富士山

日本最高峰 剣ケ峰を望む
 15時40分の須走口息の登山バスに乗る。乗客は10人。日曜日夕方のせいだろうか、少ないね。日本人はわずか二人。さすが富士山は外国人にも人気が高いようだ。車内には英語、**語が飛び交う。運転手も「エチケット袋、プリーズ」と愛嬌を振りまく。ガイドブックを配ったり親切な運転手だ。バスは自衛隊の演習場の脇を通り約1時間で五合目登山口に到着。

須走り登山口(五合目)「ウエルカムプリーズ ステッキ プリーズ」と店のおばさんが声をかける。下山してきた雰囲気の子供に「どこまで行ってきたの?」、得意げに答える坊主、「山頂!」「よく頑張ったねえ、記念のスタンプどう?」とさらにおばさん。元気だ、活気ある雰囲気の登山口、さすが日本一の富士山だなあ

 登山口の気温は約15度、半袖姿で歩き始める。少しガスが出てきたようだ。最初は樹林帯の緩やかな登り。いよいよ富士山への登山がスタートした。なんかいつもの山歩きと違った気分、これが富士山という山の独特の雰囲気かなあ…外人の男性がビューンと通り過ぎていった。そして次に現れた展望の良さそうな広場で「***キム***」と叫んでいる。下の方から「***」とキムさんの声がする。待って〜って言ってるように聞こえたが気のせいかな(^^;;;

山頂が見えた!木が低くなってきた。少しずつガレた道となってくる。2,350mあたりで一休み。するとガスが消え山頂が見えた。見上げる山頂はいつも遠くから眺める富士山の雰囲気とは似ても似つかない。ただ、まだまだ遠いねと感じた。そして本五合目を過ぎ2,500mあたりでまた一休み。なんか休んでばっかり…草刈りの疲れかなあ、いやいや、やはり薄闇の中の歩きはちょっと歩きにくく疲れやすいようだ。気温は13度だ。ちょっと寒くなってきたので長袖シャツを着る。ここでおにぎりとソーセージの夕食。


 下山道の方から賑やかな嬌声が聞こえる。グングンと下っている。なるほど、あれが一歩で2〜3m下るという砂走りか、楽しそうだなあ。と思ってみていると、転けた。すかさず立ち上がりさらに颯爽と駆け下っていった。そして6合目、静かな小屋からはナイター中継のラジオが聞こえてきた。途中、廃墟となった小屋後あたりで道を間違いそうになる。そろそろライトが必要のようだ。風も少し強くなってきた。毛糸の帽子を着用する。七合目では9度、雲の合間から月が出てきた。しばし小屋前のベンチで休憩し月や眼下の夜景を楽しむ。上を見ると、所々に灯りが見える。まるで不夜城のように灯りがついている。小屋の灯りでしょう、やっぱ富士山だなあ…と感心してばっかりだ(^^;;;

ようやく到着、本八合目 本七合目、3,250m到着。いやはや富士山は合目表示に「本…」とついてる所と何もついてない合目がある。どんな意味があるのだろう?やっぱ日本一の富士山だからかなあ…7合目の小屋から男性が出てきた「う〜、さぶ〜、どちらまで?」と声をかけてきた。歩いてるとあまり感じないが、やっぱり寒いんだなあ、さあ、あと一息だ。八合目では、3人の高校生だろうか、頑張って今日中に下山するとのこと。一人は無性に寒がっていた。かなり疲れている雰囲気、無事下山できればいいが…そしてわずかで本八合目に到着。今宵の宿「胸突江戸屋」だ。

 「朝は、間に合うように起こしますからごゆっくりどうぞ」と寝床へ案内される。20人くらい寝れそうな所にたった一人です。やはり日曜日の夜、客は少ないようだ。向かいの寝床には4人くらいがいたようだ。ついてすぐ寝ると高山病になりやすい?と聞いたので少し地図など眺めながらのんびりすが、そのうちに寝てしまった。

沢山の人だ。本八合目にて 「そろそろですよ〜」と遠くの方からなんか声が聞こえる。「そうだ、富士山に来ていたんだ、起きなくっちゃ」心地よい疲れでぐっすりと寝ていたようです。時計を見ると2時15分。トイレに行こうと外に出ると、どこにいたのか沢山の人が出現した。この団体さんに巻き込まれたら大変だと雨具の上下、フリースの手袋、フリースジャケットを着込んで急いで出発する。まだ体が起きていないようだ。息が切れる。ガイドのお姉さんが必死に叫んでいる「ゆっくり、ゆっくり…休むときにはいっぱい息を吸ってね、はい深呼吸!急がないでね、十分御来光には間に合いますからね、石を落とさないで!」と元気いっぱいの声。一緒に励まされてゆっくり進む。星明かり、月明かり、それに沢山の人の列でライトはいらないほどだ。

山頂のお店 所々に死んだようになって休んでいる人がいる。もうダメとへたりこむ人がいる。高山病の影響だろうか?幸い我が輩は疲れる以外は気分爽快。若者が頑張って走って登っている。そして「ついたぞ〜」と雄叫びが上がる。つられて急ぎ足になり、新宿の繁華街かと見まがうような(ちょっとオーバーかな)山頂に到着。まさか、山の上にこのような光景が出現するとは思っていなかった。「豚汁、普通は800円だけど、本日は600円ですよ〜。暖かいよ〜」「さあ、メダルいかが〜山頂限定品ですよ〜」と賑やかだ。


 少しお店を見学したあと、御来光の場所取りだ。一番前のベンチ獲得。すぐに前後左右が埋まってしまった。まだ4時を少し過ぎたばかりなのにねえ。気温は5度くらいだ。風は殆どないがじっとしていると寒い。
オーバーズボンを着込む。隣の人は寒そうにがくがくと震えていた。早く陽射しが欲しい!
 下を見るとゾクゾクと上がってくる。ライトの列が綺麗だ。少しづつ東の空が明るくなってくる。早くしないと御来光間に合わないよと人ごとながら心配する。振り返るともう人人人で溢れかえりそうだ。やっぱ富士山だなあ、年代も中学生くらいからおじいさんおばあさんまでが思いは一つ。皆、日の出を待っている。
いよいよ、日本一の山から眺める御来光だ。どんな光景が出現するんだろう…

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