甲斐駒ヶ岳 2000年9月2日(土)〜3日(日)晴れ時々曇り
黒戸尾根8合目上部の岩稜
以前北岳や鳳凰三山から眺めたときから、その白く輝くダイナミックな山容に惹かれ、登ってみたいものだと思っていたがようやく実現した。甲斐駒登るなら黒戸尾根からとこだわっていたが、標高差2,200mを一気にはやはり厳しく、小屋泊まりとした。
【山 名】 南アルプス 甲斐駒ヶ岳(2,967m)
【メンバー 】 単独
【行 程】 9/2 横手登山口…笹ノ平…刀利天狗…五合目小屋…七丈小屋(泊)
0645 0900-15 1110 1205-25 1330
9/3 小屋…8合目…甲斐駒山頂…七丈小屋…五合目小屋…刀利天狗…笹ノ平…横手登山口
0530 0605 0700-40 0840-0900 0930 1000 1050-1105 1220
【地 図】 甲斐駒・北岳(1/40,000図 昭文社エアリアマップ 10) 、長坂上条&甲斐駒ケ岳(1/25,000図)
写真はこちらをどうぞ
黒戸尾根
伊勢崎を23時過ぎに出発したが、途中で眠くなり1時間ほど仮眠をとり再び車を走らせ、3時45分ようやく横手駒ヶ岳神社へ到着した。
竹宇からも考えたが、こちらの方が楽そうで横手からとしたが、七丈小屋の管理人から聞いたところではこちらの方がちょっときつそうだとの事であったが後の祭り(^^; でも標高は同じくらいです。駐車場は神社から100m程下にあり20台ほど停められる(登山者用と言うより参拝者用が主のようで好意で解放しているのだろう)
登山届けを提出し、神社横の道路を少し歩き登山口の標識に導かれ、最初は、雑木林をひたすら登る。いい加減疲れてきた頃いったん下ると水場だが、枯れており全く水気はない。そしてまた登りが続き15分ほど登ると水がわずか出ていた。そして竹宇との合流地点に到着。横手への表示はなく竹宇への近道とあった。下りは間違わないようにしなければと思いながら握り飯をパクつく。そして笹の中を歩き約15分ほどでちゃんとした表示のある分岐に着いた。そして笹ノ原とはちょっと大げさなテントが一張りくらいの広場でひと休み。ここで大きなザックを背負った二人連れに抜かれた。本日初めて人との遭遇だ。
刃渡り
二組ほど追い抜き、しばらくは樹林帯の中をひたすら歩く。苔むして鬱蒼とした原生林はひんやりと気持ちよい。八丁登りと呼ばれる急登はそれ程急登とも思わないうちに通過、そしてようやく「刃渡り」と呼ばれる一枚岩に到着。ちゃんと鎖が張ってあり用心して歩けば全く問題ない。ここからは展望が素晴らしく、八ケ岳や富士山、鳳凰三山が望めた。少し行くといよいよ梯子が出現。一汗かいて登れば「刀利天狗」だ。これからまた展望がなくなる。
五合目小屋
一生懸命登った。黒戸山を右から巻くように通過しいったん下ると五合目小屋だ。営業はしていない。中は板張りで20人ほどは寝れそうだ。水場が裏手に5分ほどとあったので行ってみたが、溜まり水でとても飲めそうもない。途中大きなキノコがあった。
そしてまた下る。壊れかけた小屋があり、その裏手には沢山の石仏や石碑があった。そしてすぐに急な梯子の登りだ。
七丈小屋
ようやく着いたぞ〜。ここまでの標高差約1,800m!! 苦しい登りでゼーゼー言いながらようやく受け付け、住所を書く手もふるえて下手な字だ。
一泊二食で6,700円と安い。(素泊まり2000円、寝具付き素泊まり4000円。夕食付き5700円)すでに10人ほどが到着していた。早い人がいるんだなあ…場所を割り当てられ早速ビール。(ロング缶700円)…小屋案内はこちら
一階は左右に畳の間、そして二階も数人可能。最終的には24人が夜を共にした。小屋前の広場で同宿者とカメラ談義、山談義。眼前の鳳凰三山が素早い雲の動きで出たり引っ込んだり。富士山も見える。甲斐駒山頂方面は厚い雲で全く姿が見えない。明日はどうなるんだろう。
