残雪の至仏山   2001年5月5日(日)晴れ

 
雪解けの尾瀬ヶ原から望む至仏山

残雪の至仏山、尾瀬ヶ原を是非歩いてみたい。山の鼻コースを歩けるのはこの時期しかない。尾瀬財団のホームページで鳩待峠までの道路開通等を確認し歩いてきた。至仏山は夏とは全く様相の違う山容を楽しむ事ができた。

【メンバー 】  野峰さん、酒呑童子
【行  程】  鳩待峠…小至仏山…至仏山……山ノ鼻………鳩待峠
         0800        1035-1115 1215-1340   1442
【地  図】  1/25,000図  至仏山、  昭文社 山と高原地図 尾瀬(1/50,000図)


まだ雪の多い鳩待峠登山口 尾瀬に行くよってPRしてたら、野峰さんから一緒に行こうって連絡が入った。鳩待峠で待ち合わせだ。野峰さんは前日湯ノ丸山あたりを歩いてきて鳩待ち峠駐車所に車中泊、まだまだ寒かったらしい。私は駐車場は一杯だったようなので手前の路側帯に隙間を見つけ停める。

 まだ雪のたくさん残る登山口で登山届けを投函し登り始める。連休最後の残雪の山、素晴らしい天気が迎えてくれた。雪の至仏山は初めてだ。この連休中沢山の人が歩いたであろう、あちこちにトレースがあった。夏とは全く違った山の雰囲気に、やはり雪山は良いなあとあらためて感じた。落葉したダケカンバの樹林帯は、見通しも良く樹間から至仏山の勇姿が見え隠れする。そのうち、尾瀬ヶ原やその奥に聳える燧ケ岳が見えてきたがちょっともやっとしている。尾瀬ヶ原はまだまだ雪でいっぱいだ
至仏山はまだ遠い 小至仏手前で野峰さん もやっとした燧ケ岳
樹林帯が終わり小至仏から山頂方面が見えてくると一気に展望が広がる。前方にはスノーボードやスキーヤーが沢山歩いている。良くもあんな重そうなボード持って登るなあと感心する。それと、荷物の少ないこと。あんな荷物で山が荒れたときに対応できるのかなあと人ごとながら心配する。左手には白く冠雪した山々が見える。どこだろう?と地図を眺める。たぶん上州武尊山だろうと言うことに落ち着いた。白くなだらかな稜線で気分良く山頂をめざす。しかし見えてはいるがなかなか着かない(^^;

にぎわう山頂 谷川連峰をバックに 山ノ鼻への下り
 至仏山は、以前夏に家族で登ったことがあるが、小学生だった息子が「山頂ま〜だ〜」と何度も口に出す度に「もう少し。あれが山頂だよ。がんばれ!!」と励ましながら登ったものである。その時は何度も山頂かなあと騙されたのが強く印象に残っている。今回は真っ白な雪でその時よりもだいぶ歩きよく小至仏からも割と気軽に山頂到着となった。
 山頂は人で一杯。炭の方にスペースを見つけてようやく落ち着いた。少し風が強い。360度の展望だがあいにくモヤッとして写真を撮るにはいまいちだ。ビールでも飲もうかと言う話になったが、風も強くまだ時間も早かったので尾瀬ヶ原へ降りてにしようと言うことに決定。じゃあ早速下山としましょうか。

山ノ鼻登山道 至仏山は残雪時は立ち入りが禁止されます。貴重な高山植物を守るために5月中旬から6月末頃まで鳩待峠〜山頂〜山ノ鼻間は歩くことができません。。残雪の時期は適当に歩きまわるのでせっかく咲きかけた花を痛めてしまう。それでちょうど花が美しいと思われる時期に限定して立入禁止となる。残雪の山を味わうには連休あたりのわずかのこの時期しかない。
詳細はこちらで


