鳥甲山 2000年8月19日(土)晴れ
白砂山から眺めた格好良い山容に魅せられて歩いてきた。急登、痩せ尾根、切れ落ちた山肌…久しぶりに登った!!という感じの山だった。難所はカミソリの刃と呼ばれる険しい稜線のガレ場…でもちょっと期待はずれの怖さだった。下りの赤ーの肩からの急坂は、まいった。
【山 名】 上信越 鳥甲山(2,037m)
【メンバー 】 単独
【行 程】 狢平登山口…万仏岩…白ー…カミソリの刃…鳥甲山山頂…赤ーノ頭…赤ーノ肩…屋敷(林道歩き)…狢平登山口
0550 0700 0825 0905 0945-1050 1110 1218 1306 1340
【地 図】 志賀高原・草津(1/60,000図 昭文社エアリアマップ 13)
秋山郷
深い渓谷にへばりついている集落のある秋山郷。日本有数の豪雪地帯で、最後の秘境と呼ぶにふさわしい場所であったが、近年は温泉、豊かな山の幸、渓谷美などから自然探勝路として賑わっているらしい。しかし、石打から津南町経由で真っ暗な道をひた走り、秘境の面影は感じることができなかった。通過する車も殆ど無く、ただ一人ハンドルを握っていると、闇に引き込まれるような恐れすら感じた。
切明温泉から登山口まではわずか、到着したときは星空が綺麗だった。
ビールをグイッとやり星空を眺めて車中泊。標高約1000m位だからか、以外と暖かかった。登山口は10台ほどは軽く停められそうだ。誰もいない山中で車中泊はちょっと怖い。
朝、最高の天気。見上げれば厳しい尾根の稜線が太陽に照らされている。今日は暑そうだ。準備していると、ワンボックスカーが到着し4人が降り立った。旅館から送ってもらったようだ。
さあ、登るぞ〜
登山届けを投函し、杉の植林地、わずかで水飲み場の表示があったが、まだ喉も渇いていない。帰りに覗いてみようとパスして登る。そしてやがてブナの樹林帯の急登となる。ひたすら急登を登るが幸い樹林帯で暑い太陽からは護られている。途中で4人組を追い越す。
急登でようやく尾根に出る
ただひたすらブナやミズナラの樹林帯を登る。展望の良くなる尾根は約1400m。登山口からひたすら400mを登るのだから、苦しさも一級品だ。しかしその苦しさも展望が現れてくると、いやあ、いい眺めとつらさも喉元過ぎれば何とやらである。稜線に出てからは日差しが襲いかかってくる。何も遮るもののない険しい尾根歩き、じりじりと太陽にあぶられながら歩く。見晴らしは最高です。白ー、赤ーや苗場方面が手に取るようだ。すっきりとした山容は明日登る岩菅山かなあ…
鉄梯子です
最初の難関はこの鉄梯子。ほぼ垂直に10m程のぼる。まさに縄ばしごのような状態で一歩登るたびにブラブラと揺れるので非常に不安定である。高所恐怖症の人はゆっくり慎重に登りましょう。
ほかにも鎖やロープが随所に出てくるが、尾根の両側には木が生えているため、あまり恐怖感はわかない。しかしよくよく見ると細い尾根の両側は鋭く切り立った崖である。
延々と続く細い尾根のアップダウンが続くが、急登のため確実に高度を上げている。右手には秋山郷を眼下に眺め、振り返れば苗場や岩菅山方面が疲れをいやしてくれる。
白ーは展望無し
鎖場を過ぎ厳しい登りも終わったなと思う頃、ツガとダケカンバが現れると白ーも近い。笹と倒木の白ーは殆ど展望はない。
カミソリの刃
さあ、最大の難所カミソリの刃に向け気合いを入れ白ーからいったん下る。いくつかアップダウンを繰り返しいよいよ切り立ったカミソリ岩。道は更に狭くなるが左にしっかりと鎖が張られており、これに捕まって慎重に歩けば問題なし。左手に切り立ったもろそうな岩肌のピークがあるが、通行止めの表示があるので入らないようにしよう。
