られ整備されている。本当に頭が下がる思いだ。しかしこのコース、本当に風がない!暑い。汗が噴き出す。時々左手に妙高が見え出すと黄金清水に到着した。かなり水量は多い。冷たい!頭からざぶざぶと水をかぶる。いやあ、最高だ。
地下足袋を履いたおじさんと若者の二人連れが到着。この水は昔はまだ旨かったのにねえと言う。我が輩には十分旨いが、おじさんいわく「登山者が増えて水が汚れた」と言う。ふ〜ん、そんなもんだろうかと思いながらもういっぱい喉を潤す。おじさんは長助池迄花を見に行くそうだ。「気をつけていきなよ。30分もだらだら登れば稜線だから」と励まされ分かれ神奈山への稜線へ登りあがる。ちょっと崩れた赤い土を見せる山肌をトラバースすると稜線に到着。妙高山がそびえている。しばし休憩。頂上あたりに少し雲がかかってきたのが心配だ。やはり天気予報は当たるのだろうか?
このあたりからようやく花が少しづつ現れてきた。緩やかな登りが続く。左手は結構な崖になっているが木が生えているためそんなに緊張感はない。のんびり歩いていると突然「ザザッツ」と藪の中で音がした。すわっ熊!と一瞬すくんだが、男性が雉撃ちしていたのか、あわてたように動いていた。いやあ、びっくりした。そしらぬ顔で通り過ぎる。大倉山の北側を巻くように歩く。ハクサンコザクラヤサンカヨウ、キヌガサソウ、イワカガミなどが目を楽しませてくれた。そして人声が聞こえだし、黒沢池ヒュッテに到着した。
ヒュッテ前で一休み。高谷池で昨日テント泊したという4人連れがいた。なんと一人は同じ伊勢崎の住人だと言う。お互い名前を交わし山行の無事とまたどこかであいましょうと分かれる。昨日もテント場は大入りだったという。この時間から行けば大丈夫だろうと太鼓判を押される。黒沢池の方から団体さんがやってきた。ここでテント泊のようだ。この分なら本当にテント場は満員になりそうだと少し気ぜわしくなり、歩き始めた。この子尾rから空は曇り空で何となく怪しくなってきた。黒沢池はもうコバイケイソウは少し遅かったようでちょっと色が汚い。チングルマも既に終わっている。どうにかワタスゲ、イワイチョウ、フーロには出会うことができた。数組と木道ですれ違ったが、まずまずの静けさを味わうことができた。
少し登りなおして富士見峠に到着。笹が峰方面から登ってきた人達で峠はあふれていた。いやあ、凄い人出だ。こりゃあ急がなきゃやばいかもとペースをあげる。しかしこのあたりから登山道は泥のグチャグチャ道となり歩きにくいことこのうえない。ズボンはスパッツをつける時機を失して泥だらけになってしまった。嫌気がさしてきた頃ようやく高谷池ヒュッテにたどり着いた。まずは受付(400円/人・張り)をしてテン場へ急ぐ。「混んできたら動かしてもらう場合もあります。詰めて張ってくださいね」と言われた。やはり今日は混みそうだ。既に10張り位が張ってあった。空は曇ってきて、火打方面の山頂は雲に隠れている。
テントを張って中にはいると暑い!さてどうしよう。外でお昼としながら思案する。時間はまだ早い。元気もある。しかし天気は下り坂のようだし、山頂は雲に隠れている。天狗の庭まででも行ってみようかと決心し、サブザックに水や無線機、雨具を放り込み出発とする。池畔の木道を歩く。池に映るテントのカラフルな色が美しい。ちょっとした石ころのゴロゴロ道を登りハクサンコザクラを眺めながらいったん下ると天狗の庭だ。本日の最大の目的である池塘に映る青空と残雪の火打の山容はやはりだめだった。でも、ハクサンコザクラ、イワイチョウ、コバイケイソウはまだだいぶ咲いていた。天気も持ちこたえそうだし、明日の行程を考えたらやはり山頂まで歩こうと方針変更。曇り空でも花はたくさん見ることができるのだから…
沢状の掘れたところを登って稜線に出てダケカンバが点在する道となる。途中雨がぽつぽつと降ってきたが、雨具を着るほどでもない。雷鳥平は、霧がかかり雷鳥が出るには絶好の雰囲気であるが、沢山の人にびっくりしているのかお出ましにはならなかった。ここで、下ってきた人にあとどれくらい?と訪ねると40分くらいかねえと言う。そばにいた人、皆「えっ、まだそんなに〜」との声があがる。さあ、元気を出して歩きましょうと新潟から来たご夫婦、広島から来たというおじいさんと、それとなく一緒になって登る。奥様は空身とはいえ軽快な歩き。おじいさんは息も切らさず先頭を行く。我が輩が二番手。着いていくのが必死だ。
丸太の階段は歩きにくい。平成13年に整備されたと書いていた。以前来たときはここまで階段はなかったような気がするが、あれた山肌を見ると「百名山の宿命かなあ、やむなしだね」と思った。以外と荒れた山肌、どこまでも続くような階段。
展望は全くないので、あとどれくらいかなあと気になる。降りてくる人に出会うたび「どれくらい?」と訪ねると「もう少し、頑張って!」と返ってくる。遠くの山が何となく明るく見える。期待できるかな?
そして山頂に着いた。のっぺらりんとした山頂だ。まずは三角点に挨拶。そしてみんなで代わる代わるに記念撮影。もっとも展望はないので、山頂の標識が主役だ。本当なら素晴らしい展望なんだけどねえ、佐渡島はあっちで、あっちが何々…と地元の人が説明してくれる。いやあ、ほんと素晴らしい展望360度ばっちりだね。しっかり心の目で見ましょうと新潟の女性が言った。
久しぶりに無線で交信する。蝶ケ岳頂上の移動局とつながった。北九州の小倉からはるばる北アルプスめざしてやってきたとのこと。蝶は少しは展望があるらしい。QSLカードの交換を約して73!と別れる。
さて、展望は無し、長居は無用と下り始める。階段の長い下り。そのうち遠方に青空が見えだした。あれっ、急ぎすぎたかなと火打を振り返るとまだ雲がかかっている。回復にはまだ時間がかかりそうだとあきらめて下る。まだ登ってくる人がいる。4人組の中年女性が登ってきた。この人達は我が輩のテントの前に設営していたグループだ。天気も良くなってきたし、展望があるかもね、頑張ってと励ます。
天狗の庭に到着。雲の流れが速い。もしかして青空が…と期待し、しばらく花々を眺めながら時を過ごす。
時間がゆっくり流れていく。しかし雲はとぎれない。明日の朝に期待しようと腰を上げテント場に戻る。びっしりとテントが張られていた。
戻る 次へ