日光白根山で道に迷い…
山岳救助隊のお世話になってしまいました。恥ずかしい体験ですが、皆さんの安全な山行に少しでも参考になればと思い報告いたします。
今まで遭難のニュースにまさか自分は…なんて思ってましたが、いざ経験してみると以外とあっさりでした。ちょっとした不注意が遭難につながります。山って怖いなあと感じました。でもそれ以上に山の楽しみは限りないものがあります。山の怖さを知った今、安全第一で今後の山を楽しんでいきたいと思います。
皆様も安全で楽しい山登りでありますように!!本文は「やまある記 日光尾瀬」にあります。写真は本文中のものと一部重複しますが、ビバーク地点の写真、山の景色も含めて次のページ(5ページ10枚)をご覧ください。
日程 1998年12月20日(吹雪)〜21日(快晴) 気温…不明、とにかく寒かった
山名 日光白根山(2,578m)…今回で5度目でした(12月は初めて)
行程 日光湯元〜前白根山〜奥白根山〜前白根山〜湯元
ビバーク地点は奥白根の南、2,250m付近
メンバー 単独
状況 外山から前白根山の稜線にでる頃は強烈な風、奥白根山頂でも風は強く,見通しは無し。で、避難小屋に下るとき道を間違えたようだ。小屋を探すも見あたらず本当に迷ったなと思い、寒い山の中で初めてのビバークを決意した。
翌朝は快晴、皆心配してるだろうなと急いで下山。湯元スキー場のリフトのわずか上で捜索にでていた警察捜索隊と遭遇。一旦警察署までいったが、体調も問題なく状況を聞かれただけで無罪放免となった。捜索隊は日帰りの予定が、帰ってこないのを案じて妻が連絡したことを受け結成された署員10名であった。
服装 上…半袖Tシャツ、ウール上着、ゴア雨具上、毛糸の帽子、手袋、オーバー手袋
下…パンツ、フリースのズボン、ゴア雨具下、靴下2枚、ロングスパッツ、皮登山靴
予備…目出冒、手袋2組、フリース厚手上着、ヤッケ、ズボン下、靴下1組
装備 アイゼン12本爪、ピッケル、ストック2本、サングラス、アルミレスキューシート1枚
コンロ、ボンベ、マッチ、ライター、ヘッドランプ、ナイフ、携帯(800Mhz)、時計、細引き
地図(1/25,000図、エアリアマップ1/50,000図)、磁石、救急品(薬、三角巾他)
水(テルモス500ml、アルミ水筒1L)、タオル、ビニールシート、予備電池、ザック35L
カメラ(デジカメ、一眼レフ)、ビニール袋
持っていけば良かったと思うもの
無線機(やはり電話は頼りない)
カンジキ(人が多くても迷ったときはラッセルを強いられる)
ツエルト(アナグラが無くてもこれさえあれば)
食料 ラーメン(1)、ゼリー飲料(1)、おにぎり(2)、パン(1)
カロリーメイト、チョコレート、コンデンスミルク、キャラメル、あめ玉、甘納豆、するめ
地図 風が強いときに地図を見ようとすると飛ばされそうになったり、破れそうになるので用心しましょう。地図が無くなったら大変です。また雪などで知らず知らずに濡れたりします。防水カバーに入れておくと安心ですね(ビバーク地点は次の地図参照)
費用 捜索は警察のみであったため不要でした。
保険 次の保険に加入しています…三井海上火災保険(03-3344-3614)
山岳登山 保険料1万円、遭難捜索費用150万円、賠償責任250万円他
ホリデーレジャー総合 保険料5千円、救援者費用500万円、賠償責任1千万円他
今回のような冬山の場合は、山岳保険の範疇に入ります。保険の種類によっては対象外となる場合もあるので加入時によく確認することが大切です。
反省1.
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先に書いた、持っていけば良かったものを日帰りだからと省いた
山頂からの下りで見通しがないにも関わらず磁石での確認を怠った。磁石はズボンにくくりつけていてポケットに入れていた。雨具や防寒着で出し入れが面倒で、ついつい慣れた道だからと確認を怠った
アレッと思った時点で戻らずこちらに行けばたぶん…と先に進んだこと。
電話は冬山では非力。すぐに電池のパワーが落ちる(これは無線も同じと思うが)し、5度〜40度を外れると通話不能になるらしい。長野オリンピックでも困ったらしい。で、しっかり充電して持っていくことと、寒いときはカイロで暖めると良いとのことです。でも、稜線か山頂以外は殆どつながらないと思った方が良いでしょう。現在の携帯電話は非常用としては頼りないものです。
単独は無謀…とも言われました。でもこれには賛同できません。単独かどうかが問題ではなく読図力、判断力、行動力などが不足していた点は反省するところですが…
そうはいっても、単独を奨励するものではありません。一旦事故が起きれば単独ではやはり非力です。動けないようなときはどうにもなりません。そうならない為にも、単独を楽しもうと言うからにはより一層の注意力が求められます。今回のように一旦事故を起こせば、単独であった事への批判は受けて当たり前だと思います。単独で歩く場合の責任を果たせなかったわけですから…
警察、会社、家族、その他心配や迷惑をおかけしました皆様に改めてお詫びとお礼を申し上げます
どうもありがとうございました。