温泉三昧 那須岳スノーハイク
朝日岳(1,896m)、茶臼岳(1,897m) 1998年4月4日(土)〜5日(日)晴れ
かねてから泊まってみたいと思っていた那須の三斗小屋温泉に行って来ました。好天に恵まれ残雪と温泉三昧の山行でした。
【行 程】 登山口駐車場…峰の茶屋……朝日岳……隠居倉…三斗小屋温泉(泊)
0935 1020-25 1130-1200 1235-40 1330 0735
避難小屋…峰の茶屋……茶臼岳……牛ガ首…峰の茶屋…駐車場
0825-35 0900-0905 1000-15 1100-15 1145 1215
桜も満開となり春真っ盛り、名残惜しい雪山の感触をもう少し楽しみたいとMさんと歩いてきました。登山口の無料駐車場迄は雪もなく快適走行、ロープウエイももう開業しているようだ。登山届けを出し半分ほど埋まった鳥居を過ぎ雪道を歩き始めるが、暖かい陽気で雪も解け気味だ。ちょっと汗をかき始めた頃右手に荒々しい山容の朝日岳が真っ青な天空に突き上げる。こちらは雪は少ない。左手は結構雪のある茶臼岳。ところどころ雪が風で舞いあげられた土をかぶり赤っぽい。途中風が少し強くなりヤッケを着込み峰の茶屋到着。名物の想像を絶する強風は今日はお休みだ。春霞のため遠くの山は今一どこか分からない
一休みの後朝日岳を目指す。剣が峰の山肌をトラバースするところはちょっと緊張した。滑れば限りなく落ちていきそうだ。慎重にゆっくり進む。鎖のある西側の斜面もところどころ緊張する場面だ。そして無事通過し朝日岳の分岐に到着。清水平方面の広々とした雪原が気持ちよい。噴煙を眺めながら山頂まではほんのわずかだ。稜線は雪があったが山頂は殆どない。岩の上に腰掛けてしばし休憩。
那須の市街はもやっているがまずまずの展望だ。Mさんが以前歩いたという流石山は雪で真っ白。遠く飯豊連峰や磐梯山も望めた(もっとも自分で同定したわけではありませんが…)
いつまでものんびりしていたいが温泉も気になる。今度は以前歩いた三本槍岳方面も秋にでも来てみたいなと思いながらさくさくと雪を踏みしめ分岐に戻り隠居倉をめざす。風もなく暖かいスノーハイクだ。耳を澄ますとピシピシッ、シャラシャラ、パリッパリッと雪の解ける音、樹氷のはがれる音。雪玉の転がる音が心地よい。隠居倉頂上は雪解けでぐちゃぐちゃだ。ここから見る茶臼岳〜朝日岳の稜線は一級品だ。もちろん反対側の三本槍〜流石山〜三倉山への稜線も負けてはいない。ようするにどっちを見ても「う〜ん、いいなあ〜」
隠居倉から温泉めざして滑りそうになりながらずんずんと下っていく。おっとっと、元気出しすぎMさんちょっとハプニング(^^; ちょっと凍った雪の表面がざくざくと心地よい音を立てる。眼下には源泉だろうか、噴気が上がっている。あっちが三斗小屋だなと思いながらも尾根にトレースが付いている方を歩く。ちょっと方向違うような…でも間違いないだろう。大峠からの道と合流するはずだからと安心して歩く。あまり早く付いても時間持て余すし…とゆっくり歩く。いやあ、いい天気…
程なく今宵の宿「大黒屋」に到着。受付をすまし二階の部屋に通されちょっと驚き。想像していた山小屋とは程遠く旅館の雰囲気、8畳の個室である。お茶付き、コタツ付き…早速ビールを雪に埋め待ちに待った温泉タイム。木造風の内風呂、窓の外は雑木林、明るい日差しにちょっと恥ずかしい…
で、湯上がりにビールを掘り出し「グイッ」。次はウイスキー、焼酎…まさに贅沢な山歩き…満足!!
そして食事前にまたまたお風呂。窓からは流石山方面が夕暮れの雰囲気。そして部屋に運ばれてきたお膳、もう本格的に旅館風だ。
外に出て暫く沈みゆく夕日をちょっぴりロマンチックに鑑賞。明日も天気は良さそうだ。早く付いて飲み始めたためかMさんはちょっとこっくりさん。私は酔いざましにまたまた温泉(^^; 湯気と豆電球、くらーい風呂場は幻想的、窓の外は静寂そのもの。湯船の縁に寝っころがり単独行の人と山行を語り合い夜は更けていった。
と、ここまでは文句の付けようもない穏やかな山のいで湯の楽しい思いでだったが、それも隣室の賑やかな話し声にちょっといらいら…気になって寝れない。もうすでに消灯時間も過ぎているのに話はやまない(こらあ酔っぱらい。声がでっかいぞお〜)耳栓取りに布団を出るがもう十時、いい加減にしてくれよなと思いつつ寝てしまった
そして朝、流石山に朝日が当たり素晴らしい好天だ。じゃあとりあえずお風呂…
ミソサザイの小気味よい声が聞こえる。昨日来4回目の入浴、もう肌もつやつやだ。
お膳の朝食を澄まし7時半出発。ちょっと歩けば暑いくらいだ。木々の間から見える茶臼岳は朝の光を受け雪と岩、光と陰の山肌が逞しく見える。雑木林、キツツキの声を聞きながら避難小屋到着。Tシャツでも良いくらいの暖かさだ。ここで初めてアイゼンを付ける。まあ、無くても歩けそうだが用心のため、練習のためである。夏道の山肌歩きと違い峰の茶屋めざして直登のコースはちょっとしんどい。突然カラコロッと拳大の石ころが落ちてきた。いやあ、びっくり。見上げれば今にも落石がありそうな雰囲気の山肌。用心用心…
峰の茶屋に到着。このころよりちょっと曇り気味になり予定では牛ヶ首経由で山頂であったが、万一展望無くなったらと噴煙を眺めながら直に山頂をめざす。ところどころ雪が全くない岩のごろごろした道。地熱の違いであろうか?ロープウエイ方面から登ってくる人がちらほら見える。お釜周辺は雪もなくアイゼンでは歩きにくい。これも練習と(本当は外すの面倒だったりして)お釜一周し山頂着。普段着の観光客と私たちの重装備にしばしお互い視線を交わす。岩のゴロゴロした山頂は特に変哲もなく簡単な食事の後早々にロープウエイ方向に下山。この頃はぞろぞろと観光客が登ってくる。大丈夫かなあ、ちょっと天候が変わればまだまだ冬山なんだけどなあと人ごとながら心配である。
山頂駅手前から牛ヶ首方面のコースを見つけ雪のある山肌を斜めに横切る。ところどころブスブスッ、シュ〜ッと黄色くなった岩の間から噴気が吹き出している。壮観だ。南月山から日の出平の稜線がおいでおいでをしている。いつか歩きたいものだ。
牛ヶ首で一休み、そして噴気がごうごうと立ち上る無限地獄は壮観だ。しばし鑑賞
落石注意、噴煙注意の看板にちょっとおっかなびっくり、でも無事通過。そして峰の茶屋を過ぎ、昨日の暖かさでかなり融けた雪道を下り朝日岳に見送られわずかで駐車場到着。久しぶりにゆったりとした山行であった。
帰路「鹿の湯」で48度はあろうかという熱〜い風呂に挑戦。Mさん共々1分も我慢できなかったものの「いやあ、気持ちよかった」と満足、満足