急峻な県界尾根で赤岳へ

1999年7月24日(土)晴れ


県界尾根は頂上手前で厳しい登りが続く待ちに待った梅雨明けだ。


主峰赤岳をめざす
東面からの登山道のひとつ、急峻な県界尾根に清里側から挑戦した。昨年歩いた真教寺尾根から眺めた長〜い尾根、そして頂上手前の急峻な岩場の登り。
下りはやはり厳しい真教寺尾根。人気の八ケ岳ですがこちらは静かな歩きが楽しめました。

【山 名 】  八ケ岳 赤岳(2,899m) 単独
【メンバー 】 単独
【行  程】 タカネ荘…小天狗(県界尾根)大天狗…赤岳(真教寺尾根)牛首山…タカネ荘
       0640   0815-0830       0915  1045-1215     1350    1510


 タカネ荘駐車場に車中泊をして4時半頃目覚めると一面のガスで視界が悪い。いやあ、駄目かなあ…ともう一眠り。そして6時再び目覚めるとまだガス。しかし空を見ると何となく明るくなる感じだ。予定より1時間遅れで出発。緩やかな車道を約20分、そしてゲートを越え沢添いの林道を進むとようやく赤岳が望める登山口に到着した。ここから小天狗まではカラマツなどの茂る急な登り。そして野辺山からの道と合流すると緩やかな尾根となり展望の良い小天狗に到着。


 

富士山がくっきりと見える。北岳方面の山々も雲海に浮かび素晴らしい展望だ。ここより横岳や権現岳を眺めながらの気持ちよい尾根歩きが続く。そしてここが大天狗かなと思われるところを過ぎ、シラビソやダケカンバが多くなると傾斜が急になってくる。

 

 ここからがこの県界尾根の楽しい部分である。富士山を眺めながらひと休み、気合いを入れ鎖や鉄梯子に助けられ慎重に登る。そして一段落したところにビバーグできそうな小さな岩穴があった。そして又、岩屑の長〜い鎖場。雨の時などは要注意だ。
 

 

 

 

 

 

 ハイマツ帯となる頃横岳への分岐に到着。視界が良くなり横岳や赤岳展望荘が見えてきて赤岳をめざす登山者の列が続いている。更に急峻な鎖場は続く。山頂まであと少し、そこで今日はちょっと変わった試みをする。
 展望も良いので擬装家族登山を思いついた。携帯で妻に電話し、話しながら山頂をめざす。ゼーゼーハーハーと素晴らしい景色やつらい登りを実況解説しながら一緒に登っている雰囲気を楽しんだ。途中娘も電話に出て家族団結の力で最後の急場を登り切り赤岳頂上小屋に着いた。「バンザ〜イ」「ヤッタネ!!」と家族の励ましの言葉を受け心も爽やかだ。


 

 そしてひと休みの後、登山者でごった返す山頂に到着。風を避けて端っこの岩場のところで休んでいると「おにいさん、すみませんシャッターを…」「すみません、ちょっと写しますのでよけてもらえます?」等と落ち着かない。ひとしきり団体さん達の喧噪が続いていた。まあ、この素晴らしい展望じゃあしょうがないかな…予定より早く着いたのでしばらく富士山や南アルプスの展望を満喫。そして登頂記念に家で待つ妻と無線交信を楽しむ。山頂は電波も混んでおり空きチャンネルを探すのに一苦労だった。そして山梨のはだか山、栃木の馬不入山の移動局とも交信できた。

 

  眼下に長〜く伸びる登ってきた県界尾根と今から下る真教寺尾根が見える。さあ、気を引き締めて下山開始。まだまだ登ってくる人もいてちょっと渋滞気味。

 

 

 

 
岩稜を少し下りキレットへの縦走路と分かれるとすぐに岩礫の急な下りが続く。脆そうな岩塊、落石に注意しながらの鎖場が連続する下りは緊張が続く。そして最後の鎖場はほぼ垂直で足がかりも少ない岩場である。ここを無事下ればあとはシラビソやコメツガの樹林帯となり勾配も比較的緩やかとなってくる。そして30人くらいの団体さんに道を譲ってもらい緩やかな登りで樹林で展望のない扇山に到着。団体さんで賑やかになりそうだったので牛首山まで休まずに歩いた。それにしてもあの人数で急峻な鎖場の下りは大変だったろうなと感じた。岩場で遭遇しなかくてよかったなあと胸をなで下ろす。

 

牛首山からは比較的緩やかな下りだが、疲れた足には結構こたえる。いくつかの山肌の崩壊地を用心して進み、観光客で賑わうリフト終点を左手にみて笹原の中を下り羽衣の池を経てタカネ荘に到着。
二つの厳しい尾根であったが、真教時尾根の方が距離も長く登りもきつい。また岩場の登りもこちらの方が難しいなと感じた。