谷川岳 まだまだ雪がいっぱい
2000年4月8日(土)晴
西黒尾根山頂手前より、トマの耳とオキの耳
桜の花もほぼ咲きそろいもう春です。先週は桐生へカタクリを見に行ってきました。のどかな春のひとときでした。
早春の花を求めて、のんびり山歩きをしたいなあと思ってます。あと半月もするとアカヤシオの花便りも聞かれるでしょうね。
でも…今期はアイゼンを思いっきり効かせての山歩きをしていません。このまま春になってしまうのは何か寂しい…そんなときは手軽に行ける谷川岳!! まだ雪はたっぷりあるだろうと早速出かけました。天気予報は晴れ、でも風は強いとのことであった。【山 名】 上越国境 谷川岳
【メンバー 】 単独
【行 程】 西黒尾根登山口…鉄塔…ガレ沢のコル…谷川岳…肩ノ小屋…天神尾根…田尻尾根…駐車場
0805 0830 1030? 1207-1225 1230-1255 1450
【地 図】 谷川岳(昭文社エアリアマップ 1/50,000図)、水上(1/25,000図)
自宅より約二時間弱で登山口着。1000円の駐車料金を払い、登山届けを提出し早速歩き始める。登山指導センターを過ぎるとまだ道路は雪がたっぷり。楽しめそうだと心がはやる。登山口を示す標識は埋まってて見えない。外国人2名に「西黒ですか?どこが登山口?」ってたどたどしい日本語で聞かれる。英語で答えようと思ったが、国籍不明なのでしょうがなく日本語で答える「ここを登る。私も行く。れっつご〜」。この賑やかな二人はフランス人であった。今日は肩ノ小屋までこの二人とあとになり先になりで登る。
鉄塔までは夏道はなく、ほとんど直登状態。早くも汗が噴き出してくる。今日は暖かい。おかげで雪も締まりがなくトレースがあってもズボっともぐり歩きにくい。鉄塔でひと休み。フリースを脱ぎ、身軽になって出発。手袋もいらない暖かさだ。ここから先はず〜っと雪、雪、ゆきの世界。樹間からは白ケ門方面が見える。あちらも雪で真っ白だ。
ところどころ雪庇が大きく張り出している。あんなところに乗ったらおしまいだなと思いながら歩く。風が強いがブナ林で遮られ助かる。岩の黒と雪の白、モノトーンの世界、東尾根の岸壁が見えだすとラクダのコブは近い。風を遮る木々が無くなったので防寒着を着る。さあ、これから厳しい雪山の世界に突入する。ここらで12本爪アイゼンをつける。山頂方面を見ると雪崩のあとや雪庇、クレパスが至る所に見える。うわあ〜怖そう!!鎖場もどこかわからない。ラクダのコブと思われるピークから眺めると、氷河の後と思われる急登の右手は雪崩ている。その左手を二組ほど登っている。山頂も青空の中にくっきりと見える。早速写真を写す(でも、デジカメがこの部分不調、前回と同じ症状となった。でもその後何故か復旧)
今日は風は強いが天気はよい。見通しが良ければ迷う心配もない。何カ所か緊張する場所があった。
山肌をトラバースするようなところはちょっと緊張。下を見ればどこまでも吸い込まれるような急斜面。なるべく見ないように登る。もう少し雪が締まってアイゼンが効いた方が歩きやすそうだ。ときどきズボっと股下くらいまで埋まるときもあった。途中ゆっくり腰を落ち着けて素晴らしい景観を堪能する。フランス人と山談義、「日本の山、冬が素敵ですねえ。素晴らしい!!」
ゆっくりしていたらスキーを担いだ二人に抜かれてしまった。エネルギーインゼリーで10秒チャージ!!さあ、山頂まで頑張ろう。時々山頂がガスで見えなくなる。快晴の青空とはいかないが、どこまでも展望が素晴らしい。ぐるっと縦走コースもよく見える。天神尾根コースと合流すると山頂はほんのわずか。やったね。無事登頂!!風が強いので記念撮影は無し。妻に携帯で登頂の報告。「展望最高!!」 風でほとんど聞こえない。
2000回おじさんに出会ったので挨拶する。名残惜しいが眺望にさよならして、肩の小屋に入る。結構な人だ。
なんと中学生くらいの子供を連れたおじさんもいた。下りは西黒尾根とのこと。この子供、話の内容から、結構な山歴のようだ。持ってるピッケルもかなり使い込んでいる。フランス人もサラダやパンで昼食。私は最近クリームパンからブドウパンに変更、それとあんパン、ミカンとコーヒー。う〜ん、いい香り。心が安らぐさあ、下るか、賑やかにくつろいでいる人達に挨拶し下山開始。ちょっと曇ってきたようだ。肩の広場ではスキーで下る人が数人いた。この斜面を滑るなんて凄いなあ…葛折りに滑れば急斜面もそれ程怖くなさそうだが、転んだらどこまででも落ちていくような感じだ。おおっ、こわ
途中の斜面では雪中訓練のグループが練習に励んでいる。もうアイゼンはいらないようだ。かなり雪がゆるんできて歩きにくい。ぐんぐんと下る。たぶん小屋はこのあたりかなあと思ったが何も見あたらない。先を行く2000回おじさんとまた出会ったので、小屋はどの辺ですかねえと訪ねる。「もうとっくに過ぎてるよ。まだ全く雪の中」とのこと。あと約250何回かで2000回達成の偉業らしい。今年中ですか?「そうありたいね」とにこやかに答えてくれた。下りは田尻尾根を下ろうと思っていたのでトレースの有無や状況を訪ねる。「先週下っていた人が居たけど、どうかなあ。尾根を外さずに行ってロープウエイを目指せば大丈夫だろう」
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天神平スキー場が望めるピークに到着。田尻尾根へはカンジキの後が少し残っていた。天気は良い。尾根もずっと下まで見通しがきいている。良し、予定通りこちらを下ろうと決心して下り始める。早速の急坂の下り。トレースの後はない。今日は私が道をつけるのだと思うと気分は最高。膝上までもぐりながら下る。登りだったらとても登れそうもない。時々腰まで埋まる。足が抜けなくなる苦労も何度かあった。この尾根は何度も下ったことがあるのでコースの心配はないが雪があるのでだいぶ近道ができる。直ぐにロープウエイの下に着いた。急斜面で腰を下ろし休んでいると頭上を通る乗客が手を振ってくれる。ほんと至近距離だ。思わずロープウエイがぶつからないかなと首をすくめる。
この尾根は、連休頃になるとイワウチワが所狭しと咲き誇る。まるで足の踏み場がないように…それとコブシの白い花も沢山見られる。しかし今日はまだ雪が一杯、ブナの木が春を待ちかねている。心なしか芽生えを待つかのようにちょっと色も付いて樹林帯が膨らんでいるように見える。最後の急坂を下るとスキーコースに出た。スノボーダーが格好良く滑っていく。そしてわずかでロープウエイの駅に到着。
あれっ、2000回おじさんだ。今日3度目の出会い、無事田尻尾根下れましたと挨拶して分かれる。ふと前方を見ると、肩ノ小屋で隣り合った親子連れがいた。西黒尾根を超特急で降りてきたとのこと。末恐ろしい子供だ。将来、天才登山家になるのでは…登山指導センターの手前では、雪が消えかかったところでふきのとうを採っている人がいた。春だなあ…下山報告を提出して残雪の谷川岳登山は無事終了した。今度来るときには花が待っていてくれるだろうな(^^)/~~