灼熱の阿蘇望 第10回サイクルマラソン阿蘇望
その3 完結編 俵山峠、越えれるかな?
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阿蘇望の代名詞は「地獄の地蔵峠」と言っても過言ではない…と言えるほどこの登りはきつそうだ。暑さに加え、ここまでの走りで足はもうかなりくたびれている。しかし、ここを上りきれば…完走できれば…きっと何かが見えてくる。そう、その何かを求めて地蔵峠を、そして俵山峠をめざそう。
何でこんな坂上ってるんだろう?暑い。ここで足をつけばきっと楽になるよ。そう、みんなそう思ってるんだろうなきっと…でも誰も足をつかない。蛇行しながらも汗を滴らせ上る。速度は軽く10km/hを切っている。でもペダルは休むことなく回し続ける。
そんなに頑張ってるのに、意地悪な坂は
「これでどうだ!そろそろ足をついたら」と囁きかける。
8%、10%、11%…上っては下りそして上る。歯を食いしばって…
試走の時は2度ほど足をついた。その時の場所におばあちゃんのでっかい看板があった。「ただの田舎じゃなかよ 南阿蘇村」。そうただの坂じゃないよ阿蘇望。その場所には応援の人が…頑張れ〜との声援を受けたら休むわけにゃいかないよね(^^;
でも競争じゃない。自分との戦いだ。ここを乗り切ればきっと何かがある。それを信じて上る。そう、そこにあったのは冷たい水のあるエイドだった。
命の水!
そう、人間は水が無ければ生きては行けない。この貴重な水を頭にぶっかけている人がいる。飲むのもぶっかけるのも自由。そうそれであなたが生き返るのなら水も本望だろう。
このエイド、実は峠まではまだ距離があるんです。何故ここに?だってもう限界だもんね。やった〜エイドだ。ってやっと足つけるもんね。(^^;
エイドの先まだまだ坂は続く。しっかり梅干し食べながら塩分補給していたら「お先に〜」とeddyさんが休みもしないで走っていった。途中で休むと調子狂うからだって…
この人の走りにはいつも敬服する。どこにそんなスタミナが隠されて居るんだろう?
エイドを出発するときは坂道発進です。!
ちょっと足がもたついてオットットと倒れそうになったが何とか持ちこたえた。そしてついにピークに到着。やった〜!
峠から先は快適な下り。
でも調子に乗って飛ばすといいことないですよ〜こんな注意書きがエイドに貼ってました。安全走行、追い越し禁止ですよ。誰だ〜ぶっ飛ばして行ったのは…
とはいえ快適に下る。そしていよいよ最後の俵山峠へ。
俵山峠への道に合流し最後のエイドです。今回はこの梅干しが最高に良かったです。ここからしばらく車の通行量が多い。緩やかに上り大きな橋を過ぎると大きな風車が見えてきた。バイパスと別れ峠への道に入る。試走ではトンネルを走ったので初挑戦の峠です。そんなに厳しい勾配には思えませんが、もう足が…ひたすら下を向きペダルを回し続ける。ここまで坂では足をつかなかったんで、根性で頑張ります。
とはいえ、もうヘロヘロです。道路端で応援してくれる人に「峠はまだ〜?」と訪ねる。「もうすぐだよ〜ファイト!」と励まして貰った。こんな時の応援は力倍増です。ゆがんだ顔を笑顔に代えて手を振ってこたえる。そして「水かけてあげようか?ゆっくり走ってていいよ」と沿道のおじさんが声をかけてくれた。「はい!」。氷水で冷えたような冷た〜い水を首筋にかけて貰った。おじさんありがとね、気持ちよかったです。
元気百倍!峠に到着しました。完走が見えてきた瞬間です。あとはひたすら下るのみ。こんな道です。しかし油断大敵。心のゆるみは事故に繋がります。完走の感激をじっとかみしめながらスピードを抑えて下る。バイパスに合流すると平坦な道になる。最後の力を振り絞ってフィナーレの走りです。どこにそんな力が残っていたのか自分でも信じられないくらい快適な走りです。
そして、ゴール〜〜
夢にまで見た阿蘇望、二年越しの夢が叶って目標達成。まずは完走できたことが最高の喜びです。時間なんてどうでもいいです。とはいっても自分が頑張った結果は数字で把握したいというのが人情というものです。
「約130km、所要7時間6分(休憩含む)」 うん、我ながらなかなかです。
ゴール後、感動もさめやらぬ熱い体。燃えています。興奮しています。その火を鎮めるように、冷たい水に入って体を清めました。じっと足を浸けていると痛いほどの冷たい水です。今回は水のありがたみをたっぷり感じました。美しい国、日本。これも豊かな水のおかげでしょう、たぶん。
厳しくも楽しかった阿蘇望。苦しみに耐えその先に果たして我が輩は何を見つけたのか?それは…
頑張らないで頑張る。「出来ないことは出来ない」と諦めずまず挑戦してみる。やるからには全力を尽くそう。それは人との競争ではない。自分の弱い心を知り、それと共存し願いを叶えていく。そう、阿蘇の雄大さに比べればちっぽけな自分ですが、出来ることはある。
阿蘇望万歳!
帰路のバスでは、完走の喜びに浸り楽しい語らいです。
「次、何に挑戦する?」いやはや、人生は楽しい。
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