島原半島一周

雲仙岳災害記念館 がまたドームにて

走った日    06年2月12日
コース     島原鉄道愛野駅〜小浜温泉〜口之津〜深江〜島原〜多比良〜愛野駅
走行距離   約105km

 九州に転勤となり、走ってみたいと思ったところNO.1は長崎県の島原半島です。距離も手頃だし、有明海の真っ青な海をのんびり眺めながら、そして雲仙の山々を眺めながら走りたい。できれば一日は山に登り温泉も満喫したいと常々思っていた。
 「明日長崎のランタン祭りに行くよ」って以前志賀島を御一緒したTさんが言った。そう言えば長崎で祭りがやっていたなあと思い出した。以前から写真を撮りたいと思っていたので、よし我が輩も行ってみるか、できれば島原半島を一周して、夕方長崎に入り、そして翌日は普賢岳に登る。うん満足のスケジュールだ。

 Tさんは日曜日に所要があるため、サイクリングは御一緒することが出来ない。また機会があったら走りましょう。 しかし土曜日の出発が遅れてしまった。前日にお客様が来て急遽飲み会となったのだ。飲み過ぎてしまった。朝早めに起きるのは辛い…う〜ん、これで島を一周して長崎入りの予定は時間切れ。

島回りだけにして翌日長崎入りかな?天気予報を見ると土曜日は快晴の予報だったのが、いつの間にか曇り空、夕方には雨との予報に変わっていた。出発前から気勢がそがれてしまった。だが、日曜日は大きな晴れマーク。予定は変わった。土曜日に長崎でお祭り見物。そして日曜日に島回りとしよう。今回は山歩きはパスだな。山も行きたいが、まずは3月の天草150kmに焦点を当てているのでしばらくは自転車が優先だ。

 長崎ランタン祭りを見ようと駐車場に車を停めそこから自転車で観光をした。長崎の町中は自転車で走るにはちょっと厳しいね。坂はあるし車は多い。自転車で走ってると車から思いっきり迷惑がられているように感じる。気分はブルーだ。
 夕方になり祭りの会場「湊公園」へは、一旦駐車場へ戻り電車で向かった。凄い人だかり、人を見に行ったようなものだった。天気予報通り夕方雨となりそそくさと駐車場に戻る。

 今宵の宿は車中泊です。お祭りが明日で終わりというので長崎の街は宿はどこも満員。大村や諫早も探したがやはり無い。やっぱ前日に探そうなんて無理だよね。で、車中泊になったわけです。
明日の出発は諫早から走ろうと思っていたので、諫早へと戻る。
 公園の駐車場で泊まろうかと思ったが、朝8時半までは入り口に鍵を掛けるらしい。ここにサイクリング中車を置くのもどうかなと思い断念。近くを探すが適当なところがない。仕方なく明日は愛野から走ろう、で、次の候補地は愛野展望台駐車場にしようかな?行ってみると、「長時間の駐車、または置き車はご遠慮下さい」との看板。で、またまた断念。う〜ん、困った。じゃあ明日のコース下見ついでに小浜あたりまで行って探してみようと走ってみる。

 千々岩から先は急な上り、そして急な下りで小浜に着いた。ここを明日自転車で走るのは激疲れそうだなあと思いながら駐車場を探す。温泉街の中に手頃な有料駐車場があったが、最後にあの急な登りは自信がない。それに、疲れたときの輪行が出来ない。帰ってきての温泉は魅力だが、やはり愛野あたりで探そうと戻る。戻りに、千々岩から海岸線を迂回する旧道を走ってみた。なるほど、ここを通れば起伏が少なくて楽だ。わざわざここまできた最大の収穫だった。

 愛野駅に戻る。よく見ると「駐車一回320円」とあるではないか。な〜んだ、最初からここに来てみればと思ったのも後の祭り。寒くないように毛布を引いて寝袋にくるまり途中で仕入れた水割りを嗜みながら明日の走りを夢見て眠る。

 朝です。8時前に目覚める。もうこの季節寒くはなかった。駅員が既に出社していたので、320円を払いに行く。ニュースでは強風注意報が出されている。確かに風が強い。空き缶がころころと転がり、草木が風で揺れている。それに寒い!いやあ、まいったなあ…どうしよう。気が滅入る。まあ、少し日が上がってから途中まででも走ってみるかな。とのんびり支度する。風は相変わらず強い。 意を決して8時半に出発。コースは予定通りだ。町中に出ると風はそう強くない。

 早速愛野展望台までの登り、朝一番の登りは疲れる。この自転車で坂を上るのは初めてだ。色々とギアを試しながら走る。路側に引かれた白線、何故か凸凹している。走りにくいことこの上ない。これは車を対象にしたはみ出し防止であろうか?自転車にはいい迷惑だ。
 展望台から眺める景色は、今日の素晴らしい走りを約束させてくれそうな雰囲気だ。記念撮影していると「撮しましょうか?」と男性が声を掛けてくれた。親切な青年に礼を述べ、バッチリ撮して貰った。

