安達太良山(1,700m)  98年10月24日(土) 曇りのち晴れ  


帰路、国道4号線から眺めた穏やかな山容の安達太良山

「あれが阿多多羅山、あの光のが阿武隈川…」と詠まれた、高村光太郎の詩集「智恵子抄」で有名な山。
南北になだらかな穏やかな山容は智恵子の優しいイメージそのままである。
登りは生憎のガスであったが、山頂では素晴らしい晴天となり、「えっ、あんな穏やかなところを歩いてきたのか〜」と感激に浸ることが出来た。

標高差    約700m
行  程    
奥岳登山口…勢至平…くろがね小屋…峰の辻…牛の背…山頂…ロープウエイ駅
        0945      1045   1115-30    1155   1210 1230-1355   1430


登山道入り口明日は、みんなと那須の甲子山でキノコ採り山行である。じゃあ折角だから以前から歩きたかった安達太良山にでも登るかと雨の予報の中出発した。伊勢崎を4時40分に出て足尾、日光経由で約240km、ようやくガスで煙る奥岳のスキー場に到着した。大きな駐車場には沢山の観光客や登山者が生憎の空を睨んでいる。しかしゴンドラは盛況のようだ。
 雨でなければ登ろうと決心してきたので早速ホテルの前を通りスキー場と別れ、くろがね小屋方面をめざす。林道をわずか歩き、途中から直登の登山道にはいる。前夜の雨のせいか、結構ぐちゃぐちゃして歩きにくい。用心しないとずるっと下がってしまう。かなり気を使う…

 そろそろガイドブックに寄れば山頂が見えると言うところであるが、ガスで展望はきかない。まあ、今日は仕方ないな…と視界100〜150mの範囲でちょっと遅い紅葉を眺めながら歩く。約1時間ほどでなだらかな道となり勢至平に着いた。ちょっぴり草原の雰囲気を感じるがここもガス…乳首山が見えないよ〜
勢至平分岐
 勢至平分岐から山頂への直登も考えたが、雪の時にまた歩きたいと考えていたので下見をかねて小屋をめざす。この辺りは広いジープ道でのんびり歩きで気持ちよい。時々ガスが切れ天狗岩方面の山肌がかいま見える。そこそこの紅葉を愛でながら金明水の水場に到着。冷たくて気持ちよい

 


くろがね小屋 ガスの中に浮かぶ、しゃれた造りのくろがね小屋…いやあ、幻想的な雰囲気だ。わずか硫黄の匂いもしてきた。ここまでなら雪の時でもそれほど苦労せずとも来れそうだな…小屋で一休み。出来れば温泉に入りたいが、まだ今日は先が長い。風呂に入ったらガスの中歩く気力が萎えそうである。今度にとっておこうと出発する。予定では鉄山の方から登ろうと思っていたが、大きな立入禁止(ガスで危険)の表示、ロープは外されていたが、ガスで遭難となったら一大事である。仕方なく岩のゴロゴロした峰の辻方面への道をとる。ガスが濃かったら迷いそうなところである。岩に大きな赤い矢印を頼りに歩く。
鉄山への分岐、立入禁止
 前方のガスの中から楽しい話し声が聞こえる。こんな天気の日に結構な人出だなあ…途中、鉄山の下りまで行ったがロープで下れず引き返してきた…という男性Gと出会った。上の方はロープは外されていなかったようだ。相変わらず岩のゴロゴロした広い台地状の道でわずか急登となる。そして広〜い峰の辻に到着。なんとなく晴れそうな雰囲気だが、まだ頭上の雲は厚い。本当は景色良いんだろうなあ…
乳首山を望む
 まだ時間は早いので馬の背方面をめざす。風がちょっと強くなってきた。風よ吹け〜ガスを飛ばしてしまってくれと祈りながら登る。わずかで牛の背の縦走路に出た。いやあ、なだらかなだだっ広い尾根だなあ、展望は良くないが気持ちよいところだ。今度は晴れた時歩きたいものだなあと思う。
雪の時もこの雰囲気なら私の力量でも気持ち良く歩けそうだ。絶対来るぞ!!その時は温泉で泊まり、ゆったりと2日かけて歩こうと早くも心は雪山だ。

 そしてなだらかな縦走路も終わりを告げ、立派な表示のある山頂下の広場に到着。沢山の人で賑わっている。山頂はここからわずか岩場を登ったところである。一気に登る。が、展望はない。でも山頂では沢山の人達…さすが百名山だなあ
山頂にて
 ところが…北の空がちょっと明るくなってきたと思ったら、すぐに素晴らしい山肌がちょっと顔を出した。でもすぐに隠れ次には南が見えてきた。次はあちらが…その度に「おっ…」と人の波がどどどっと移動する。この展望を逃したら一大事とあちこちで忙しくシャッター音が響く。そのうち、ガスもこの人の熱気に気おされたのか、すっかりなりをひそめ360度の素晴らしい展望が出現した。

 皆、感動に浸っている「いやあ、あんな素晴らしい尾根だったのか〜」「いやあ、凄いなあ」「あれが和尚山で、あっちが吾妻山だな、あの高い山はなんだろう…」と皆浮き足立っている。これだから山歩きはやめられないね!!ガスの中、登ってきた峰の辻方面もばっちり見える。ああ、良かった。

牛の背、鉄山方面を望む展望も満喫し、下の広場まで降りて1人乾杯のビール。う〜ん、晴れたから旨いや…そして暖かいラーメンで昼食。でも、まだ時間は早い。今日は那須まで行けば良いんだからとゆっくりする。で、折角だからとまた、山頂まで登り景色を堪能した。

さあ、そろそろ下山するかと腰を上げる。下りは五葉松平から奥岳をめざす。途中山頂を見上げて、なるほど乳首山だなあと感心する。しかし、下りはひどいどろんこの道である。粘土質の泥でグチャグチャと歩きにくい。靴も埋まってしまうくらいである。「いやあ今まで色々な山を歩いたがこんなひどい道は初めてだ」と1人つぶやく。
 予定ではロープウエイを使わず下山のつもりであったが、この道の悪さに嫌気がさして断念した。ロープウエイ駅では「汚れた靴は洗って乗って下さい」の表示…で、皆泥だらけの靴やズボンを用意されたタワシでごしごし…いやあ、まいったまいった。
 お陰でラクチン?下山となった。このころまたガスが出て一面真っ白になってしまった。

 そして明日の登山口である甲子温泉まで行って「ちゃぽランド」で入浴し広い駐車場で車中泊、安達太良山の素晴らしい展望を夢に見ながら、晴天で気持ちの良い朝を迎えたのだった。

安達太良山写真集へ