高山植物の宝庫 尾瀬至仏山 1995年7月2日(日) 曇り
夏がく〜れば思い出す。はるかな尾瀬……と口ずさみ梅雨明けが待ちきれず、雨に濡れた高山植物も綺麗だろうと降水確率50%の予報の中、雨を覚悟でホソバヒナウスユキソウ咲く、尾瀬至仏山に登ってきました。
鳩待峠…見晴し岩…小至仏山…至仏山…小至仏山…オヤマ沢田代…見張し岩…鳩待峠
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昨年の紅葉も終わった晩秋に尾瀬に行って来ましたが、そのときは人も少なく花もなく、ただただ静けさだけが印象に残り来年こそ花の盛りに行くぞと決心し今日に至った。ただ生憎の雨模様だが雨がひどかったら尾瀬ヶ原のみ、天気良ければ尾瀬ヶ原と至仏山をと考え戸倉を4時30分発の始発バスに間に合わすべく早朝3時に出発。
朝食は途中のコンビニでと考えてたが、まだ先の店でと思ってたら店が無くなり買いそびれてしまい妻やたっくんに「朝御飯どうすんの〜、ハラヘッター」と攻められ4時35分戸倉に到着。「あれっ、間に合わなかった。まあ30分も待てば次があるだろう」と思い近くにいたタクシーの運ちゃんに聞くと次は7時過ぎだよ。でも、今日は交通規制されてないよ」だって。安心するやら、ガッカリするやら。駐車場に10分止めただけで千円払い車で鳩待峠に向かう。交通規制日にはバスは頻繁にあるとの事。朝飯は忘れるし………今日は失敗が多い。気をつけよう。
5時、鳩待峠駐車場着。結構多いが車は止められた。遅い時間だと駐車は無理で路側に止める事になるらしい。実際帰りには駐車場よりかなり手前まで路側に止めた車が多かった。5時というのに人が多い。たっくんは「いつもたっくん達はまだ寝てる時間なのにどうしてみんなこんなに早いの?、どうしてこんなに明るいの?」とびっくりしている。「山は早起き、早立ち、早着きが………」と講釈をする。
やった〜。食堂があった。朝飯無くてもキャラメル、その他沢山あるし、お昼を早めにすれば………とそれまで説得していたが、内心ホッとし、早速「うどん三つ」。天候もどうにか持ちこたえそうだし、先ずは至仏山制覇だ。登山口で用意してきた登山届けを提出し安全祈願のうえ出発。元気を出して「歩け、あるっけ」。ナラ、ブナの緩やかな樹林帯進む。早速ギンリョウソウを見つける。ウグイスや他の鳥(残念ながら名前が分からない)が朝の挨拶で爽やかにさえずっている。朝の空気が気持ちよい。ただ、何か分からないがブンブンと虫がわずわらしい。たっくんは「なに、これ、あっ、耳に入った。あっ、今度は口に入った。もう!!」と半分なきべそだ
そのうち、大きな岩があり、見晴らしが良い。尾瀬ヶ原や燧ガ岳が見えてきた。たぶん見晴らし岩だ。ちょっと一休みと思ったが、虫がうるさい。閉口してすぐに出発する。急登を過ぎ、オヤマ沢田代だ。このあたりはまだ雪が所々に残っている。たっくんが雪で遊びだしペースが落ちる。雪解け水で道がぬかるんでいる。弘子は早くも靴下が湿ってきたと言っている。たっくんは面白がってわざと水のあるところを通ろうとして妻に怒られている。正面に子至仏山が見える頃になると少しの間、雪原歩きだ。左手にはキンポウゲ、ハクサンイチゲ、コイワカガミ、など咲いている。みな思い思いに休憩し花々や眼下の尾瀬ヶ原を満喫している。