最大の難所と期待が大きかったせいか、以外とすんなり通過することができた。これでカミソリの刃というのはちょっとおこがましいと感じた。そこからいったんトラバース気味に荒れたガレた道を下り、そしてまた登りかえす。難所を過ぎ振り返ってみるとやはり刃の右手は垂直に切り立っている。まわりの木々にだまされ高度感がなくなってしまうのは怖い。気を抜いて不注意に歩かないようにする必要があるなあと感じた。
鳥甲山山頂
カミソリの刃を過ぎればあとはもう怖い物無し。屋敷からの道と合流すれば山頂は近い。
北東、南方面は眺めはよいが他はツガの樹林に遮られていまいちだ。ここでも立った一人の山頂を楽しむ。3,40分ほど送れて4人組が到着。やったねと登頂を祝う。この人達、温泉に三泊で苗場、鳥甲山と大名登山である。今日は屋敷登山口に降りるという。私は当初ピストンの予定だったが、赤ーの絶壁の素晴らしい眺めと、登ってきたコースの急登を下るのはつらそうだなあということで、1時間半の林道歩きはしんどいが屋敷に下ることにした。携帯で妻にコース変更を連絡する。
今日は帰る必要がないので、まあ時間かかってものんびり歩こうと余裕の山歩きなのだ。
ここで東舘山山頂移動の局と無線交信。明日岩菅に登ることから話が弾む。生憎岩菅方面は雲で見えなくなってきた
では下りましょうか
来た道を少し戻り、左折する。笹原の中に立ち枯れの木がちょっと変わった雰囲気を醸し出している。笹は綺麗に刈り払われており問題ない。ダケカンバの樹林帯を気持ちよく下る。赤ーの頭を過ぎると右手に視界が開け、吸い込まれるような崩れやすい山肌だ。赤ーの名前通り赤茶色をしている。遠く見える白ーは白っぽい。
こちらも気持ちよい稜線漫歩
頭を過ぎると気持ちよい稜線歩きが続く。こちらの方が登ったコースよりも花が多い。マツムシソウが綺麗だった。途中二人連れが登ってきた。あとどれくらいですかねえと尋ねる顔はかなりくたびれているようだ。
赤ーの肩はどこらあたりかなあと歩くが、なかなか付かない。地図ではとっくに過ぎているように見えるが…
ようやく肩の標柱があった。標高1671mと書かれており、地図と同じだがなにかおかしい。ここから道は下っており、どうも間違ってたてられたようだ。実際の標高は1450m位だから、屋敷山に間違ってたてたのだろう。
ここからが、今日の歩きの地獄の一丁目だった(^^;
標高差約600mの一気の下り。ブナの樹林帯、下っても下ってもまだまだ先に延々と続く。膝はガタガタ、まるで地球の底まで下るような感じだ。
先ほど会った二人組の疲れた様子が納得できた。こちらから登るのもきつそうだ。鳥甲山はどちらから登ってもやはりつらい。一級品の苦しみを味わえる山である。
イヤというほどくだってきたが、ようやく砂防堰堤が見えだすとようやく林道に到着した。やった〜着いたぞ〜!!
しかしこれから長い林道歩きがまだまだ続くのである。右手に歩いてきた山の稜線を眺めながら歩くこと約40分、おじさんが「乗ってかないかい?」と声をかけてくれた。いやあ、地獄に仏!!車って便利だなあってつくづくかんじた山歩きでした。
切明温泉
車についてまずクーラーボックスを開け冷たいビールを一気にあおる。う〜ん、旨い!!
そのあと切明温泉の雄川閣で汗を流す。湯船は底がぬるぬるしていて危うく転ぶところだった。長い歩きで足が疲れているのだろうか、アルカリ泉の性だろうか?スコップ持った団体さんが川をめざして歩いている。何するんでしょうねえってお年寄りに聞いたら、川に穴掘って温泉を掘り当てるそうだ。見ると川原では沢山の人が水着で温泉?に入っていた。
さあ、明日は岩菅山だ。雑魚側林道から奥志賀林道経由で高天ケ原をめざした。