西上州 大岩 02年4月20日(土)曇り
手前の岩から望む大岩
久しぶりの夫婦での山歩き。
妻は岩や急な登りは苦手。
さてどこへ行こう…
やはり今の時期ならアカヤシオ
見なくっちゃあねえ。それに新緑も!
日光の鳴虫山も候補にあげたが、
やはり西上州だよね。
笠丸山は以前二人で歩いたしなあ。
碧岩は無理だろうからそこはパスして
大岩にしようと決定。
さて、アカヤシオはどうだろうか?行 程 三段の滝入り口…三段の滝…二子岩分岐…碧岩分岐…大岩
0930→ 1020 1040 1150 1240
1630← 1545 1500 1355
地 図 西上州・妙義(昭文社エアリアマップ15 1/20,000図)、十国峠(1/25,000図)
悩んだ末の大岩、できれば碧岩も行きたい。怖いところが苦手な妻、無理をすると、もう一緒に山には行かないと言われる。でもこの時期(今年は花が早いからなあ)、花が期待できるところはやはり標高1,200m位の山には行きたい。「群馬の山130選」によれば、大岩・碧岩は上級(熟達)コースになっている。しかし何度か単独で歩いたが、碧岩さえ登らなければ一般コースと思える。よし、岩はやめて新緑と花を楽しむくらいにしておこう。やっぱりこの時期西上州の魅力から逃れることはできなかった。無理なら、落差50m、西上州でもっとも美しい滝といわれる三段の滝まででもいいや、新緑とマッチして満足できるだろうとの気持ちで気軽に出発となった。
三段の滝入り口(登山道)の駐車場はほぼ満車状態。隅の方に空きを見つけて駐車。こんな時、小振りの車はありがたい。ほぼ同じ頃着いた単独行の男性が話しかけてくる。あの山はどうだった。あそこはねえと、あちこちの山の名前を出してにこやかに話しかけてくる。とぎれもなく出てくる言葉に少々閉口しながら、じゃあお先にと出発する。少し歩いて「アレッおかしいな?」となった。行き止まりだ。そうか、おじさんの話に気を取られていて何気なくトイレの左手の道路の方を歩いたのだ。いったん戻り、広場の脇を通り沢沿いに歩き始める。
新緑がまぶしい。今の時期の緑はほんと輝いて見える。沢を何度か左右にわたりながら進む。丸太の橋がいくつも架かっている。中には傾いたりしているのもある。何年か前の大雨で流されたのだろうか?それにしても立派な橋だ。手入れをしてくれた人達に感謝!今日は花を眺めたり、小鳥を見つけたりのんびりした歩きだ。いつもの事ながらミソサザイが綺麗な声(ちょっとうるさいとも感じるが)で鳴いている。途中先ほどのおじさんに追い越された。
小さな滝がいくつか現れる。そして鉄の梯子を過ぎるとすぐに三段の滝が現れた。新緑に囲まれた一筋の白い滝。なるほど見事だ。水量もそこそこあり、美しさの中にわずかばかりの壮観さを感じる。しばし鑑賞の上、滝の右手から急坂を登る。二人組のおじさんに追い抜かれる。白いエンレイソウが綺麗だ。花を前景に滝の写真を撮る。
滑りそうな岩を一カ所トラバースする所があった。鎖とロープが張ってあり、それにつかまり登れば特に危険はない。そして滝上に出て穏やかな流れの沢沿いに歩くと二子岩との分岐となる。ここを左のミドリ岩沢方面に曲がりザレた急坂をわずか登る。左手の小さな岩峰にヒカゲツツジが咲いていた。少しして左の尾根へと登るめちゃくちゃ急なジグザグの登りとなる。木の根っこや樹木に捕まりながら登る。時々小さな石が用心していても転げ落ちる。幸い、後ろには誰もいない。人が多いときには要注意だ。そしてようやっとの思いで尾根に出た。左手にミドリ岩が木々の間から見える。頂上からは人の声も聞こえる。アカヤシオも結構咲いている。
尾根をしばらく歩くと稜線に出た。左に行けばミドリ岩だ。分岐にあるちょっとした岩、ヒカゲツツジが岩肌に綺麗だ。近くで眺めようとよじ登る。もちろん妻は下で待機。「危ないわよ、もう降りてきたら」と心配性だ。さて碧岩、どうしよう?妻は、待ってるから行ってきたらと言ってくれたがそんなわけにも行かないので、今日はやはりパス。
大岩方面への気持ちよい樹林帯を歩く。途中、私たちとは反対の尾根から登った数人の人と合流。その中の太った男性は、もう倒れそうなほど疲れ切っていた。いやあ、厳しい登りだった!とのこと。どちらを登ってもやはりきつい山である。ここから大岩まではわずか。展望の良い途中の岩からは碧岩の展望が素晴らしい。行く手の大岩への岩尾根をみると登山口であった男性が右往左往している。それを見た妻「怖そう、ここで待ってる。行って来たら」と言う。それほど危険とも思えないが、やはり岩が苦手な妻に無理強いはできない。ここからは往復でも10分くらいだ。ザックをおいてひとっ走り山頂まで行って来た。山頂は樹木に遮られあまり展望は良くない。
妻の所に戻りお昼とする。西上州の山々を眺めながらのビールやコーヒーは格別だ。中でも碧岩は見事だ。眺めていると、途中に設置された急な登りにあるロープでは渋滞している。なかなか進まないので下に待ってる人はいらいらしていることだろう。双眼鏡で苦労しているところを眺めるのも楽しいものだ(^_^;)。妻は「行かなくて良かったわ。登りはどうにか大丈夫だろうけどたぶん降りれないわ」とのつぶやき、確かにそうだったかもしれない。無理しなくて良かった。ここで休んでいると、通りがかりの人達が「いい場所ですねえ、気持ちいいですねえ、あれがククリ岩?二子岩はあれ?碧岩行きました?」等々と声をかけてくる。モヤッとしたあいにくの天気で展望はいまいちだが、みな西上州を楽しんでいるようだ。
さて下ろうかと腰を上げる。帰路は碧岩への分岐を直進し、アカヤシオを眺めながらの尾根歩き、そして急斜面の下りとなる。確かに太ったおじさんの言っていたとおり、こちらの登りも苦しそうだ。ずり落ちるしかしょうがないような所もある。いやあ、大変だ。途中、いくつかタラの芽をゲット。今宵の食卓を飾るくらいは収穫できたぞ。
向かいの山肌から何か音がする。熊か!!と身構えたが、よく見ると鎌を持った男性がタラの芽を求めて、道無き山肌を徘徊していた所であった。沢に降りる頃この男性と合流したが、いっぱいのタラの芽を収穫していた。思わず生唾ごっくんである。
急坂もようやく終わり枯れた沢に到着。この右側が登りに使ったコースだ。落石がないだけ、下りに使ったコースが楽なようだが、どっちもどっち、楽しい急坂歩きが楽しめた。このくらいなら妻も、また一緒に山に行こうと言ってくれそうだ。後は滝を眺めたり、新緑を愛でながらのんびりと駐車場をめざした。駐車場手前で振り返ると、碧岩が聳えていた。登りには気付かなかったが…
今回は、ガイドブックによれば上級者コースとある。確かに碧岩に登るとするとそれなりの心構えが必要だろう。ただしそれをパスすれば、新緑や、気持ち良い沢、西上州の展望など、お薦めの山である。