三斗小屋宿跡から流石山
2002年6月2日(日)晴れ流石山から望む茶臼岳
歴史のある三斗小屋宿から大峠を越え、高山植物の咲き乱れるという流石山から大倉山の稜線は魅力的なコースで、是非歩いてみたかったところである。ロングコースであり、行くならテントを担いでと思っていたが、昨夜遅くまで酒を嗜んでいたこともあり、とりあえず流石山まで偵察山行となった。
【山 名】 流石山(1,812m)
【メンバー】 野峰さん、ぼとくさん、山百合子さん、マダム和子さん、うらべにさん、酒呑童子
【行 程】 林道……三斗小屋跡…三斗小屋温泉分岐…大峠……流石山
0845→ 1005 1135 1210→ 1330
1630← 1535 1435 1415 ←1345
【地 図】 那須岳 1/25,000図
前日、西ボッチ山の藪こぎを堪能した後、楽しい宴会がガルーダ山荘で催された。午前様になる迄賑やかな笑い声が響き渡り、いつの間にか眠っていた。そんな状態だから、明日は早起きしてとは思っていたものの、なかなか目は覚めず、既にロングコースの山歩きは諦める時間だった。予定では、大倉山まで行きたいなあと思っていたが、宴会に突入したとたん、その案はどこかへすっ飛んでいた。前日まで心の中は「明日は気楽に日ノ出平から南月山、そして白笹山の集会コースだな」と思っていた。
飲み過ぎて寝ぼけ眼で迎えた朝、しかし降り注ぐ太陽や小鳥の声はさわやかだ。聞くと、トラベエさん夫婦は既に出発していた。(赤城山へ行ったとの怪情報も流れたが、日ノ出平方面だったとのこと)。残った数人は、あそこへ行こう、どこそこがいい…と最初は別行動の予定だったが、野峰さんが、「深山湖の方から回り、大峠までの近道を利用すれば流石山もすぐだよ」と魅力的なコースを提案してきた。「ふ〜ん、そんなコースもあるのか…」と最初思っていた流石山へ、二日酔いでも登れそうな雰囲気に早速諸手をあげて賛成。他のみんなもそのコースならと、6名で出発となった。
車4台をつらね、深山湖へ行くまでにちょっとアクシデント。いつも慎重な野峰さんが道を間違えてしまった。まあ、これもご愛敬。正規のコースに戻り途中の駐車場で4WD車二台に分乗し、さらに奥をめざす。ガタガタ道でなかなか楽しいところだ。湖をすぎ、少し進んだところで道路工事のため通行止め。ここからはまだだいぶ遠そうだがしょうがない。さあ、頑張って歩こう。
樹林帯の気持ちよい林道にはいる。小鳥の声がすさまじい。二人連れのタケノコ採りのおじさんとしばらく連れ立って歩く。物知りおじさんだ「あれはオオルリ、あれは**、熊の居そうな所は…」などと教えてもらった。おじさん達と別れ、少し進むと「麦飯坂経由沼原」との分岐に到着。う〜ん、結構時間がかかってしまった。沼原から歩いた方が、車で深山湖へ周回する時間も考えたら早かったかなあなどと思ってしまった。
さらに緑の濃くなったゆるやかな林道を歩き、左手に墓地が見えると三斗小屋宿は近い。苔むした6地蔵や馬頭観音、戌辰戦争戦死者の墓などが昔日を思わせる。そして広場に着く。路側にはこの宿の説明書きがあった。目を閉じれば往時の今はなき小学校の仮教場で遊ぶ子供達の光景や、宿場の賑やかさが目に浮かぶようだ。見上げると流石山の稜線が青空に浮かんでいる。いやはや、まだまだ遠いなあ…さて、ここからが今日のコースの核心部だ。25,000図には記載されていない登山道を歩くと時間が短縮されるよ、との野峰さんの言葉を信じて決定したコースだ。右手に行けば正規の三斗小屋温泉経由の道だ。
いったんわずか下り、進むと沢が現れた。ちょっと滑りそうな岩を用心して進み、飛び石伝いに沢をわたる。女性陣はあまり沢には慣れていないのか、はたまた体が重いのか(^-^;ちょっと躊躇している。優しい野峰さんが渡りやすいように木をかけてやろうとしたがうまくいかない。頑張って飛んでもらうことにしよう。まあ、落ちても大したことはないさ(^_^)
エイッとかけ声をかけて華麗に舞う。無事全員渡ることができた。ここからいよいよ登山道らしくなってきた。ネマガリ竹が多い。しかしここは国立公園だ。草木を大切にしよう!