 さて、上ったあとはいつもの事ながら素晴らしいご褒美が待っている。しかし今日のご褒美はちょっと激しかった。思いの外急な下り、ブレーキを掛けながら恐る恐る下った。まえのOCR1とはブレーキの角度が違うのか、ちょっと違った感触に戸惑った。でもやっぱり下りは爽快だ。そして更に厳しい劇坂が待ち受ける小浜への道だ。ここは作戦通り昨夜偵察していた海岸沿いの道へとエスケープする。狭いが緩やかな勾配でスイスイだ。そして下りは長く楽しめる。注意はいくつかあるトンネルだ。狭いので車が来たら要注意。自分の存在を点滅ライトをつけてアピールだ。

 暖かさを感じさせてくれる湯気があちこちから出ていかにも「温泉ですよ〜」と言う雰囲気の小浜温泉から先は海岸沿いの気持ちよい道だ。でも風が少しづつ強くなる。まあ、このくらいの風ならへっちゃらだいと気を振り絞ってグイグイと進む。金濱の眼鏡橋を見学。先人の苦労を偲びながら先に進む。このあたりから急峻な山肌となり、いくつかのロックシェード(落石防止のトンネルみたいなもの)があった。強い風に浸食された岩は迫力がある。

 風が強いので岩にあたる海水が白波を立てる。カモメも強い風で苦労しているようだ。ちょっと沖に変わった岩が立っていた。長年風雪に耐えてきたのであろう、水面近くがかなり浸食され今にも倒れそうな危なっかしい感じだ。しかし、反対側から眺めたその岩は我が輩を励ましてくれた。
 まるで人の顔そっくりだ。髪の毛もあり、耳や鼻、そして目もあるように見える。若者風のその岩は大きく口を開き風に吠えている。「負けるものか!」って。
そうだよね人生挫けちゃいけない。

 我が輩も強風に耐えかねて一周するぞと誓いを新たにした。元気をくれて有り難う!
時計回り、島原鉄道の最終駅「加津佐」迄は、それほど急なアップダウンもない海岸線の走り。そして口之津に到着。ようやく半分来たってところだろうか?ここはその昔、南蛮船来航の街らしい。大きな異人さんの人形があった。ここで本日初めてのサイクリスト数名に遭遇。あっという間に通り過ぎてしまった。元気だねえ(^_^;
 このあとすぐにコンビニで休憩していたので、余裕の表情で手を振り挨拶して颯爽と通り過ぎた。

 しかし、このあたりから東側沿いの海岸線は強い風が吹き付けてくる。たまには後ろから押してくれるが、横から前から容赦なく吹き付けてくる。いやあ、まいったね。やはり強風注意報は伊達じゃなかった。それに小さなアップダウンが続く。強い風は何でもない上りを滅茶苦茶楽しませてくれる。辛い上り…

 凄い標柱があった。未知の土地を走るときは、地図もいい加減なものしか準備していないので案内板が非常に頼りになる。しかしこの標識は何の役にも立たなかった。方々に指し示された案内は「ベトナム共和国、ブラジル、東京、横浜」って書いてました。何考えているんだろうね、まったく。たぶん渡り鳥か宇宙船を対象にした案内板じゃなかろうか(^_^;
 布津町の坂で万事休す。腹減ったのでひと休み。ここで先程のサイクリスト集団に追い抜かれた。

 やっぱ元気だね。風なんてものともしないぞってな感じで爽やかな笑顔で走り去った。
まあ、他人のことは気にせずのんびり走りましょう。堂々とした普賢岳が見えてくると深江は近い。そうです。このあたりは記憶に新しい、あの世にも恐ろしい火砕流が押し寄せてきた雲仙岳災害のあったところです。
 今ではのんびりと噴煙などあげながらひと休みの雲仙岳ですが、その下には巨大なエネルギーを持っているんでしょうね。その災害を記念した「がまだすドーム」で見物がてら一休みです。

裏に回って見ると真っ青な海が気持ちよかったです。向こうに見えるのは阿蘇の山々かなあ…
「ようこそ島原へ」の看板が迎えてくれました。やったね。腹が減ったので、昨日食べ損ねた長崎チャンポンでお昼です。まあ、島原ですから本場の味と言っても良いでしょう。具だくさんのチャンポンが体を温めてくれる。
 ここから先は有明海の干潟を眺めながらの走りです。ずっと先まで潮が引いています。ムツゴロウが泳いでいないかなあと目を懲らすが全くいませんでした。お昼寝中かな(^_^;

 このあたりから風当たりが弱くなり、快適に走ることが出来た。多比良港に到着。もうここまで来れば着いたようなものです。風も弱くなりちょっとした坂もグイグイ走ります。そしてついに愛野駅に到着。やったね。
駅員さんが出迎えてくれました。「一周してきたのかい?」しばし駅員さんと談笑。この駅は電車もまばらな為時間を持て余しているんでしょう。昔このあたりに我が輩の会社の工場があった事を話すと「○○さんは今は隠居しているよ。○○さんは元気にしてるよ」と色々な話に花が咲きました。

 駅員さんに別れを告げる。帰路は時間が早いので高速道路を使わずに先日牡蠣食べツアーで走った多良街道経由とする。自転車で走っても長かったが、車でも結構ありますねえ。九千部山の頂上からアマチュア無線をしている男性と交信しながら帰りました。

 最初は、風が強い、寒い。疲れたら鉄道で輪行くしようか等と弱気の出発でしたが、完走できて大満足の島原半島一周となりました。今度は風の少ない日にのんびりサイクリング、そして小浜温泉に泊まり翌日は普賢岳に挑戦もいいかな

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