上州武尊山(2,158m) 2000年7月1日(土)晴れ時々曇り
梅雨の季節、青空は望むべくもないが、3週間も山に行かないと気分が優れない。この季節は雨でも似合う湿原巡りが楽しかろうと、広大なブナ林と高層湿原を散策しようと出かけた
花咲湿原コース
セビオス岳付近より中ノ岳を望む
標高差 約850m
歩行時間 約8時間25分(休憩含む)
行 程 東俣駐車場…三合平…避難小屋…水場…武尊山山頂…高山平…田代湿原…東俣駐車場
0755 0815 0905-0920 1105-1205 1325 1400 1620
地 図 谷川岳、苗場山、武尊山(昭文社エアリアマップ28 1:50,000)
注意箇所 湿原に入らないようにしましょう。中ノ岳手前の鎖場は、雨で濡れているときなどは注意
沼田から国道120号線(日本ロマンチック街道)で、吹割の滝(名瀑100選)を経て武尊口から分岐、そして武尊牧場スキー場手前の逢瀬橋から右に分かれ、しばらく進むと東俣駐車場に到着。舗装されてトイレもある広い駐車場には、沢山の車が止まっていた。今日は思いがけなく梅雨がひと休みのようで日差しが暑い。
湿原は帰りに楽しもうと、まずは三合平をめざす。登山口には真新しい「熊出没注意」の看板…まあ、人出が多いから大丈夫だろう…
三合平までは、なだらかな登り。わずかで到着。蓮華ツツジがまだ咲いている。シラカンバの樹林帯が青空に映える。いやあ、気持ちよいところだ。るんるん気分で歩いていると、スキー場からの道と合流し、登山届けのポストがあったので、今日の安全を祈念して投函する。
ここから山頂までは、今年の1月にスノーシューで歩いたところだが、樹林帯の様相が一変している。ブナの緑とうるさいほどに響き渡る小鳥の声、時折吹き去っていく気持ちよい風…
冬も良いけどこの季節もお薦めの光景だ。大きなミズバショウがあった。そして「眠る男」のロケ地にもなったというブナ林の中の看板をながめ、緩やかに登っていく。
やがてシラビソ?林と変わると避難小屋に到着。誰もいなかったので、ひと休みしてハーモニカを吹く。最近ハーモニカの練習を始めたので、山で吹いたら気持ちよいだろうなと思って持ってきたのだが、疲れているせいか息がなかなか続かないので上手に吹けない。もっとも、まだ、伴奏を入れたり出来ないし、レパートリーも2〜3曲のみ…人が居たら恥ずかしくて引くことは出来ない。でも、樹林帯に響く音色は心地よかった。下手でも心のリフレッシュには効果がありそうだ。
小屋から先も緩やかに道は続く。セビオス岳手前からはまだ少し雪を被った尾瀬方面の山が見える。反対側には皇海山方面が見える。そして前方にはそびえたつ中ノ岳。いったん下って登る。これが意外と急である。ここまで誰にも出会わなかったが、ここらあたりから人が多くなった。鎖に助けられ登る。
今日一番きついところだ。でも鎖はなくても登れるくらいだし、距離も短いので展望を楽しみながら登る。スノーシューで登ったときは、夏道のだいぶ右を登って中ノ岳山頂に立ったが、今日は左を巻くように登り、山頂は登れない。しかし、よくあんな所スノーシューで登ったなあと我ながら感心する。
前武尊からの道が見えてくると残雪や、ショウジョウバカマ等の花が目を楽しませてくれる。
そして冷たい「菩薩界の水」。これは甘くて柔らかい感じで文句無くうまい。
笹の払われた歩きにくい道をトラバース気味に歩き、わずかで日本武尊像の立つ岩場に到着。喧噪の山頂を逃れてきたのか、数名がのんびり皇海山から、日光白根山方面の展望を楽しんでいた。
さあ、あと一息で山頂だ。
山頂はあちこちのコースから登ってきた、沢山の人で大にぎわい。幸い天気もまだ大丈夫のようだ。思い思いに弁当を広げ展望を楽しんだり、記念撮影をしたり、山座同定と楽しい一時を過ごしている。
