2002年10月27日(日)快晴
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戸隠西岳に行く予定が悪天候で中止となった。じゃあ、表妙義行くけどどう?とTさんから連絡があった。
そういえばもうそろそろ西上州も秋の気配がやってきた頃かなと同行することとした。さて、まだ腕力は耐えれるだろうか…
行 程 妙義神社…大文字…奥の院…白雲岳…相馬岳…鷹戻し…金洞山…西岳…第4石門…登山口
0625 0710 0735 1030 1225 1335 1515
メンバー Tさん、Iさん、3さん、酒呑童子
地 図 昭文社エアリアマップ15 西上州・妙義 1:6万図
表妙義縦走、この言葉を聞くと血が騒ぐ。標高は1,100mに満たないが、そこに現れる奇怪かつそそり立つ岩峰、次から次へと現れる鎖場。体力・腕力・気力・度胸・経験etcを要求される妙義山きってのダイナミックな縦走コースだ。時々現れる看板には「上級者でも非常に危険な箇所です。ザイル等の装備のない方は登山を自粛してください」とある。よし、気を引き締めていこう。
Tさんの車を中之岳神社登山口の駐車場にデポしに行った。しかしまだ時間が早いのか開いていなかった
。仕方なく路肩の広い場所に停める。これで帰りは楽だなと話しながら妙義神社へ酒呑童子号で戻る。金鶏山の右手から真っ赤な朝日が輝いていた。素晴らしい一日になりそうな予感!さて、気をつけていきましょうと、Iさん、3さんに初対面の挨拶。このお二人とは初めての山行だ。
妙義神社の苔むした石段は朝いちの体にはつらいが程良い準備運動になる。本殿に安全登山を祈願し大ノ字をめざす。Iさんは赤いヘルメットを装着。格好いいなあ…岩登りのベテランらしい。急登で下ばっかり見ながら歩いていたら、いつの間にかルートミス。後ろにいたTさんに「間違えちゃった。このままもう少し登りましょうか?」と提案。道のない(といっても以前も誰か間違ったのか踏み後はわずかながらある)所を歩くのもおもしろい。Iさんから、道が違うよ〜と声がかかる。
5分ほどそのまま登っていたが、更に急登となり、正規の道へトラバース。「いやあ、最初からおもしろいねえ」等とルートミスを反省しない我が輩…そしてわずかで鎖場を過ぎ、大ノ字の岩峰にとりつく。足場はしっかりしているがちょっと鎖に振られそうな感じに着いておりおもしろい。頂上では榛名や上州武尊山他、素晴らしい展望が待っていた。見上げる白雲山方面は少し色づいているが紅葉には少し早かったようだ。
さて奥の院をめざそう。中間道との分岐には「険しい岩場が数多くあり大変危険なので…」とある。わずかで大きな杉の木がある奥の院に到着。ここから本格的な鎖場が始まる。ファイト!何連かつながった30m鎖は長いが足がかりはあり、みな難なく通過。そしてトラバース気味の7mの鎖を過ぎるとわずかで裏妙義の見える絶景の稜線に出た。丁須ノ頭が見える。3さんは以前てっぺんに登ったらしい。いやあ、凄いねえ、我が輩は怖くて何度も挫折しているのだ(^^;;;
<<<奥の院の鎖場
3連30mの鎖、
本コース中最初の難関だ
しかし足場はしっかりしている
相馬岳>>>>>
いやあ、凄い絶景だねえ
思わず武者震い
見晴を過ぎて、その名もビビリ岩、まずはここで小手調べ、難なく過ぎて白雲山とおぼろげに読める古びた標識の岩峰。展望もピカいちだ。向かいの玉石でも展望を満喫。登りは大したことはないが、対面のピークから見るとそのそそり立つ姿に「えっ、あそこに立ったの?」と遅蒔きながら腰が引ける。表妙義の縦走路はそんなところばっかりだ。大のぞきから眺める深い谷を挟んで屹立する天狗岳も圧巻だ。
そして30mはあろうかという滑り台状の鎖場、鎖を持つ手が冷たい。途中で何度か休みながら下る。そして後続が降りてくるのを対面の岩の上から高みの見物。いやあ、なかなか緊張する光景だ。そして天狗岳のピークに立つ。立ってみれば大したことはないが、あの恐ろしそうな岩峰の上に立っているのかと思うと嬉しくなってしまう。ここからしばらくは鎖ともお別れ、木の根の露出した道を下り、相馬岳への登りとなる。相馬岳は木立に囲まれた静かな山頂だ。ここで初めて中ノ岳から星穴岳の全貌が現れる。素晴らしい景観だ。少し下ると木立もまばらとなり遮るものもない更に展望の良いちょっとした岩場がある。何気なく通り過ぎてしまうような所だが、私のお薦めの所だ。
浅間山や裏妙義を望む 東岳、西岳、星穴岳を望む。後方は荒船山
そしてザレた山肌を登るともう一つのお勧めの岩場、茨尾根のピークだ。ここも素晴らしい展望。ちょっと一休みして腹ごしらえ。あそこが鷹戻しかなあ等とこれから待ち受ける最大の難所を熱いまなざしで見つめる4人。ようやく行程の半分くらいかなあ…さあ、頑張ろう!女坂への分岐を過ぎると遭難碑のある所に到着。ここはもっこりした岩のこぶをしっかりと抱きしめて慎重にクリアーする。高度感はないが体がぐっと中に突き出るような姿勢になり緊張するところだ。ここは本当は通行禁止になってるんだよね。まじめなIさんはパスして左から小岩峰を巻く(^^;;;
