奥秩父 金峰山(2,595m)                   

                                 1997年3月29日(土)曇り

奥秩父の名峰、金峰山を歩いてきました。頂上付近は強烈な風でしたが、積雪も少なく曇り空であったものの素晴らしい眺望に満足の山行でした。
 
瑞牆山荘登山口…富士見平…大日岩…千代ノ吹上…金峰山…大日岩………富士見平…登山口
0820          0900  1015-1040  1200   1245-1305 1405-1420  1510-1520   1545


 夕方から天気は下降気味との予報の中、早朝4時半に伊勢崎を出発。交代で運転し佐久経由で、途中八ガ岳連峰の雄姿に見とれながら山荘前の登山口に到着。(伊勢崎より150km、3時間)山荘前には数台の車。先行グループもあるようだし、積雪の方も少ないようなのでワカンは持たず出発。

 登山口付近は白樺やカラマツの明るく広々とした林で気持ちよい。まずは割と広く緩やかな登りだ。ところどころ大きな岩を見ながら進む。大きな「熊に注意」の看板。でも二人いれば安心だ。わずかで林道を横切り滑りやすい道の少しばかりの急登で尾根に出る。木々の間から瑞牆山が顔を覗かせる。明日はあそこか、楽しみだなあと話しながらミズナラやカラマツに囲まれた富士見平に到着。小屋は冬期のため管理人はいない。富士山がどっしりと姿を現す。こんな大きな富士山はなかなか群馬の方からは望めない。その雄姿にしばし見とれる。樹林帯がコメツガやシラビソなどの針葉樹となり、やがて右手に崩壊の後が生々しい景観を眺め南面をトラバース気味に歩く。このあたりはわずかの緩い上り下りで雪もほとんどない。そして鷹見岩の分岐を過ぎ大日小屋を右下に見て急登が始まる。このあたりはシャクナゲが多い。花期は見事であろう。

 大日岩に到着。でっかいなあ、前方は開けた展望だ。ちょっと上まで登ると瑞牆山が望めた。ここでしばし休憩。更に岩の頂上に登ってみたいとルートを探し挑戦するが手がかりもなく途中までで断念。このあたりから樹林帯の中、残雪の凍結した部分が多くなる。しかしアイゼンがなければ歩けないほどではない。注意しながら歩く。樹林帯は以前八ガ岳で見たような苔むした木が目立つようになる。わずか疲れたなあと思う頃、ハイマツの多い尾根に出る。ここあたりから素晴らしい展望だ。岩混じりの尾根は右手がすっぱりと切れ落ちた岩壁となる。そして千代ノ吹上。ゴーゴーと吹き付ける風は強烈だ。岩壁をのぞき込むと吸い込まれそうで足がすくむ。ここからながめる富士山も良いが、八ガ岳の方が登行欲をそそる。来年あたりは冬の赤岳あたりに登ってみたいものだと思いながら、天気が悪くなる前にと写真を撮る。また、岩壁を全景とした金峰山頂方面の景色も素晴らしい。青空であったら更に素晴らしい景色であろう。

 頂上まで30分くらいかなあと話しながら進むが、トレースはあるものの雪が深くなり、また南から吹き付ける強力な風になかなか進まない。時々ストックで体を支えないととばされそうな位である。顔には雪の粒が飛んでくる。気温はマイナス2度位でそれほど寒くはないのが救いだ。左手下に金峰山小屋を眺めながら進む。五丈岩がど〜んと出迎えてくれる。脇には鳥居が立ち、展望台がある広い場所に到着。先着の二人組に遭遇する。山頂はもう少し先のようだ。このころ更に風は強くなっていた。二人組は山頂まで来てないらしくトレースがとぎれた。……と言うことは……
 やった〜〜今日初めての山頂着は我々だ!!と嬉しくなる。記念写真を取り合い、大岩の陰で風を避け昼食。生憎の曇り空で遠望はきかないものの八ガ岳連峰、甲斐駒、仙丈、富士山はバッチリだ。青空でないものの雲間から射す光や雲海で浮かび上がる山々もまた良いものである。

 明日登る瑞牆山が下の方に見える。下の方からはあんなに荒々しく見えた岩峰も見下ろせばその偉容も可愛く見える。じっとしているとやはり寒い。そうそうに下山開始とする。相変わらず風は強い。下りは雪のあるところは快適そのものである。ところどころ滑りながら下る。これだから雪山は面白い。しかし樹林帯に入ってからはそうも行かない。アイゼンをつけてないため凍結したところはやはり怖い。ゆっくりゆっくり降りる。そして大日岩を過ぎ、大日小屋に到着。5人位のパーティーがテントを張っていた。明日山頂をめざすのであろうか。今晩は雨予報である。それに風も強くなりそうである。ひとごとながら大変だなあと心配になる。
 大日小屋を覗いてみる。冬期は管理人はいない。水場も凍結して使えない状況であった。入り口にドアはなく床面は流れ込んだ水が凍結しアイスバーンとなっている。見学のため中に入ったが、ここが今日一番緊張した場面である。

 富士見平小屋も覗いてみたが、ここの方がやはり標高が低いせいかなんとなく落ち着いた感じである。毛布なんかもあった。テント場には3張りのテント。この頃富士山も見えなくなり天気は下り坂、ちらほらと雪が降ってきた。山荘に着くまではもってほしいと先を急ぐ。登山口に着いた頃は小雨となっていた。滑り込みセーフである。

 山荘の客は二組、5名(男性2、女性3)。まるで貸し切りみたいだ。夕食は同じテーブルを囲み山談義に話を咲かす。明日は同じ瑞牆山をめざすようだ。雨足が強くなり風も出てきた。上の方は雪じゃあないだろうか、明日はやむだろうかと心配であるが、予報では朝までには上がるそうだとの山荘の主人?の話を信じ食卓を後にする。部屋に戻り、Mさんとウイスキーを傾けながら過ごす夜もこれで何回目かなあなどと思いながらうつらうつらとなる。外は相変わらず大雨、強風。テントの人たち大丈夫かなあと思いを馳せ消灯……