このころから岩が多い道となり慎重に登る。所々にハクサンコザクラ、シナノキンバイ、チングルマ、シナノキンバイ、ホソバナヒナウスユキソウが綺麗だ。本当に花が多い。妻も初めての高山植物に目を奪われている。たっくんはまだ花にはあまり興味がないらしく先へ先へと進んでいる。心配でゆっくり花を楽しんでいられないと妻が嘆いている。ホソバナ……をエーデルワイスと呼んでいた一団がいたが、あれはエーデルワイスに似ているだけで本当の名はエーデルワイスじゃないよと近くの人がしゃべっていた。
岩場を越え子至仏山に到着。ここも展望はよいが、本命の至仏山はもう少しだ。天候が悪くならないうちにと先を急ぐ。岩場を一度下り更に登る。ヒメシャクナゲも可憐に咲いている。「オゼソウは見ましたか?」と訪ねられる。「いや、まだです」といって一緒に注意しながら登るが見つからない。程なく至仏山頂上だ。いつもの通りたっくんは一番で到着し、下の方では虫の為泣きべそだったのに今や一人ではしゃいでいる。
まだ8時30分だ。しかし昼食とする。ドライの卵スープを見てたっくんが驚いている。なんとパンパンに膨れている。「なんで〜、どうして〜」「高い山だから空気が少ないからだよ。空気の圧力がすくないから膨れたんだよ」と分かりやすく?教える。はたして理解したか不安であるが教える方も、これくらいの高度でこうなるんだろうか?とちょっぴり疑問だったので迫力に欠ける。「じゃあ、一つ残して帰って見てみてみよう」とたっくん。(帰宅して確認したところ確かにしぼんでいた)ラーメンと、お湯をかけ20分待つだけのおこわご飯で昼食無事終了。
頂上からは360度の展望で谷川岳、八海山、中の岳、駒ヶ岳が、燧ガ岳が見えていたが生憎の天候で絶景とまでは行かなかった。頂上には立派な標柱と展望盤があり、1/20万図と合わせ山座同定を楽しんだ。そのうち尾瀬ヶ原の方向はガスがでてきて見えなくなってしまった。さあ、下山だ。とうとうオゼソウを見ることは出来なかったなあと思いながらたっくんに「下りはゆっくり花を見ながら降りるんだぞ」と念を押し写真を撮りながら降りる。ちょっと降りたところで少し脇にそれチングルマを撮していたら横の方にオゼソウらしきものを発見した。さっそく図鑑で確認。そっくりだ。間違いない。やった〜と一人微笑む。先ほどのおばさんも見つけただろうかと心配する。これより往路を忠実に注意してもどる。
しかし、早起きがたたったのか、オヤマ沢のところから足取りが鈍る。元気なのはたっくんだけだ。妻も「もうだめ」とペースが落ちる。次々と追い抜かれるが、焦ることもない。ゆっくりとおりる。ようやく鳩待峠の人々の話し声が聞こえてくる。もう少しだ。元気が出る。鳩待峠は朝とは違って観光バスや沢山の人々で賑やかだ。まだ12時だ。しかし尾瀬ヶ原のほうは今日はもう無理だ。3人とも意見が合う。
戸倉で旅館に頼み温泉に入る。「う〜ん最高。気持ちいい」たっくんは元気に泳いでいる。「潜っていい?」と聞かれたので「うん」というと早速ばしゃばしゃと潜っている。お客さんは私たちだけだ。貸し切りで最高の気分である。これでビールでも飲めればと思ったが、帰りの高速運転もあり断念してスポーツドリンクで我慢した。
尾瀬の名物ミズバショウには会えず、ニッコウキスゲにはちょっと早く尾瀬ヶ原は行けなかったが、最後まで雨にならず、沢山の高山植物に出会え貸し切りの温泉でくつろぎ、梅雨の合間の楽しい一日であった。今度は尾瀬ヶ原だけを目的にまた行こうと指切りげんまんをして早々と就寝した。
なお、花の名前は近くを歩いていた人たちから聞いたものです。また、多かった虫に刺されたのか妻は、次の日ポツポツと何カ所か首筋が赤く膨れていました。