裏妙義縦走 赤岩登頂成功だ! 01年11月17日(土)晴れ

風穴尾根の頭より望む烏帽子岩方面
風穴尾根の頭より望む烏帽子岩方面(右は赤岩)

久しぶりの裏妙義縦走。今度こそは丁須岩に挑戦だ!それと赤岩にも登ってみようかと気持ちを高ぶらせての山行である。しかし結果は…
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メンバー   単独
行  程    登山口…鍵沢コース…丁須岩……赤岩………風穴尾根の頭…三方境…入牧橋
         0810         0940-1000  1050-1130  1240-1315    1325   1425
地  図
   南軽井沢、軽井沢(1/25,000図)、西上州・妙義(昭文社エアリアマップ)


 今日の行程は、縦走して入牧橋へ下山とするので、やまびこ号(折り畳み自転車)を下山口にデポして麻苧の駐車場に到着。単独の男性が、どちらのコースから?と話しかけてきた。この男性は私とは逆コースとのこと。自転車をデポしたことを話すとしきりに感心していた。じゃあ、縦走路であいましょうと別れ登り始める。
 最初は、杉や桧の植林と雑木林の道を緩やかに登る。紅葉を眺めながらのんびり登る。気持ちの良い沢沿いの道だ。ミソサザイがキビキビした鳴き声で飛び回っている。ピンと立てたしっぽが凛々しい小さな小鳥だ。

 第二不動の滝を過ぎたところで、携帯電話のバイブが胸を揺する。トラベエさんからだ。駐車場で我が輩のらしい車を見かけたとのこと。なんとトラベエさんも裏妙義にやってきたようだ。うれしい再会を果たせるかと思ったが、まだ登山口、御岳コースからという。時間から見て、出会える確率は少なそうだ。

 そしていよいよ沢と別れ、このコースの核心部。次第に急になり、鎖場が次々に現れる。足場もありそれほど危険でもないが、連続する鎖と滑りやすそうな岩盤であり、慎重に登る。ふと左手を見ると数人の男性が登っていた。御岳かあのコースかなあ?ガイドブックによると連なる鎖は「数連右斜降20m、4連左斜降20m、U字溝2連20m直降」とある。腕力に自信がない人はゆっくりと慎重に登ろう。最後の鎖を登り切ると丁須ノ頭の下に到着。見上げると、岩肌をまだまだ鎖が続いている。

 さあ、登ってこいと聳え立つ丁須岩!青空にど〜んと構えている。まずは、基部に登る。ここまでは問題ない。数人が休んでいた。あの上に上がれるかなあと見上げている。我が輩もザックを基部に置き、まずは肩まで登る。ここも登りは問題ない。しかし肩は狭いので注意が必要だ。左右が切れ落ちた岩の先端まで入ってみる。ここまででも高度感は凄い。

 さて、念願の丁須岩だ。今まで何度か挑戦しようとして、いつも怖くなり断念してきた。今日は天気も体調も最高だ。そばにいた男性と、どうやったら登れるだろうと交代にてっぺんから垂れ下がっている鎖にぶら下がったり、岩のくぼみに足をかけてみる。思い切って鎖に全体重をかけてぶら下がる。う〜ん、もう少し足が長ければ、もう一つ上の足場を使って登れそうな雰囲気だが…
 無理すれば登れそうな気もしないではない。どうしよう…葛藤が続く。しかし、他の人は諦めたのか登ろうとしない。う〜ん、もう一度ぶら下がってみる。うまく登れたとしても、降りるのは相当厳しそうだ。ぶらんとぶら下がって、岩の引っかかりを足で探るのは難しそう。途中で腕が疲れたら、奈落の底に真っ逆さま、、ブルブルッと武者震い。
…………しばし思案………

丁須岩 やっぱりやめよう!。というわけで今回も断念。若くはないんだ。無理をして落ちたら…と考え、逡巡した数分。ようやく気持ちが吹っ切れた。

 先ほどの男性は、まだああでもないこうでもないと考えている。

 今日は谷急山も行こうと考えていたので、丁須岩を後にする。鎖を下って向かいの岩のピークに立つ。こちらからもいい眺めだ。すると先ほどの男性がぶら下がっている。おっ、いったぞ、最初の難関をグイッと体を持ち上げた。いけ〜!!、人ごとながら手に汗握って気合いを入れる。そこを過ぎればもう登りは問題なさそうだ。無事に頂上に登った。やったねと大きく手を振る。男性もそれに答える。いいものを見せてもらった。下りも最後の難関を無事足探りで下った。たぶんあの男性は我が輩より足が10cmは長そうだ。偉業をたたえて再度拍手を送り、我が輩は赤岩をめざす。



 ここからは西上州の名だたる山々の展望が広がる。さあ、いよいよ裏妙義の縦走だ。まずはこの岩峰西側直下にかかる鎖を下ると一旦なだらかな稜線となる。しかし、すぐに、今回の縦走の最大の難所「チムニー内20mの鎖場」だ。ザックがつっかえるほど狭いチムニー。慎重に行けば問題ないが、一カ所足場を探るようなところがあった。

 そして雑木林を進むと、赤岩の基部に到着。ガイドブックに「赤岩のピークへはここから右の文跡をたどり岩稜を直上する」とあった。今日はここに登るのも目的の一つだ。
 右にわずかな踏み後があった。しかしそれもすぐになくなった。とにかく上をめざせばいいだろうと歩きやすそうなところを木の根っこや、岩に掴まり登る。何度か右往左往しながらのぼるとロウソク岩のようなところに着いた。ここ?