登山道は木道が整備されており、ここからはみだして歩かないようにしよう。今日は途中から木道も雪の下。まだたっぷりと雪があるので、植生を痛めることはなさそうだ。急な斜面を滑るように下る。登ってくる人もいるが、こちらから登るのは大変だなあと思うほどの一直線の斜面だ。下る私達はルンルン気分で快適に下る。

そして山ノ鼻についた。期待通り湿原はまだまだ雪が一杯。
一面の雪原、この景色が見たかったのだ。ようやく実現したぞ〜と感動!!贅沢を言えばもうちょっと青空がほしかった。それにくっきりした澄み切った空気が欲しい!!しかしこれは贅沢というものだろう。

さあ、ビールビール。青空ではないが結構な暑さ。のどが渇いちゃったよ〜…ザックからビールを取り出す……つもりがどこにも見あたらない。あれっ、無い!!何度も探すが見あたらない。野峰さんはもう飲む体制を整えて待っている。どうも車の中に忘れてしまったようだ。一緒に買った他のものはちゃんとあった。ビールだけ忘れたようだ。ウエ〜ンと泣きたくなった。
 このままでは収まりがつかない。とりあえずロッジが開いてたようなので「ビールありますか?」って駆け込む。「あります!!」の神の声、「ロング缶下さい!!」
急いで戻り、じっと待っててくれた野峰さんと、「かんぱ〜い!!」

 ふ〜、やっと落ち着いた。もし売ってなかったら今日の尾瀬、せっかく雪原に感動したものの悪いイメージで悔恨を残すかもしれなかった(^_^;)。いやあ、良かった。今日のビールは特別うまい!!

今日の目的のもう一つは、雪原から望む至仏山や燧ケ岳の写真を撮ることだ。
でもあいにくの靄っとした天気で良い写真は撮れそうもない。でも撮ろう、せっかく来たんだから…
木道はまだ雪の下、所々穴が開いている。早く雪解けするようにか、もしくは
雪がゆるんできて落ち込まないためか…でっかい至仏山をうまくファインダーに納めるにはもう少し先まで行かなければと思うが、ずっと歩いてもこの靄では良い写真は撮れないだろうと適当なところで妥協して撮す。

尾瀬ヶ原から望む至仏山

 ファインダーを覗きながらベストアングルを探していたら、突然無重力状態になった。一瞬何事かと思った。なんと大きな穴に落ちたのだ。幸い怪我もなく無事脱出(^_^;)通りすがりの登山者が笑っているんだろうなあ、格好悪いなあ…と思ったが、誰も笑っていない。やはり人の不幸を笑うような人は尾瀬にはいないようだ。

尾瀬ヶ原から望む燧ケ岳

休憩場所に戻ると野峰さんは、気持ちよさそうに寝ていた。何の夢を見ているんだろう。もしかして私にビールをとられた夢なんか見ていないだろうなあ。いやいや、気持ちよく乾杯してる夢を見ていることだろうんと思った。


 さて帰りましょうか。お昼寝の後の気だるい体にむち打って鳩待峠をめざす。雪解けで水量の多い川が気持ちよい。泳ごうかなどと冗談を言いながら緩やかに登っていく。さすがは天下の名勝、尾瀬である。まだ下ってくる人もいる。残雪の道を運動靴や、えっ、そんな軽装でと思う人たちも沢山歩いている。反対にこの人達は、重たそうなザックを持っている私達をどう思ってみてるんだろうなあ…

鳩待峠まではずっと登り。山歩きの最後がずっと登りというのは結構疲れるが、今日は気分良く歩ける。休憩もせずに一気に峠に到着。
ベンチで休むみんなの顔も、良かったねえというような晴れ晴れとした顔をしている。車に戻って早速確認。缶ビールは座席の下に転がってました(^_^;)

至仏山は今年は5月11日から6月30日迄立入禁止です。その後夏の尾瀬は大混雑で賑わうことでしょうね。その混雑をものともせず、しばらくぶりで夏の尾瀬も見てみたいなあと思案中です。