日光連山の展望絶景 半月山、社山ハイク 

1996年5月 3日(金)快晴



 中禅寺湖を前景に、日光連山、白根の山々が一望に眺められる素晴らしい展望を心ゆくまで満喫した。ところどころ残雪で道がさえぎられていたが、もう山は春である。暖かな日差しに尾根歩きも快適だ。展望も素晴らしかったが、後半の社山から道のない明るい雑木林の尾根歩きで松ケ崎に降り湖の周回道歩きも楽しかった。
 また、男体山麓の駐車場でのテント泊も寒かったが想い出のひとこまである。
            
   中禅寺温泉登山口…茶の木平…半月山…半月峠…阿世潟峠…社山…大日崎… 
    0645           0735   1000-25  1040  1120    1235-1335 1500
   阿世潟キャンプ場 …狸窪…登山口
     1545              1700


  連休中である。混雑を嫌って早朝4時半に出発。久しぶりの早起きである。今日の夜は車中又はテント泊を予定しており準備は万端だ、

 日光第二いろは坂を快適に走り中禅寺湖畔の無料県営駐車場に6時過ぎに到着。天気は申し分ない。湖の遠く向こうには日光白根山がまだ真っ白く冠雪した勇姿が朝日に輝いている。しかし、寒い。コンビニで買ったパンと牛乳、ヨーグルトで朝食を済ませ出発。先ずは茶の木平を目指す。朝早いせいか小鳥の鳴き声が多い。湖から吹き付ける強風に耐えながら竹笹と雑木林の緩やかな登りでロープウエイ駅に到着。まだ動いていないので、山上にはただ1人である。静かに自然植物園を散策する。沢山の花々の標示があるがまだ全く花は咲いていない。開花時には花の名前を覚えるには最適なところだろう。木にも名札がかかっている。自然教育林にもなっているのだ。

 ところどころ残雪で道がさえぎられており、スパッツをつける。第二展望台からは眼下に中禅寺湖が青く輝き素晴らしい眺めだ。これより丘状の樹林帯を抜け一旦道路まで下る。道路手前から眺める展望も第二展望台に負けず劣らずである。しかしここは風の通り道なのか立って居れないくらいだ。突然風が止むと抵抗して立っていた体が風の支えを外され反動でふわっとよろめく。不思議な感じだ。
 これより竹笹の気持ちよい尾根歩きで狸山に到着。展望は全くない。狸も出てきそうにない。続いてダケカンバの林を抜け第一駐車場に到着。ここら辺りから車で来た観光客の姿も見えだし、眼前に繰り広げられる絶景の展望を楽しんでいる。

 店の脇から山道に入りコメツガの林を緩やかに登り明るい尾根に出る。林の中ではかなり雪が残っている。コメツガは日陰樹であり、長年他の木の下で育ちやがて自分たちの森に変えてしまうそうだ。一旦そうなったら森の中には日が射さず他の木々は育たないらしい。
 明るい尾根からは足尾の山々の展望がよい。先日Gさんの歩いた薬師岳、夕日岳方面が見える。それにしても結構な距離を歩いているのに感心する。またBさんの歩いた間藤方面はこっちの方かなと思いを馳せながら歩いていると、展望のない半月山に到着。これより僅か降りた木製の展望台は素晴らしい眺めだ。今日一番の景観であろう。立派な山名標示板を参考にしばし感動

 足尾の袈裟丸から庚申山、鋸山、皇海山、社山、白根山、前白根山、山王帽子山、男体山、女峰山その他上げればきりがない。残念ながら富士山は靄のため見えない。まさに天上の楽園である。見飽きない景観であるが未だ先が長いので半月峠へ、さらに登り下りして阿世潟峠をめざす。崩壊して荒れた山肌が痛々しく姿を見せている。これから登る社山を目の前にしてぐんぐんと高度を下げるのは偲びがたいものである。カラマツはまだ芽が出ていない。笹の茂った道を雄大な展望を眺めながら歩く道は爽快である。途中かなり崩壊の進んだガレ場があり用心して登る。しかしかなりな登りである。息も絶え絶えにしばし休憩。太郎山がよく見えるようになってきた。眼下の湖や歩いてきた半月山方面が一望できる風景は見事だ。