食事までののんびりした時間、本を読んだり一眠りしたり、それぞれ楽しい時間を過ごしている。私はウイスキーをちびちびやりながら両隣の人と山の話や明日の行程などをだべりながら過ごす。ちょっと飲み過ぎたかな(^^;
そろそろ夕食、自炊組が料理を始めた。(同じ小屋内でOK)美味しい匂いが立ちこめる。皆腹が減っているのか、美味しそうだなあとか、手つきいいねえとか言って自炊しているお姉さんを見つめている。お姉さんちょっと恥ずかしそう…
17時過ぎに夕食。出てきた食事を見てびっくり仰天。山小屋にしては凄いごちそうだ。これじゃあビールが必要だな。
皆「ビールちょうだい」って小屋番さんに声をかけている。「ご飯あるからおにぎりいる人はどうぞ」とサービス満点だ。
さて、明日はどうしようか…黒戸尾根をピストンも大変だなあ、北沢峠へ抜けて甲府経由で登山口まで戻ろうかとも思ったが以外とバスが不便である。まあ、あの尾根を下るのもまた良かろうとピストンに決定した。
夜、布団をひいて貰って横になっていたらいつの間にか寝てしまった。
眼鏡がない!!
朝です。鼾も聞こえずぐっすり眠れました。顔を洗って荷造り開始。あれっ眼鏡がない。あちこち探すが見あたらない。確か寝るときに酔って気持ち良かった為か、はめたままいつの間にか寝込んでしまったような気がする…
寝具はもうたたまれており、その中に紛れ込んだのかなあ。探すのやっかいだなあと思っていると朝食となる。朝食を予約したのはわずか数人。早々と小屋を出発し山頂をめざしている。朝も豪勢である。まずは食事だ。そして朝焼けを眺める。
山頂へ
小屋番さんが「ピストンの人はサブザック良かったらどうぞ」って声をかけている。えっ、ザックまで貸してくれるの?サービス満点だなあ、では借りるとするか。小屋番さんに「メガネ無くしたんであったらよろしくね」と声をかけ山頂をめざす。8合目あたりまでは時折雲がかかっていたが、そこから先は良い天気。富士山もばっちり顔を覗かせている。
厳しい鎖場
よくもまあ、こんな立派な石の鳥居を建てたなあ。信仰の強さ恐るべしである。8合目を過ぎるとアルペンムード満点の岩場や鎖場が楽しませてくれる。雲が急速に流れていき、虹が架かっていた。もしかしたらブロッケン現象にお目にかかれるかも知れないなと期待したが…
前方に山頂らしき頂が見えてきた。いよいよ念願の駒ヶ岳山頂に立てると思うと軽快な足取りとなった。
そして山頂
北沢峠からの道と合流すればわずかで甲斐駒山頂。展望は申し分なし。ここが、北岳や鳳凰三山から眺めたあの美しくも凛々しい山頂か…遂に標高差2,200mを登り切り山頂に立ったぞ〜と感動の一時を過ごす。小屋で同宿した人達も続々と登ってくる。お互い記念写真を取り合いこの素晴らしい感動を共有する。北岳はこちらから見ると険しそうに見える。仙丈の穏やかな稜線が朝日を受けて輝いて見える。そして「槍ケ岳が見えるぞ〜」との声に「おおっ」と歓声が上がる。もちろん富士山や八ケ岳連峰、奥秩父の山々、鳳凰三山もその姿を見せてくれる。
甲斐駒山頂にて
後ろは北岳です
う〜ん、満足。今度はあの仙丈に登りたいなあと思いを残し下山開始とする。
小屋に到着。早速小屋番さんが「メガネ有ったよ。マットレスの中で眠ってた」と声をかけてくれた。いやあ、良かった。まあ、それ程悪くもないので無ければしょうがないな、と半分諦めていたが感謝感謝である。
気分良くして下りは一気に黒戸尾根を駆け下る。途中から隣の布団で寝ていた青年が追いついてきたので竹宇への分岐まで同行した。
下りながら聞かせて貰った黒部ダムから下の廊下や立山、剱山行の話には大いに興味をそそられた。