好展望の南蔵王縦走

1995年6月18日(日) 晴れ


 朝日、飯豊連峰の大展望と、雲海、ハクサンイチゲ他沢山の高山植物、蔵王随一の湿原芝草平と感激の密度濃い山行「南蔵王縦走」を楽しんできました。

  苅田峠…杉が峰…屏風岳……南屏風岳…不忘山…弘法清水…白石女子校小屋…
  05:55   07:20    09:15   10:05  10:50-11:45  12:35-45   13:50-14:00 
  白石スキー場駐車場
  14:20


 前夜22時過ぎにバスで伊勢崎を出発し、朝刈田駐車場に到着。出発時にはこれが明日山登りをする集団だろうかと思われるほど車内では日本酒、ビール、ワインやおつまみが座席を行き来する。しかし、24時過ぎにはアルコールも切れ、リーダーの「それじゃー消灯」との声でようやく静寂が訪れた。初めての深夜バスでなかなか寝付かれない。もう少しアルコールを入れておけば良かったかなとうつらうつらしてるうちに朝が来た。

 駐車場で朝食となる。寒いくらいだ。大鍋で用意してくれた味噌汁が最高だ。遠くには一面の雲海が見える。食事後時間も早かったのでバスでお釜見学を先に行う。お釜見学後刈田峠の登山口まで戻り準備運動、記念撮影の後登山開始だ。

 雪解けの為か、登山道はところどころグチャグチャで歩きにくい。樹林帯の中を転ばないよう慎重に歩く。刈田峠避難小屋の分岐を分け緩やかな登りで前山をめざす。ここらあたりでもチングルマ、ヒナザクラ、イワカガミ、ハンショウヅル、ゴゼンタチバナが多く見られる。もっとも私は花には疎い。同行のおばさん達が先生です。
 程なく、視界が開け振り返れば刈田岳、中央蔵王が見え一息で前山に到着。月山の白い頂が遠くに見える。そこから僅かで杉ゲ峰だ。山頂からは朝日連峰や月山の展望に感激の声があちこちからあがる。眼下には芝草平の湿原が待ちかまえている。

 緩やかな道を下り芝草平に到着。木道など無いので道を外さないよう一列になって進む。貴重な湿原を大切にしたいものだ。ここから屏風岳を目指す。沢状の登りで滑りやすい。前後から「キャー」などと声が賑やかだ。途中シャクナゲやハイマツに目を奪われている間に程なく屏風岳に到着。左側の切り立った崖から眺める雲海が素晴らしい。飯豊連峰、朝日連峰のパノラマ風景を右手に南下の後、ハイマツ等の低木帯の平坦な道をしばらく辿れば南屏風岳だ。ここでようやく不忘山が見えるようになる。まだ大分有るなあとため息がでたものの、それ以上にあの素晴らしい尾根歩きができるのかと思うと疲れも吹っ飛んでしまう。ここらあたりもイワカガミが多い。

 ここらから、ガレ場や岩場の道が多くなり足下に注意して歩く。初めてみるハクサンイチゲやミヤマキンバイ(?)の大群落に心が躍る。おっと、先週日光白根山で見れなかったシラネアオイも咲いている。大きな紫の花が風に揺れている。これら花の歓迎で疲れも覚えないうちに岩の多い不忘山頂に到着だ。360度の大パノラマは絶景だ。ここでゆっくりと昼食をとる。残念ながら今日はビールを持ってこなかったのでお茶でのどを潤す。

 素晴らしい展望に別れを惜しみつつ下山開始。このころからガスがでてきた。十分展望を楽しんだ後でもあり、これからはガスに包まれた神秘的な雰囲気を感じれる歩きが味わえるぞと2重の楽しみに期待がかかる。すぐに急なガレ場となり程なく「不忘の碑」が見える。ここは太平洋戦争末期に墜落したB29の慰霊碑だそうだ。しばらくガレ場歩きが続きやがて樹林帯の中の歩きとなる。ミツバツツジ(?)、オオカメノキやシラネアオイを眺めつつ滑りやすい沢状の下りで弘法清水を目指す。なぜ弘法清水と言うんだろう等と話は絶えない。

 これからドウダンツツジの素晴らしい枝振りや花(?)に感激しながら白石女子校小屋に到着。立派な小屋だ。夏休みなんかはここで可愛い女子高校生の合宿で黄色い声が賑やかだろうなと想像する。後少しだ。元気をふりしぼり、ガスで殆ど視界のきかないスキー場ゲレンデを「こんなガスの中で迷ったらどうしたらいいんだろう」なんて話しながら下る。わずかで広い駐車場におぼろげに浮かぶバスを発見。
 14時20分無事下山。途中足を痛めた人もあり、15時30分全員揃った後高速道路を一路伊勢崎市を目指す。帰りの車内は疲れと満足感から安心して運転手さんに命を任せ、みんな気持ちよく寝ていたみたいだ。

 初めての東北地方の登山は沢山の高山植物と最高の展望で心に残る一日となった。また、思いがけずシラネアオイが多く見られたのも大感激でした。