 今度こそ頂上かと思わせるいくつものピークを越え、ようやっと社山山頂に到着。展望は良くないが山名板を背景に記念撮影。途中に高校山岳部の名の入った沢山のザックがデポしていた。展望はここから僅か西に進んだササ原の広々した斜面が良い。前方には黒桧岳に続く山容が歩けば気持ちよさそうだ。勿論白根山や皇海山方面は言うに及ばずである。ここで食事とするが、鹿の糞が至るところ有り、無いところを探すのが至難の業だ。先に到着した人は山肌に鹿を見たらしい。阿世潟峠から登る予定が道を間違え、藪こぎとかなりの急坂で四苦八苦したらしい。しかし苦労も終わって見ればまた楽しからずで笑顔が爽やかだ。

 食事をしていると黒桧の方向から高校生の一団が登ってきた。大きなリュックを背負い(16kgだそうだ)今度開かれるこの山での競技大会の下見だそうだ。頑張れと声援する。
 近くにいた夫婦連れに携帯電話のベルがなる「うん、いま頂上や、素晴らしい景色だよ」等としゃべっている。便利なものだなあと感心する。でも、山に登ったときくらい電話からは解放されたいと思うのは私だけであろうか

 予定ではここから阿世潟峠に戻り阿世潟から湖周りであったが、眼前に見える黒桧山への稜線と左手に連なる尾根、笹原が気持ちよさそうである。予定変更し樹林帯の中、雪と岩の多い急坂を下ると開けた道に出る。一面の笹原は気持ちよいが山崩れや枯れた木々が痛々しい。足尾銅山の煙害のせいらしい。一つ目のピーク(ここがカモシカ平かなあ)から北に続く尾根を歩く。ケモノ道らしきものが縦横無尽にあるが遠く下の方には中禅寺湖が見えるので迷う心配はない。しかし、谷筋に降りたら心配だ。一応磁石をセットしルートを確認する。

 笹原と葉の落ちた明るい雑木林をルートを選び歩くのは面白い。いくつもの上り下りがあり、尾根を外さないように歩く。突然前方に鹿が3匹現れた。お互いじっと見つめ合うが、僅かで白いお尻を振って山肌に消えた。また、途中では背中がちょっと青紫がかって胴横が黄色、胸は白、顔は黒っぽい珍しそうな小鳥に遭遇。近距離であったのでしばしバードウオッチング。名前の分からないのが今日ほど悔しく感じられたことはない。よし、まじめに鳥の勉強でもするかなと思いながら歩く。ようやく最後の下りである。枯れ葉と雪の覆う谷を降りる。突然ずぼっと足が潜る。深いところは1mは有りそうだ。(雪は日の当たらないところや吹き溜まりだけで尾根等にはもう無い)危ない危ない。ゆっくりと慎重に降りる。
 道無き道を歩くこの下山は最高に楽しかった。余韻に浸りしばし湖畔で休憩。コバルトブルーの水は何処までも透明だ。ボートでつりを楽しむ人も多い。

 ひと休みの後中禅寺湖唯一の島「上野島」を横目に周遊道路を歩く。鳥の声が爽やかだ。やがてキャンプ場に到着。開設はまだであるが、ところどころ釣り客がキャンプしている。「熊の生息地です。十分注意を」とある。先ほどの人気のない山歩きを思い出し、熊に出会わず良かったなあとほっとする。途中外国人の男性ハイカーと一緒になる。得意?の英語で「ハロー、ビューティーフル、ニッコウベリーグッドね」と話しかけると「こんにちは、本当に景色良いですね」だって、彼は途中の土産物屋に入ったのでそこで別れる。ようやく立木観音を過ぎ、駐車場に着いた。

さあ、今日はこれで終わり、明日は鳴虫山を計画しておりねぐらを探す。ビールを買い込み幾つかのビューポイントを探し求めるが、結局戦場ヶ原の赤沼駐車場に決定する。一部芝生の無料駐車場で男体山の麓で水洗トイレも完備している。数張りのテントも見える。車中泊よりゆっくり出来そうだと持参したドームテントを張る。ランタンの明かりで持ってきた「山で泊まる」を読んでいる内に眠くなってきて楽しい一日は終了した。しかし、毛布に寝袋、服は雪だるまみたいに着込んでも朝方の冷え込みは強烈であった。
 自炊したのも何年ぶりかなあ。もっともご飯を炊いただけで、おかずはインスタント味噌汁他数点であったが楽しいものである。焦げご飯もまた楽しである。