少々腹が減ってきた。シャリバテにになりそうだったのであめ玉を口に入れる。野峰さんは、朝こそ酒臭かったようだが、ぐいぐいとみんなを引っ張る。元気だ!早いよ〜とは心で思っても口には出さなかった。野峰さんは昨日歩いてないので、歩きたくてしょうがないのだろう。「もう少ししたらまた沢にでるからそこで休みま〜す」との声。しかしなかなか着かない。ま〜だ〜と思う頃、気持ちよい沢に着いた。いやあ、やっと御飯にありつける。山百合子さん特製のまぜ御飯だ。おいしい!山百合子さんはよっちゃんすしも美味いが、これもなかなかいける。いつもありがとね(^_^)
そしてまた沢を渡る。今度の方がちょっと手強そうだ。ぼとくさん、野峰さんが「足はここ、そうそう…」と女性陣を誘導する。我が輩は広報カメラマン、誰か白い水しぶきをあげないかなあと密かに期待しカメラを構えるが、残念みんな無事に華麗にジャンプし大成功! そして少しずつ高度を上げる。白いニリンソウが咲いている。左手に時々山頂が見えるが、まだまだ遠そうに見える。そして三斗小屋温泉との分岐をすぎる。イワカガミも咲いている。おっショウジョウバカマだ!といろいろな花がでてきて、疲れた体を慰めてくれる。そして開放感あふれる大峠にようやく到着した。
大峠から流石山をめざす 中腹にさいていたイワカガミ 大峠より三本槍方面を望む
うわあ、景色いいねえ!と感動。当然ここで休憩だよねと思っていたら、野峰さんが、さあ、出発!と号令をかける。なにこの鬼リーダーと思った人は居なかっただろうか(^-^; 野峰さん曰く、もう少し登れば景色の良いところがあるからそこで休憩とのこと。じゃあ、頑張ろうとみな素直に後を追う。
途中イワカガミがたくさん咲いていた。そしてようやく鬼リーダーより「休憩!」との声がかかる。
「いやあ、着いた、さあ、ワインワイン」、ボトクさんがザックよりワインを取り出す。早速みんなカップをとりだす。これぞ元気の源だあ。一番疲れていた感じのウラベニさんが一番大きなカップでグイ! うわあ美味い!
何かくつろぎの雰囲気…案の定、野峰さんが今日はここまで、山頂はめざしませんと宣言。エエエッ、そんな〜
野峰さんは冷静です。皆のペースを見たら、山頂まで行くと帰りの時間が心配と判断したようです。確かに今までのペースと帰りの時間を考えるとこれから山頂まで約1時間はちょっと厳しそうです。でも山頂に行きたい!。野峰さん、下りで追いつくから登ってきていい?と了解を得る。「どうぞ、頑張ってね」とみんなに励まされた。よし!めざせ流石山!登って見ると厳しそうに見えた登りも割とラクチンだ。半分くらい登ったところで下を見ると、のんびり休んでいたみんなが下山をはじめたようだ。
さあ、急ごう、登るほどに茶臼岳から朝日岳、三本槍が格好よく見えだした。そして稜線にでる。山頂は直ぐかと思ったが、しばらく稜線を進まねばならなかった。ミネザクラが綺麗だ。
気持ちよい稜線、ホトトギスが飛んでいった。流石山山頂到着。何の変哲もない稜線の1ピークだ。三角点はあったが、もう少し先のピークの方が標高が高そうだと先のピークをめざす。このまま、大倉山まで歩いていきたい気分におそわれたが、先に下山した仲間にあまり差を付けられると迷惑がかかる。大倉山方面の景色はしっかりと瞼に焼き付けた。今日はここまでとしよう。今度くるときは紅葉時期にテントを担いで…いや冬にスノーシュー担いでかな等と思いを馳せながら急ぎ足で下る。びゅんびゅん下る。どんどん下る。途中大きな籠をしょった人達に出会った。のぞくとネマガリのタケノコがたくさん入っていた。この辺ではヂダケと呼ぶらしい。
まだみんなとはだいぶ離れているだろうなと急ぐ。沢にでた。懐かしいみんなの顔がそこにあった。のんびり下りながらわが輩が追いつくのを待っていてくれたようだ。感謝!そこで一休み、水たまりにはオタマジャクシがウジョウジョといた。このまま日照りが続くとこのオタマジャクシ達の運命はいかに…などと心配になった。。まあ、そのうち雨が降ってくれることでしょう。元気に育てよと心の中で声をかけくだる。
下りの渡渉は、慣れたのか、女性陣達も難なく通過。、そして三斗小屋宿跡で少し休憩。
「寒いよ寒いよ 会津の風は 野際峠を 越すからに」と宿場の案内板にあった。当時の馬子唄に思いを馳せる。
帰りは「幸の湯」で二日間遊んだ後の汗を流す。落差の多い打たせ湯は、こわった肩を心地よくもみほぐしてくれる。しかし、洗い場の蛇口が壊れていたのか、熱いお湯しかでない、止まらない、シャンプーがない、ドライヤーもない。お湯はぬるい、休憩室も狭い…まあ、安いからこんなものかなあ。最後の温泉はいまいちだったが楽しい仲間と楽しい二日間を過ごせて満足でした。