野天風呂を堪能 本沢温泉&天狗岳 (その2)
01年12月15日(土)小雪〜16日(日)曇りのち晴れ 

天狗岳から硫黄岳方面を望む

 夕食までのひととき、談話室を覗いてみた。薪ストーブが燃えている。暖かい。しかし部屋は薄暗く、隅の方では自炊の人が居たりしてなんか談話室といった感じではない。上を見ると濡れた服が干していたりして、乾燥室、談話室、自炊室?などと感じながらストーブに手をかざす。まあ、部屋より暖かいだけでも良しとしよう。数人のパーティーと話が弾む。野天風呂に言ったことを離すと「こんな日に行くのはよっぽどの風流人か、**だけだろう」と言われてしまった。でもその人は時分も生きたそうな口振りで羨ましそうに話題に加わってくれた。


 ご飯ですよ〜と親父が呼びに来た。食堂も寒かった。大きなジェット機のエンジンのようなストーブがゴーゴーと燃えていた。しかしもう一つある大きな方は火がついていない。結構寒いんだよね。もう一台もつけてくれればいいのにねえ。さて、ご飯です。でもメニューを見ると、ちょっと期待はずれ。楽しみにしてたご飯、まあ、山小屋だからしょうがないよねと諦める。でもここって山小屋というより温泉というイメージの方が強かったのは事実である。まあ、勝手にそう思った方が悪いんだろうね。山小屋だもん。でも3杯もおかわりしてしまった。

朝御飯です Tさんは具合が悪そうでほとんど食べなかった。大丈夫かなあ。湯あたりしたんだろうか?寒いのでのんびり食後の語らいは保留して部屋に戻る。大分ストーブの調子も出てきたようだ。さあ、飲むぞ〜と思ったものの、Tさん持参のお酒には手が出なかった。結構や天風呂で飲んだのが聞いたようだ。Hさんは頭が痛いという。こちらも大丈夫かなあ?しかし徐々にTさん元気を回復してきておなかがすいたようだ。持参の鍋焼きご飯を作って食べ出した。暖かそうで美味しそう!これの方が夕食より良かったねと笑う。

 楽しい語らいの時は流れ、就寝の時間。風も大分弱くなってきたようである。明日の好天を夢見ながら、いびきも聞こえない(たぶん)静寂の夜はしんしんと過ぎていった。あんかが暖かいです。寒いだろうといっぱい着込んでいたが、一枚脱ぎ、二枚脱ぎ…あんかっていいなあ

 さて、朝です。天気はどうかなあ…おっ、晴れ間が見えるぞ。山の方はまだどんよりとした雲が懸かっているが、なんか期待できそうです。洗面所はどこ? ありません。今の時期無いのは当たり前なんでしょうかねえ。

 Tさんは早起きして石楠花の湯に入ってきました。根性ですねえ。他の人に声をかけても誰も狸寝入りしているのか、返事がありませんでした。今にして思えば、頑張ってはいるべきだったかなあと悔やんでます(^_^;)

朝食の時間です。どんなご飯だろうと期待をかけて食堂へ…
窓からは明るい光がさしている。これだけで気分は良くなる。ご飯の方は昨夜と余り変化無し。でもなれればそんなことは問題ない。昨夜食べれなかったTさんはおかわりをしている。我が輩は吸い物が口に合わず、今日はおかわり無し。

 さて、出発しましょう。天気も回復しそうだし予定通り天狗岳をめざすことにする。最初からアイゼン、ピッケルのいでたちだ。昨日はいった野天風呂を眼下に眺める。数人が入ろうかどうしようかと悩んでいるようだ。昨日降った雪がびっしりとシラビソなどの木々に着き、幻想的な雰囲気だ。やはり今の時期新雪は素晴らしい。のんびりと写真を撮しながら急登を登ると夏沢峠だ。ここまでは先行者のトレースがあったが、天狗方面には誰もあるいていなかった。雲が激しく動いている。ぼんやりと太陽の明かりが雲をすかして見える。そのうちあれからともなく歓声が上がった。硫黄岳が顔を出したのだ。

