西上州 岩稜の毛無岩 アカヤシオはもう少し
1997年4月13日(日)晴れ
切れ落ちた崖、360度の展望、それにアカヤシオの花々、まさに西上州の魅力満載の毛無岩に行きました。
登山口…下底瀬…上底瀬…馬の背…観音岩…馬の背…トヤ山…毛無岩……分岐…登山口
0815 0915 0930 0950 1020 1105 1235-1340 1500-1530 1550 1640
せっかく行くなら黒滝山方面からの縦走にしようと、以前Gさんの歩いた黒滝山からの縦走を試みようとやまびこ号の出番となった。しかし、小沢橋経由はあまりにも道程が長くちょっとしんどそうだ。それではと、六車から下底瀬に入り、岩稜の鷹ノ巣岩、ハシゴや鎖を楽しめる馬の背を経由しての縦走コースに挑戦することとした。
カシラダカの囀る道場の登山口に車を止め、やまびこ号で六車をめざす。もう風は暖かく快適なサイクリングだ。六車迄はほとんど下りであったが、下底瀬に入りつらい上り坂となる。5段変速でも結構しんどい。登山前から結構な汗である。山肌には紫ツツジがもう満開状態である。チラホラとアカヤシオも見られる。右手には鷹ノ巣岩がまるで登頂を拒むかのようにそびえ立っている。しかし登り口が見つからない。この日は地元の人たちがあちこちで道路の清掃活動を頑張っていた。登山口を訪ねると、ちょっと分かりにくいけどそこの先の堀の上から堰堤を越えていったところと親切に教えてくれたが、とうとう見つけられず上底瀬まで来てしまった。やまびこ号は坂を上りきれず途中でデポ(登山口より約10Kmの距離)する事とした。ウグイスの鳴き声が聞こえるがまだたどたどしく聞こえる。わずか数m前で姿を見せてくれた。
民家の近くに真新しい標識が数本無造作に置かれている。いよいよ取り付きが分からず不安になりその民家に訪ねる。すると、もう少し行った豚小屋の先から上に鎖が見えるところがあるよ。そこに古い標識があるからすぐ分かるよとの返事。新しい標識はそのご主人が立てることになっているらしい。ようやく登山口らしいところに到着。ほっとする。しかしここは黒滝山への登山口である。鷹ノ巣岩は断念となった。約20分で観音岩への分岐に到着。このままトヤ山をめざすにはちょっと寂しすぎる。鎖の張られた馬の背を歩いてみたい、アカヤシオも結構咲いている。時間もそれほどかかりそうもないと判断し観音岩まで往復することとした。鎖のある馬の背はかなり緊張する。両側は切れたっている。手摺があるものの狭いところでは思わず力が入ってしまう。綺麗な花に見とれてばかりはいられない。数カ所の岩場には鉄製のハシゴや鎖、ほぼ直角に近い6m位の岩場にかかるハシゴはやはり緊張した。
しかし、それもつかの間で登り切ると後は割と平坦な道である。右手には九十九谷の景観を楽しみつつわずかで観音岩(五老峰)に到着。石祠が鎮座している。眼下には黒滝不動尊、前方には表や裏妙義、赤岩、烏帽子岩が見事だ。四ツ又、鹿岳も指呼の距離で目を楽しませてくれる。このあたりではアカヤシオは3分〜5分咲きであろうか。岩から南東へのびる稜線も気持ちよさそうだと先に進む。しかし、道も細くなり途中から引き返す。ここらあたりからは赤岩の左側に白き山々が見えている。展望に名残を残し馬の背へ引き返す。途中千葉から来たという男性に出会い(今日出会ったただ一人の登山者であった)しばし花談義をする。時間があれば大屋山をめざすそうだ。
分岐まで戻り、杉林の中トヤ山をめざす。途中六車への分岐からは雑木林になる。枯れ葉の積もったところで一休み。ふわふわした感触が気持ちよい。気温は18度C、暑いくらいだ。杉林を抜けると明るい尾根、そして雑木の山肌をトラバースする。ここらあたりから平凡なだらだらとした登りである。前方に見えるトヤ山がなかなか近づいてこない。何回も休憩をとりどうにか縦走路からそれた山頂に到着。景色を見る前にぺたりと座り込んでしまった。ああ、疲れた。今日は体調が悪いのかなあ…落ち着いて展望を確かめると、白き山々、八ガ岳であろうか、西上州の山々もオンパレードである。浅間山はもうだいぶ積雪が少なくなっている。おう、あれは先日登った金峰山みたいだなあ。肉ウドンに餅、卵をいれて豪華な食事、温かいコーヒーで疲れも吹っ飛んでしまった。さあ、次は本命の毛無岩だと元気に出発する。
ここらあたりは気持ちの良い稜線歩きである。そして上級コースとの分岐である。ここはもちろん上級コースの選択だ。かなり際だった稜線歩きである。右手にのぞき込む切り立った崖は思いっきり緊張感を高めてくれる。いやあ、凄いところだ。そして毛無岩頂上である。狭くてちょっと長い頂上から覗き込む絶壁も見事だ。展望はもう言うこと無し。持ってきたビールが飲んでくれ〜と呼びかけているようだが、先に続くナイフリッジの稜線を考えるとやはり遠慮することにしてコーヒーで我慢する。左手にみえるカラマツ林も新緑、紅葉時期は見事であろうなあと思った。そう言えばトヤ山からここらあたりの標高ではアカヤシオはまだ咲いていなかった。つぼみはかなりあったので連休頃が見頃かなあと思いを馳せ山頂を後にする。
ナイフリッジを慎重に歩き、道場への分岐から下山とする。Gさんは、ここから荒船山を目指したそうだが、驚異的なロングコースをよく歩いたものだなあと改めてその健脚ぶりに驚いてしまった。
広大な雑木林をすぎるとさわやかな沢が現れた。今日は思いのほか水を消費してしまった。ウドンを含めて1.5Lである。水筒は空っぽ、お土産に水筒を満たす。今夜はこれで水割りが楽しみだなあと思いつつ沢の水で顔を洗い汗を流す。
ここらあたりからはまたアカヤシオや紫ツツジがチラホラ咲いている。そのほか色々な花が目を楽しませてくれる。図鑑を持ってこなかったことを後悔する。そして小鳥の声に耳を傾け、沢の流れや小さな滝、岩肌にへばりつくツツジ等を眺めているうちに登山口に到着した。(約25,000歩)
今回は久しぶりのやまびこ号の出番となり充実した山歩きであった。もう標高によってはアカヤシオは見頃である。山は春の息吹に満ちており小鳥は高らかに囀っている。これからは花々を眺めながらのゆったりした山歩きを楽しみたいものである。しかし、鷹ノ巣山への取り付きを見つけられなかったのは残念であった。下から見上げる岩はかなり登行欲をそそる。再度挑戦したいものだ。