 いやいや、まだまだ続きがあった。帰りはこの岩が目印だな。よし、こちらの方が登りやすそうだなと登るが、次第に急な登りとなり、またまた右へ行ったり左へ行ったり…
 結局、だいぶ右よりにと導かれていった。そして、これが最後かと思えるところに出た。この登りをクリアーすればと、小さな木に掴まるが、根が弱ってるのか、ズルっと抜けて頼りない。右を見れば絶壁だ。怖い!仕方なく左側にルートを探すがどこにも登れそうなところはない。木はたくさん生えているので下まで落ちることはなさそうだが、ちょっと怖い。

 う〜ん、ここまでか…

 よし、もう一度先ほどの崖のところで頑張ってみよう。
ここで秘密兵器出現。3mほどのロープをザックから取り出す。これを大きな木に巻き付け、身長に体重をかけてみる。よし、いったぞ。それっと一気に登ると尾根に出た。やったね。山頂はもう少し西側のようだ。細長い岩稜の尾根を、遮る木々をかき分けながら、最高点と思われる岩稜にたった。すっぱりと切れ落ちた岩場の上だ。思わず足がすくみしゃがみ込む。眼下を見ると、烏帽子方面へ向かう登山者が手を振っている。我が輩に気づいたのだろうか?手を振り返し「お〜い!」と叫ぶ。最高の気分。

 もう谷急山に行く気はなくなった。この登りで十分裏妙義を堪能した。風が吹くと飛ばされそうで怖いので窪みに身を潜め烏帽子方面をスケッチする。
トラベエさん、もう御岳あたりまできたかなあ、電話してみよう。ガビーン!!!
液晶画面が極彩色に彩られている。なにこれっ?一瞬パニックになってしまった。文字がなにも見えない。う〜ん、先ほど登るときに一度ずるっと滑ったが、あのときぶつけたんだろうか?それともチムニーを下るとき、鎖にちょっと振られたが、そのときぶつけたんだろうか?トラベエごめんね。これじゃあ電話ができません。がっかり(;_;)

 試しにワンタッチボタンで我妻に電話をかけてみる。文字は依然として見えないが呼び出し音がする。おっ、かかったぞ!電話の機能は大丈夫のようだ。でもこれじゃあねえ…谷急山に行くのはやめと連絡をして下り始める。登りで苦労した難所はロープのお陰で何とか下ることができた。しかしそれから先、道がわからない。登りは必死で木に掴まり登ったから良かったが、上から見るとどこも降りれそうもない。だいぶ右往左往したから、どこがルートだったか分からなくなってしまった。

 とにかく降りれそうなところを下ろう。方向を間違えたら大変だ。丁須岩は木々の間から見えているので磁石をあわせる。もう少しロープが長ければ苦労せずに降りれるのになあ…20mのロープを車においてきたのが悔やまれる。あの木に掴まって、次はあっちの木と手を出す。そのとき足がかりにしていた木がボキッといやな音を立てた。急な下り、枯れ葉の下は岩である。3m程ずり落ちてしまった。いやあ、まいったなあ。ズボンは真っ黒。すると登りで目印に覚えていたロウソク岩みたいなところが右手にあった。ちょっと格好が違うようだけど、たぶんあっちの方だろうと一旦登り直す。視界が開け丁須岩がまた見えてきた。あっちの方だなと下ろうとすると、めざしているより大分右の方から人声が聞こえてきた。

 あれっ、そんなに右かなあと下る。そのときまたズルッと枯れ葉の急坂を滑り落ちた。
いやあ、参ったなあ…とふと目を凝らすと道のようなものが見えた。そっちへ行ってみると指導標があった。やった〜無事生還。最後はあっけなかったなあ(^_^;) 以外と厳しい登りです。そして更に厳しい下りです。安易に入山しない方が良さそうですネ。

 気を静めるためにコーヒーを飲む。さて烏帽子をめざそうか。すぐに20m程の鎖場の下り、そして赤岩の岩壁下のトラバース。すっぱりと切れ落ちた岩壁。しかし、桟道と鎖があるので慎重に歩けば問題ない。なるべく下を見ないようにしよう(^_^;)、。そしてスラブを少し登り、天を突くような名もない岩峰の基部を過ぎる。烏帽子もあわよくば登ろうかと思っていたが、こちらは絶対に登れそうもない。

 ガイドブックには西端の岩稜を岩壁の弱点を突いて登れるとあるが、こちらは岩登りのエキスパートに任せた方が良さそうだ。そこから尾根道を登るとわずかで風穴尾根ノ頭に到着。ここはお気に入りの場所だ。登山道脇の小さな露岩に登ると絶景が待ち受けている。縦走路の危険個所は過ぎた。絶景を眺めながらビールで乾杯!丁須ノ頭から赤岩、烏帽子、そして表妙義が一望のもとだ。休んでいると数人が登ってきた。でもこの絶景を振り返ることもなく進んでいく。う〜ん、もったいないなあ…

 ここから枯れ葉を踏みしめ雑木林の急な下りを一気に駆け下りると三方境だ。ここは谷急山、国民宿舎、並木沢への分かれ道だ。ここで一休みし、紅葉を楽しみながら沢沿いに入牧橋へと下山した。デポしていたやまびこ号で颯爽と風を切り国道を走る。右手には、西大星、赤岩、烏帽子岩、谷急山と裏妙義の山容が通り過ぎる。麻苧の駐車場について身支度を解いていたら、タクシーで男性が到着した。縦走中途中で出会った人であった。表妙義に興味がありそうで、しきりとどんなところか訪ねられた。裏妙義を歩くとみんな「よし、次は表妙義を!」と言う気になるんでしょうね