西天狗と根石山荘 みな急いでカメラを取り出す。このぶんなら山頂当たりでは好天も期待できそうだ。トレースはなかったが、雪も膝までもなくラッセルと言うほどには心配なさそうだ。予定通り天狗をめざす。最初は樹林帯。箕冠山までは緩やかな登り。そして一旦下りはじめるたら、眼前に真っ白な根石岳が現れた。根石山荘も真っ白になっている。雲が動く。そして天狗岳、東も西も太陽に輝き姿を現した。凄い。いい感じだ。

 軽く行動食をとり、強風に備え装備をととのえる。
さあ、これからが今回の山行の核心部だ。気を引き締めていこう!
根石岳へのだだっぴろい尾根は強風で有名なところだ。容赦なく吹き付ける風に体重の軽い我が輩はフラフラと足取りがおぼつかない。風のためか、奥様のスピードが落ちる。体調は大丈夫だろうかと気になる。Hさんが先頭だ。視界は問題ないが風が強いのでみんなあまり離れずに行こうと声をかける。心配した雪は凍結したアイスバーンと言うほどでもない。無事根石岳に到着。振り返れば硫黄岳方面の展望が良かった。雲に躍動感があるこんな天気はピーカンの青空とはまた違った感じで好きである。

 根石岳から天狗まではまた少し下がって登りとなる。慎重派のNさんは、山頂近くは風も強く危なそうだから登頂は断念しようと意見を述べる。う〜ん、どうしよう…しばし思案
風は先ほどのところが一番強いだろうし、山頂手前の尾根も今日の雪の具合なら問題なかろう。奥様の体調も問題はなさそうだし「行こう」と決定する。これからは危険地帯との認識はあるので、Hさん、Tさんご夫婦、我が輩、Nさんとする。右に寄りすぎると危険なので、極力左のコースをとるように先頭のHさんに告げる。風が強いので叫んで伝えるが果たして声は届いただろうか?

 山頂手前の細くなった稜線。ここは強風に要注意だ。しかしこのとき風はあまり強くなかった。
慎重に登り全員無事頂上に到達した。やったね、おもわず万歳をしてしまった。頂上で記念撮影。西天狗が光り輝いている。登ってきた根石方面も雲で見え隠れしている。そのうち、青空となり赤岳方面が望めた。さあ、下ろうかとカメラをしまうとまた素晴らしい光景が現れる。そのたびにカメラを取り出しまた撮す。こんなことを何度か繰り返しなかなか去りがたい雰囲気だった。

みどり池から望む天狗岳黒百合方面から数人の人が登ってきた。こちらからは結構登ってくる人が多いようだ。中山峠めざして下る。眼前には、北八ツらしい光景が広がる。雪煙が舞う。太陽に照らされてぎらぎらとダイヤモンドダストが綺麗だ。中山峠で軽い食事とする。ちょっと時間がかかっていたので、4時までには稲子湯に着きたい。峠から急な下りが続く。この登りは疲れそうだ。葛折の道、ときどき尻を着いて滑りながらショートカットをする。やがて道は平坦となりしらびそ小屋に着いた。さて登りでみれなかった天狗はどうだろう…

 流れる雲の合間から望むことができた。そして青空となり、みんなで、あそこまで登ったんだねえと感動を分け合う。一休みのあと稲子湯をめざす。やはり山は晴れがよい。昨日とは大分違った雰囲気だ。右手には硫黄岳がど〜んと構えて見えた。我が輩だけはアイゼンを外したので結構滑る。しかし二本ストックの威力は絶大だ。アイゼン外したから転んじゃったようってことになるとみっともない。より慎重に下る。

 そして林道に出る。みんなも「みどり池まではっても30分」の表示のあるところでアイゼンを外す。さあ、誰が最初に転ぶかと話題にしながら下る。林道と登山道を交互に行くようになると稲子湯は近い。安心したのか、最後に我が輩が、豪快にスッテンコロリンとしりもちをついてしまった。やったあとみんなに言われながら、笑い声の内に稲子湯に到着した。楽しい忘年山行も終わりよければすべて良し、みんな、また来年もどこかいこうね、良いお年を!

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