雨の表銀座縦走
その3
大天井ヒュッテ〜槍ケ岳山荘
2000年9月23日(土)雨〜25日(月)晴れ東鎌尾根を望む 後方は西岳
展望の良い東鎌尾根、槍ケ岳はまだまだ遠い
やったあ、晴れだ!!
サッカーは負けたようだ。残念。しかし朝はガスっていたが次第に晴れ間がのぞくようになり、天気回復の兆し。やったね。天気の回復にあわせヒュッテを7時過ぎと遅立ちにする。ほかの3人も今日はのんびりしている。外にでると暖かい日差しを受けて猿が斜面で戯れている。窓から眺めていたら3名ほどが西岳方面へ下っていった。大天荘に泊まった人達であろうか?。今日はあこがれの東鎌尾根、このまま天気が続けば良いがと念じながら出発する。小屋前から左手にいったん下りトラバース気味に歩く。
そしてまた登り詰めれば気持ちよい広場である。ここからの大天井方面の展望も素晴らしい。
暑くなったので雨具やシャツを脱ぎTシャツ1枚になる。
左は常念岳方面、右は?
広場からはまた稜線歩きとなるが、右はガスってて展望はいまいちだ。左は常念岳方面の展望がうごめく雲で変化の激しい光景を見せてくれる。前方には赤岩岳への登りがきつそうに迫ってくる。
またまた雷鳥が出迎えてくれる。
今度は鳴き声までおまけに付けてくれて…雷鳥の鳴き声って初めて聞いたけどあまり格好良い声じゃないなあって感じた。
そしてようやく赤岩岳と思えるところを通過
あれが西岳?、東鎌尾根も時々姿を見せる
いやあ、まだ遠そうだ。あれに登るのかなあと思いながらタイマーで記念撮影。レンズをのぞいていたときは、ばっちり東鎌尾根の登りが見えていたのに、シャッターを待つ間にごらんの通り、背景は白一色となってしまった(^^;
西岳への登りはつらそうだなあって思い歩いていたら、何のことはない、左をトラバース気味に歩く道でほっと一安心
ヒュッテ西岳
どんなところかなあと入り口迄行ってみたが、誰もいなくて寂しそうだったので中に入るのをちょっと躊躇してしまい結局外を眺めただけだった。手前にある道標にザックが一つおかれている。ふ〜ん、こっちから西岳は登るのかと思いながら見上げると、山頂付近に一人の男性がいた。
時間もあるし登ろうかなと思ったが、やはり展望は期待できそうもなくパス。これから登る東鎌尾根に体力を残しておくことにした。
いよいよ…
道標に導かれすぐに急な下りとなる。西岳の大下りと呼ばれる難路。鎖や梯子が随所にあり緊張する。
どんどんと下る。ダケカンバなどの紅葉はまだ早い。前日の雨で濡れた岩場は要注意だ。
東鎌尾根
鞍部まで下ると険しそうな登りが見える。
数年前の地震と大雨でコースは荒れており痛々しいが、だいぶ修復され通行には問題ない。痛々しさは東鎌尾根を更に厳しく見せているようだ。
水俣乗越
ここは横尾方面へのエスケープルートに良さそうだ。東鎌尾根に恐れをなしたらこちらへリタイヤしよう。でも通れるかどうか走らないが…
その後は梯子や鎖の連続だ。写真の梯子の下りは結構急でちょっと怖かった。これも地震で壊れた登山道だろう。写真の左下のほう(写ってないが)には鉄の梯子が峡谷に無惨な残骸をさらしていた。歩いてるとき地震なんか来て崩れたら一巻の終わりだなあとぞくっとした。そういえば私はあの地震の時、重太郎新道を下っていて遭遇し、大きな岩が向かいの山から転げ落ちるのに肝を冷やしたものだ。
槍ケ岳、でそうで出ない
北鎌方面の荒々しい山容が時々現れるが、槍ケ岳はいぜん雲の中。今日はもう駄目かなあ…
晴れていたら展望も良いだろうなあ。大天井方面や西岳方面はばっちり見えるのにね
このころから天気が崩れ、また雨となってきた。でも
