日光 女峰山(2483m)、小真名子山、大真名子山

1996年8月31日(土)曇り時々晴れ

  志津乗越…馬立…唐沢小屋……女峰山……帝釈山…富士見峠…小真名子山…鷹ノ巣
  0535 0645    0840-50   0940-10202  1105   1145-55   1240-1300   1320  
  大真名子山…志津乗越
   1425-1510   1610


 前回台風崩れの雨のため断念した日光女峰山に再挑戦。ガスっぽい天候で展望はいまいちでしたが、山名の優しい響きと違って結構しんどい充実した山行であった

 明日は天気になるとの予報を信じて小雨の中、志津林道を目指す。やく2時間で真っ暗な林道を過ぎ志津乗越に到着。雨も上がりビールと水割りで星空を眺めて乾杯。明日の好天を祈って車中泊…………
 ジリリリリリ~ン……うるさいなあ、何なんだ……遠くでなってるベルの音。そうだ、山登りにきてたんだということに気づき慌てて起床。予定を30分も過ぎてしまった。青空が爽やかだ。林道を馬立目指してさあ、出発だ。小鳥の声と笹原、黄色や白の花々、白樺の混ざる樹林帯の歩きは快適そのものだ。遠く雲海に浮かぶ山々も素敵な朝の光景だ。途中木をつつくアカゲラを数匹見かけ、しばしバードウオッチング。やがて馬立への分岐に到着。

 女峰山への標識に誘われ林道からササの茂る道を下る。雨で濡れているため雨具の下を着用していると鹿の鳴き声であろうか?ピイッピイッと結構でっかい声にびっくりする。枯れた沢に出るところで油断していて木道でスッテンコロリン……幸い何処も打たずほっとする。用心しなくっちゃと気を引き締める。山の損壊が激しいのか砂防ダムが所々見られる。おっ、キビタキだ。鳴くときに尾を上下に振る姿が愛らしい。暑くなり雨具やシャツを脱ぐためひと休み。ふと目を上げると前方に頭の赤い鳥?色はウソの様な赤さ、割と大きかったが図鑑を見てもそのような頭の鳥は見あたらなかった。見間違いかなあ、何だったんだろうと気にかかる。

 そして涸沢を横切ると水場だ。のどを潤す。ああ、幸せを感じる。登ってくる途中ゴムホースがところどころに放置されていて興ざめだったが以前どこかにこの水を引いていたんだろうか?使わなくなったらちゃんと始末して欲しいものである。冷たい水でエネルギー充電した後、ひと頑張りで避難小屋に到着。2階建ての立派な小屋だ。毛布なんかも幾つか用意されている。いざというときは心強そうな小屋だ。数年間分のノートが有ったのでパラパラっと目を通す。余白に想い出の記帳をする。ここから女峰山はもう少し。樹林帯の中ではカニコウモリ、やがてガレバの登り、落石を起こさないように注意して登る。ここら辺りからガスが出てきて展望をさえぎる。可愛いヒメコゴメグサに元気づけられようやく山頂に到着。今日はまだ誰にも出会わない。立った1人の静かな山頂だ。ガスで遠望はないものの時々一里ガ曽根方面や帝釈山方面が姿を見せる。山頂直下は結構岩場の様相を見せる。おっ、トウヤクリンドウがあったぞ。

 さあ、これより縦走コースだ。痩せた岩稜を注意して進む。ここが日光3嶮のひとつと言われる馬の背渡りだろうか、風があるときは十分な注意が必要だが今日は無風。岩稜も終わり登りにかかったところで小鳥の声。ルリビタキの雌らしい。毛虫みたいなのをくわえてあちこちの枝を飛び回っている。巣があるのであろう。しばらく楽しんでいたらちょっと離れた枝に可愛らしいうぶげの幼鳥がいた。もしかしてあの幼鳥に餌を運んでいたんであろうか?少ししてヒガラ、シジュウカラも見られた。のんびり歩きも良いものだ。帝釈山に到着。女峰山もこちらから見ると結構急な山だなあ

 ゴゼンタチバナの赤い実が鮮やかだ。樹林帯の中、掘り割りのような道を快適に下っていると今日初めての登山者と遭遇。なんとなくホッとする。やがて広々とした富士見峠に到着。黄色い花が綺麗だ。ここから再び登りとなる。樹林帯を僅かで抜けド~ンとガレ場が目に入る。ひやあっ、しんどそうな登りだなあ。かなりな急登である。そして樹林帯、またガレ場そしてようやく大きな無線反射板に迎えられ小真名子山頂上だ。樹林に覆われた山頂は展望はあまりないみたいだ。東は開けているようだがガスで駄目である。ここで軽くおにぎりでをほおばる。山頂では3人組が昼食中であった。栃木から来たとのこと。山頂の標識の前で1人ずつ写真を撮っている。私にも「記念にどうぞ、後で送りますよ」だって。これも何かの縁、ではお願いしますとポーズをとる。

 3人組に別れを告げ樹林の中を下る。鷹ノ巣では特に立ち枯れの木が痛々しく目立った。ひと休みしているとチチチチチと胸が白黒まだらで他は茶色っぽい小鳥、ビンズイの様な鳥だ。でもこんな標高のところにも住むのであろうか?ひと休みの後、今日最後のピーク大真名子山に向け出発だ。針葉樹林帯の急坂を頑張って登るとやがて緩やかな登りとなる。この頃ガスも少なくなり徐々に山々が姿を見せ始める。山頂には大きな岩の上に権現像がどんと構えている。真新しい祠もある。男体山や戦場ヶ原、小真名子山、太郎山等が時々姿を見せる。あそこを歩いて来たんだなあ、頑張ったなあとしばし感慨に耽る。ここでテンプラうどんとビールでちょっと遅めの昼食。もう後は下るだけだ。眼下には登山口に停めた車も見えるので安心だ。おっ、あれが志津小屋だな。下りは鉄梯子、鎖が時々現れる。ここも日光三嶮のひとつらしいが特に問題はない。眼前にど~んと構える男体山を眺めながら快適に下る。やがて笹原となると登山口はもうすぐだ。この笹原は腰から胸くらい迄あり足元はまったく見えない。つまずいて捻挫などしないよう慎重な歩きが必要だ。そして無事到着。振り返れば大真名子山がくっきりと姿を見せさよならを言ってくれた。

 空は青空、しかし時々襲ってくるガスのため展望は望めなかったが、結構アップダウンもあり、幾つかの小鳥にも出会え心ゆくまで歩けた日光連山縦走であった。紅葉の時期も素晴らしそうだし今度は赤薙山、男体山も含めて真の表日光連山縦走を楽しみたいなあと思っているところである。
 さあ、明日は日光白根山に登るぞ!!と言うことで菅沼駐車場まで戻れば良く、まだ時間もあるため一時間ほど戦場ヶ原を散策した。ホザキシモツケが花盛り、静かに流れる川では釣り人が目立った。大きなニジマスの取り込みに頑張ってる人に遭遇。対岸には小鳥の鳴き声。いいなあ、戦場ヶ原も……そしてふーせんさんに教えてもらった湯本温泉「はるにれの湯」で汗を流し陽は暮れていった。