縦走路で見かけた花。緊張した歩きに安らぎを与えてくれる
そしていよいよ本日最大の難所の鷹戻し。ここはときどき転落事故も起きている最大の難所だ。以前来たときも途中で怖くなり岩にしがみついてる女性も見かけた。慎重に慎重に…。上の方で混んでいるのでしばらく待つ。そしてまずはザイルを持っている3さんが先行する。万一ザイルが必要になればお願いねと健闘を祈り送り出す。そしてIさん、最初のちょっとした岩の登り、以外と取っつきにくかった。次に梯子、そして鎖の連続。いまそそり立つ岩壁を登っているのだ。途中休めそうなところで振り返り絶景を楽しむ。いやあ、凄いねえ!凄い高度感だ。そして最後はもっこりした岩を乗り越して数mの鎖でトラバース。ここで後続のTさんを待ちかまえ写真を撮る。が、足場が安定せずいい写真が撮れなかった(^^;;;
鎖を放すなって書いていました まだ序の口かな I さん、今日の調子はどう? 最後の難関、直登からトラバースへ
ザイルの世話になることもなく全員、無事ピークにたった。やったね。この満足感、何とも言えない。そして次はいったん下り、登り返すと2段25mのルンゼ内鎖場だ。ここも急傾斜で難しいところだ。最初の一歩が怖い。もう少し鎖が上の方からあればいいのにねえ…と話しながら皆楽しそうだ。鎖は太くて頑丈だ。安心して慎重に下ろう。下から眺めるとほんとみんな凄いところ下ってるねえ。次のグループはザイルを出し懸垂下降で下っていた。
そしてちょっとした岩場をのっこすと東岳だ。時々風が強いので慎重に先に進む。そしてようやく「一般登山者通行禁止」区域から解放され金洞山中ノ岳に到着。眼下には大砲岩等の岩峰がそそり立っているが、上から見るとなんか滑稽だ。ここも風が強いので休むことなく下る。またまた垂直2段の鎖場だ。しかしここの鎖はしっかりと固定された鎖で難なくクリアー、西岳への分岐で風を避けて腹ごしらえをする。二人のおじさんが金洞山から走るように声を上げながら下ってきた。元気なおじさんだなあ、でも一歩間違えるとあんな下り方は危ないよね。真似しないようにしよう…
2段25mのルンゼ内鎖場 お山の大将 中之岳の鎖場
さて、西岳に挑戦。我が輩は何度か登っているが、後の3人は初挑戦だ。何気ない道をわずか登ると早速ごつごつした岩壁だ。短いロープが着いているがなんか信用できない。トラバース気味に岩こぶにしっかりホールドし登る。無事クリアーしたピークで振り返ると歩いてきた縦走コースが見渡せる。ここも絶景。そして馬ノ背を思わせる両側が切れ落ちたちょっとした岩場。ロープが張ってある。わずかに下り勾配だが以外と歩きにくい。時々風が強い。吹き飛ばされたらやばいよね。風の止む機会をうかがって一気に渡る。Iさんは何度か挑戦したようだが、風に嫌われたのか、やむなくリタイヤ、3人で先をめざす。
そしてまたトラバース気味の岩壁だ。うまく岩の凸凹を利用して慎重にクリアー。登り切ったらわずかで山頂だ。星穴岳方面の景観が見事だ。先日星穴岳に行ったという人の報告を見た。ここから下ったのかなあと後日の参考にじっくりと眺めた。それにしても良くあんな所行くもんだなあ驚きだ。西岳山頂は三つの岩峰がある。どこが一番景色がよいかそれぞれのピークに立ってみる。やはり一番北のピークが縦走コースが邪魔物なく眺められて最高の場所だ。でも狭いので注意が必要だ。
小ぶりだが厳しい岩肌のトラバース さて次の足場はどこかな…
展望を満喫したので下山開始、岩場は緊張した。やはり登りより難しい。このときばかりは皆慎重な顔つきになる。笑顔もいいが、緊張したぴりりとした顔の方がやっぱりみんな男前だ。分岐で待つIさんと合流し第4石門へ下る。恐ろしいほどの数の団体さんがたむろしていた。いやあ、ここまで来ればもう観光地気分だねえ。大砲岩の上に立ちたかったが、疲れたのか賛成者がいなかったので、石門の左手の岩場から「日暮らしの景」を堪能する。そして最後につるべおとし、たてわり、カニのよこばいと続く第2石門に挑戦。ここは鎖もしっかりしているが、サンダルの人もいた。なんでも他の山に登った帰りに靴を履き替えて偵察に来たそうだ。いくら何でもサンダルじゃねえ…妙義をなめてかかると怖い目にあうよっと心の中で注意した。
西岳から望む表妙義縦走路 至る所に鎖が待ち受ける
そして最後はカニの小手調べで本日のコースは無事終了。と思いきや、風で帽子が飛ばされてしまった。道路までわずか数mの藪へ突入し帽子を拾って最後まで楽しませてもらった。
やはり妙義はおもしろい!!