西黒尾根でホワイトアウト  (1,963m)    2001年4月8日(日)曇りのち晴れ

天神尾根より望む西黒尾根

今年初めての谷川岳だ。先週登ろうと思ったがあいにくの雪模様で断念。早く登らなければ雪が終わってしまう…

行  程    土合駐車場…鉄塔…トマの耳(山頂)…肩の小屋…熊穴沢避難小屋…田尻尾根分岐…駐車場
         0640      0703  1005-15    1020-1120   1150        1220      1330
地  図    谷川岳、苗場山、武尊山(昭文社エアリアマップ)、水上(1/25,000図)
メンバー    単独

 以前白毛門はラッセル厳しく敗退。平標山は登山口の駐車場が雪で使用できず敗退、先週は悪天のため西黒尾根に登る前から敗退と、今年の谷川岳山行は縁が悪い。しかし今日は良さそうだ。遂に雪の西黒尾根にたどり着くことができそうだ。

久しぶりの西黒尾根、今回はどんな光景が待ちかまえているのだろうか?何度登っても新たな感動が起こる谷川岳。近くて良き山だが、なかなか良い天気に行き当たらない。今日は天気も良い。登山指導所に立ち寄り登山届けを提出し登り始める。指導所前はまだ除雪されていないので雪がいっぱいだった。

 指導所前の道路から最初の曲がりのところからすぐに山道に入る。以前はもう少し林道を入ったところから登った記憶があるが、今年はこちらにトレースがあった。まさに直登といった感じで鉄塔まで一汗かいた。ここの登りは早起きの体には本当に辛い。そして樹林帯の登り、白毛門方面が青空に浮かんでいた。しかし雲が早そうだ。気持ちよく積雪を踏んで登る。

 しかし、それもつかの間、武能岳方面も見えていたと思うまもなく次第に雲が出てきた。西黒尾根中腹からは無情にもガスで何も見えなくなってしまった。先ほどまであんないい天気だったのに…おお神よ我を見捨てないでくれ!!と天を仰ぎ、そのうち山頂が姿を見せてくれる事を願ってひたすら登る。

西黒尾根。この時は晴れだった 鎖場あたり 山頂


ラクダの背はここらあたりかなあと思うが全く雪でわからない。狭い稜線を歩く。ガスで視界がないため緊張感が薄れる。西黒尾根最初の鎖場がわずかに顔をのぞかせていた。もう少し雪があれば登りやすいが中途半端にあると登りにくい。そして所々ぱっくりと今にも雪崩落ちそうな感じで口を開けたところがあり緊張する。ラクダのコルを過ぎたと思われるところから傾斜も急になり時々道が分からなくなるが、じっくり探せば先行者のトレースがあるので安心だ。急な笹の斜面も山肌に大きな亀裂が走り今にもど〜んと落ちてきそうな雰囲気…いやあ、やっぱりもう少し早い時期の方が安心して登れそうだ。

 見通しも悪いのでどのあたりを登っているのか分からない。しかし、強い見方GPSが今日も控えているのだ。マップポインターで現在位置を確認しながら登る。気温も高く雪も腐れておりアイゼンは着ける必要がない。途中で風も強くなってきたので雨具を着る。そしてザンゲ岩かと思える岩がちょっと見えていた。頂上はもうじきだ。そして肩ノ広場に到着。何も見えなくともまずは山頂をめざそう。

山頂は誰もいない。景色も全く見えない。でも今年初めての西黒尾根を登ってきた満足感に浸りながら記念撮影。何度か風にとばされたデジカメで無事撮影終了。そして続いて到着したおじさんのカメラマンをつとめたあと肩の小屋をめざす。小屋は体から湯気を立てている結構な人で満員状態だ。小屋前にはスキーやスノボーも立てかけていた。天神尾根から登ってきた人たちが多いのだろう。

 雲間からは時折日射しが覗きそうな天気に、皆期待しながら一休み。我が輩も晴れるかなあと淡い期待を寄せる。時間も早いので1時間ものんびりしたが遂に天気は回復せず、下山開始とする。帰りは天神尾根経由。肩の広場を滑るように下る。スイスイと下る。いやあ、気持ちよい。ガスは薄くなりつつあり所々赤い旗もあるので道に迷うことはない。しかしこのガスではさすがにスキーヤーも慎重に滑っている。こんなところでスキーヤーと衝突して怪我をしたのじゃたまらない。途中谷川岳有名おじさんと遭遇。今日は2,016回目とのこと。めざすは3千回!!おじさん頑張れ

 だいぶ標高を下げると天気も良くなってきた。熊穴沢避難小屋が見えるあたりからは晴れてきて西黒尾根方面も見えるようになった。避難小屋の手前では、ちょっと間違うと右手へ降りてしまうような気持ちよい斜面が続いている。ガスっているときは要注意だ。小屋は全く雪の下、積雪量を示す標柱が小屋のあることを示す唯一の手がかりだ。ただいまの積雪3.5m…

天神尾根。この天気でも続々と 避難小屋は雪の下 田尻尾根

 天気も回復してきたが山頂はまだ少し雲が懸かっている。下山するまでには一度くらい顔を覗かせて欲しいなあ等と思いながら下る。そして今回も途中から田尻尾根コースを下る。ここはもっと歩かれて良い尾根だとおもうが、みんなロープウエーでお気軽下山が好みのようだ。今回もたったひとつのトレースがあるのみだった。もう少し経てばコブシやイワウチワが咲き乱れるこの尾根も今は全く雪の中だ。こちらから眺める谷川岳の展望も素晴らしいが、まだ神は我が願いを聞き入れてくれない。こんな時だけ神頼みではこれも仕方がないか…

 尾根で山頂を眺めていてふと稜線上を見るとスノーボーダーが目に入った。狭い尾根、どちらかに避けなければならない。一か八か左に避ける。これば災いしてスノーボーダーも左に回り込んだ。一瞬衝突かと思われたがスノーボーダーは体勢を崩しながらも、あっという間に我が輩の横を風のようにすり抜けて行ってしまった。いやあ、危なかった。衝突していたら二人とも今頃はず〜っと下の方でうなっていたことだろう…
しかしこんなところをスノボーで滑るとは凄い腕前だなあと変に感心する。しかしこんな場合、どっちがどちらに避けるとか言うルールがあるんだろうか?

 その後は好き勝手にトレースのない山肌を闊歩して下る。程なくロープウエーの下に出る。ここはスキーのコースにもなっており、隅の方を歩く。コースではこっちがやっかいものだろうから気をつけて歩く。
下山して駐車場に向かう折り、スキーを担いだおばさんから声をかけられた。「田尻尾根降りてきたんですか?あそこは良いよね」と新潟から来たというおばさんだ。「うちの旦那は歩きだけど、登りも下りもロープウエー、いやあ谷川岳は良いですねえ」だって。元気なおばさんと楽しく話しながら駐車場に向かう。空は快晴だった。

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