西上州 表妙義縦走 (その2)    2000年11月25日(土)晴れ

天狗岩方面 さて縦走路も後半分くらい迄やってきた。ここから相馬山までは少し道が分かりずらかった。踏み跡も乱れ、足場も悪い。「あれっ、こっちかなあ」と思うことも何度かあった。ガレ場から樹林の中を石や木の根っこに掴まり急登する。息も絶え絶えで登り着くと相馬山だ。ここが本日の縦走路中で最高の標高だ。展望はいまいちである。
山頂では4人が食事中。では私も食事にしよう。ちょっと寂しいあんパンとコーヒーだ。今日は険しい岩綾歩き、
ビールがないのはちょっと物足りないなあ…

じゃあ、お先にと天狗岳をめざす。このあたりは縦走路中、岩場や鎖が無くちょっとほっとするところだ。でも油断は禁物、フカフカと積もった落ち葉の下には、石や木の根っこが隠れている。
一旦下り、そしてまた登る。ほんとこの縦走路は、イヤになるほど上り下りがある。標高は低いが歩きがいは十分すぎるほどだ


裏妙義、浅間山を望む
 天狗岳まで後少し、その手前に展望の良い西肩の岩場で一休み。ここも浅間山と裏妙義の展望がばっちりだ。歩いてきた縦走路も遙か遠く見える。単独行しが豪華なお弁当を食べている。奥さんが作ってくれたんだろうか?
ほぼ下山時間のめども付いたので、ここでまたのんびりスケッチだ。
いつまでも帰りたくない雰囲気だ。




大のぞき手前の長〜い鎖場

ここでまた大きく下る。
で、キレットに到着。1人の男性がビデオを構えている。そのカメラの先では妙齢の女性がこわごわと
スベリ台状の鎖場を下っている。一歩一歩慎重に下っている。角度はそれほどでもなく足場も適当にあるが、いかんせん、距離が長い。30mはあろうか…途中で休憩するにも鎖を手放すわけには行かない。「頑張って」と心の中で応援する。数mまでどうにか下ってきた。いやあ、良かった良かった。
 そこで男性の一声「はい、そこで止まって…」今度は一眼レフを取り出し「こっち向いて」だって。女性の(^_^;はこわばり、足はふるえている。私だったらカメラなんか放り出して、大丈夫ってすぐにでも抱きかかえたいくらいだ。
でも、愛は強し、逆境に耐えながらもにこっと微笑みを返す。「う〜ん、いい顔だ」と1人つぶやき、女性と交代して一気に上までのぼる。

そして大ノゾキ、玉石、と通過し、縦走路最後のハシゴそして鎖場を過ぎると見晴らしの到着。ここで絶景の見納めだ。しっかりと裏妙義方面の姿を目に焼きつける。

奥の院近くの岩場 奥の院への下りにはもう一度鎖場が現れる。男性二人に出会う。今から登るのだろうか?「これから先どこまで行けますかねえ、鎖大丈夫ですか?行けるところまで行きたいんですが」って聞かれた。今からではちょっと遅すぎるし、二人の実力も分からない。下手な返事はできない。
「岩場が嫌いでなかったら、この先もだいじょうぶでしょう。でも時間が遅いから、無理しない方がいいですよ。途中でエスケープコースもあるようですから遅くなるようだった途中から下るか戻った方がいいですよ。では気をつけて」と見送る。
 鎖場を出て見晴らしに着いた男性の声が聞こえる「いやあ、
凄い景色!!早く登ってこ〜い」と相棒に声をかけている。
確かにここまでは展望もない登りだ。初めてだったら突然出現する展望に感動するのはうなずける。私も最初の時は、何だこれは!!って感動したものです。
更に奥の院の鎖場を下る。
こちらから登るとき、この鎖場は「無理と思ったら潔く引き返しましょう」と書かれている。確かにここで「もうだめ」って思ったら引き返した方が無難でしょうね。

 奥の院からは第1見晴らしをめざす。ここらあたりで
猿軍団に遭遇。ざっと数えても20匹以上いた。少し前に6人くらいの子供を含むパーティーが通ったが、それで猿も警戒していたのか、騒々しい。このあたり、紅葉はまだまだ見頃だった。
途中、見晴らしから登ってきた二人連れ、手に小石や木の枝を持っている。聞くと「猿が沢山いて襲われたらやばい」と思っていざとなったらこれで撃退と思っているようだ。かなり猿を怖がっている。「目を見ない方がいいですよ。変に威嚇しない方がいいですよ。ごく自然に通り過ぎましょう」とアドバイス…特に私は猿博士ではないですが以前同じ様な体験をしました(^_^;

しかしこのご夫婦、やはり猿が近寄ると怖いのか、怖がって木を振り回したり、大きな声を出したりしている。すると猿も興奮して大きな声で叫んで威嚇している。「おいおい、そんなことしたらほんとにやばいよ」と思いながら下る。この上の方にもたくさん猿がいるのに大丈夫かなあと思っていたら、引き返してきた。やはり猿の驚異に負けたようだ。

 第1見晴らしで犬をつれた二人連れと遭遇。
犬猿の仲とよく言うが、紐を着けておらず猿が出てきたとき喧嘩なんかしないかなあと人ごとながら心配する。 「猿が沢山いましたよ」って声をかけたら「えっ、この山、猿、いるんですか?」だって…

猿はいなくても、紐くらいつけてもらいたいものだ。人間だって犬が嫌いな人や、怖い人ももいるんだよね。人慣れした犬だってことは飼い主しか分からないんですよね。何かの拍子に岩場や険しいところで飛びかかられたらどうするの!!

第4石門さて、ここから
中間道を石門方面へ進む。疲れた身体にはこたえる。基本的にはずっと登りである。まあ、しょうがないか、車置いて帰るわけにも行かないからと逆光に映える紅葉を楽しみながら歩く。
時間も早かったので、大砲岩に登って一休み。「
日暮らしの景」とはよく言ったものだ。眼下に屹立する岩峰はいつまで見ていても飽きない。
最後に、第2石門の鎖場を楽しんで、表妙義縦走は無事幕を閉じた。





中間道の紅葉 第1見晴らしへの岩場 今にも落ちてきそうな岩場をくぐる 第2石門