「おお、苗場山が見える」と中年のおじさんグループ。「えっ、どれどれ?」「あっ、ほんと!!」とおばさんグループ数名の人が指を指している。
しかし、そのはしゃぎもつかの間、「あれは苗場じゃないですよ。三峰山です」と非情の声。中年のおじさんグループは意気消沈。おばさんグループ「やっぱりねえ、方向おかしいと思ったわ」…
そんな楽しい会話を聞きながらちょっとお昼寝。山頂でハーモニカと思っていたが、この人出ではやっぱり恥ずかしい…
さてそろそろ帰ろうかと腰を上げる。明日も休みだし、このまま天気が良ければ、明日は谷川方面の大源太山に登ろうかと予定しており、急いで下山する必要もない。のんびり花など撮しながら下る。今日は気合いを入れて重い三脚、一眼レフ、交換レンズ(マクロ)等を担いできたのだ。使わなければただの荷物 (^^;
中ノ岳から鎖場へ下る手前でショウジョウバカマを撮す。おっ、誰もいないぞ!!とハーモニカを取り出し「山男よく聞〜けよ…」と残雪をながめながら、ひと吹きする。一人満足して、気持ちよく下る。避難小屋手前から帰路は、広大なブナ林を武尊田代から田代湿原へと下る。
マイズルソウがこれでもかと言う位に咲いている。長くてだらだらとしたブナ林に飽きてきた頃、田代湿原に到着。キャンプもできるちょっとした広場があり、こじんまりした湿原には、コバイケイソウが少しとレンゲツツジがわずか咲いていた。15分くらいで一周した。
そして途中から左に入ると「ヒメカイウ」の咲く小さな湿原。初めて見たが、水芭蕉の仲間らしい。あまり綺麗と言うほどではないが、今まで見たことがなかったからたぶん珍しい花では無かろうか…
次は、花咲湿原です。時間が遅いのかなあ、誰にも出会わないのでゆっくりと花を眺める。沢山のコバイケイソウとワタスゲ、それに黄色い小さな花やハクサンチドリ?が少し。
白いコバイケイソウの花に、綺麗な大きい蝶々が花から花へと飛び回っていた。
ここらあたりは「武尊自然観察遊歩道」となっている。歩きやすい道をどんどんと下る。途中の沢は雪解け水で冷たい。日焼け止めを落とし顔を洗う。痛いくらいに冷たくて気持ちよい。
そしてわずかな登りで林道に出る。看板が立っており、フムフムこっちかと林道を下る。
ところが、これが大間違い(^^; 本当は林道を横切ってそのまま自然歩道を行き駐車場へ戻るのが正解のようだ。左手にスキー場が見えておかしいなあと思ったのは後の祭り、地図を確認する。
わずかとはいえ、もう戻る気力はない。幸い、このまま林道を下っても大した距離ではないので、そのまま下ることにした。駐車場にはもう数台しか残っていなかった。
そこに高級外車が到着。どこかの大使館の車のようだ。降りてきた可愛いお嬢さんが、たどたどしい日本語で「どちらのコースが楽しいですか?今からどこくらいまで行けるでしょう?」と聞いてきた。国からやってきた男性に日本の山の素晴らしさを教えたいとのことである。どこの国かしらないが、三合平あたりでシラカバやブナの林を見てきたらどうですかと薦めた。
そこまで行けば白根山あたりもあるんでたぶんいやあ、日本の山、ベリーグッドと思って帰国できるでしょう。
帰路は川場の方へ抜け沼田へ出ることとした。途中、真新しい「花咲の湯」で汗を流す。小暮真望さんの、尾瀬を初めとした各地の風景がを常設展示している。これは見応えがあった。
花咲の湯 住 所 群馬県利根郡片品村花咲1113 営業時間 夏期 10時〜21時 休館日 毎月第2、第4水曜日(祝祭日の場合は営業) 料 金 大人 500円、子供 300円(小学生以下)、3才児未満無料 設 備 露天風呂、岩風呂、小暮真望ギャラリー、大広間、レストラン、眺望テラス 交 通 関越自動車道沼田ICより県道平川・沼田線 20km30分他