ヒュッテ前で見かけた3人連れをここで追い抜く。一人は体調が悪いのかだいぶ遅れている。もう一人はすいすいとだいぶ前の方だ。真ん中でもう一人がどちらにつくか迷っているような感じで登っている。
せっかく3人できたんだから、体調の悪い(または遅い)人にあわせて歩くのがパーティーの鉄則と思うが…
槍だあ〜
岩綾が険しくなり、急な登り。発電機の音が聞こえてきたと思ったらわずかでヒュッテ大槍に到着。大天井ヒュッテで出会った夫婦によると、ここは凄くいい感じ(食事、サービス、雰囲気等)だったようだ。これを聞いていたAさんは、ここに泊まろうかななんて言ってたがどうするのかな?やはり肩の小屋に比べ位置的には損をしているので、サービスを良くしないとなかなか泊まってくれないのだろうなあ。
なにが何でも山頂って言う人でなければ静かに泊まれる小屋かもしれないな。(でも最盛期はたぶん混むんでしょうね)
そして待望の槍ケ岳のお出ましだ。まだ少し白いベールをかぶっているが、それでも槍は槍!!
しばしヒュッテ前の広場にたたずみようやくの出会いを満喫する。
最後の岩綾の登り
ヒュッテ大槍からはこのコースの核心部。厳しそうな岩綾が登高意欲をそそる。左手には槍沢からの登山道を登る人達が見える。この岩綾の尾根から見下ろすと何となく優越感を感じる。岩の間から見える槍ケ岳、写真を撮るには絶好の被写体のようだが、このころ雨がひどくなってきたのでカメラの出番がない。明日晴れたらこのコースを下り、坊主の岩屋に降りようかなと思いながら登る。でもそのための条件は今日天気が回復し、槍ケ岳山頂を踏めることだ。ちょっと無理だろうな。
そして山荘着
到着したときには槍ケ岳はすっかり顔を隠していた。まだちょっとご機嫌斜めのようだ。受付を済まし部屋にはいると、もう登る気力は失せた。ゆっくりとウイスキーでも飲んで体を温めよう。そうと決まれば雨具など濡れたものを乾燥室へ…いやあ、いっぱいだ。
でも寝るのは十分ゆとりがある。通常10人寝るところにゆったり5人。その2段目は空いている。両隣の人と山談義をしたり、談話室でオリンピックを応援したり、のんびりした時間を過ごす。女子マラソンの高橋選手のゴールシーン(ニュース)にみんなから拍手が起こる。体操の競技にも日本選手に大きな期待を込め拍手がわき起こる。でも隣のテレビ?では天気予報があまりよろしくないようなテロップを流し続けている。おっ、見慣れた人がいるぞ、Aさんだ。テントを張ろうと思ったが雨で小屋泊まりに変更したようだ。
晴れた!!槍が見えたぞ〜
談話室でストーブで暖をとり本を読んでいたら、窓側の人が「槍だ!!、見えたぞ!!」との声がかかる。ドドドっとみんなが駆け寄る。いやあ、凄い、写真だ写真だとみんなが談話室を飛び出す。私も例外でなくこのチャンス逃してなるものかと部屋に戻り、カメラを手に外へ出ようとした。しかしスリッパがない!!靴を取りにまた戻る。このロスが後れをとり外に出たときは、ただ真っ白な景色ばっかりで槍はどこだっと一人心の中で叫ぶ。しばらく待ってみるが、もう槍は出てこなかった。再度のチャンスをものにしようと靴とカメラを準備し談話室で待機。そして30分もしたろうか。また「槍だ!!」の声。今度は3番目で外までは出た。しかしもう槍はガスの中…
ついに夜がやってきた。もう今日はチャンスは現れないだろう。またのんびりした時間を過ごす。ウイスキーを飲みながら…
明日は晴れるかなあ…
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