ひとつ花が岩肌を染める烏帽子岳

 いよいよ7日で連休も終わりとなる。大津、鹿岳、四つ又山で見たアカヤシオ(地元ではひとつ花と言うらしい)が忘れられず、再度西上州の山を堪能することとした。
 今回は単独行であり、ひと味違ってじっくりと時間をかけのんびり楽しい一日であった。期待したとおりの岩峰とひとつ花、ヒカゲツツジ等を鑑賞する事ができました。

登山日   1995年5月6日(土) 曇りのち晴れ
山  名   烏帽子岳(1,182m)
場  所   群馬県南牧村大仁田と多野郡上野村の郡境(西上州)
メンバー  単独
ルート    シボツ沢登山口…二股…奥の二股…郡界尾根…マル……烏帽子山頂…マル
         9:47         9:54  10:30    11:00   11:15  11:48-12:50 13:05
        シラケ山方面岩場…マル…コル…奥の二股…登山口
         13:50        14:10 14:18   14:40   15:10
地図他  西上州・妙義6万分の1(昭文社)、群馬県の山(山と渓谷社)

 連休最後の登山だ。この連休は終わって見れば、大津オフを皮切りに西上州の山域に入り浸り(日帰りのみであるが)となってしまった。それほど、アカヤシオ、岩峰、静けさが、わりと簡単に日帰りで堪能できる素晴らしい山域である。

 今日は一人であり、ゆっくり写真でも取りながら登ろうと心に決め、上信越道を快適に走る。途中上野村ポータブル1のJG1N*W局と交信する。先日は茂来山に登ったそうで上野村付近は霧がでているとのこと。山頂の展望が気にかかる。

 先日登った大津の登山口には1台の車が止まっている。登っているのだろうか?道路はゆっくり走れば普通車でも大丈夫だ。ただ、数人乗っていれば何回か底をこするであろう。程なくシボツ沢登山口に着く。路側に6台の車が止まっていた。登山口にはヤマブキの花が綺麗だ。さあ、いよいよ出発だ。登山口から上を見上げればわずか烏帽子の山頂が見える。9時47分登頂開始後沢沿いに登ると二股に着く。更に沢沿いに歩く。
 ここらより、ハシリドコロ、シロバナエンレイソウが目立つ。新緑が輝き、春の息吹を感じる。足下には枯れ葉のじゅうたんで柔らかだ。わずかで左右に大きな岩が現れ、倒木が道を遮るところから上を見るとひとつ花が見える。所々にひっそりとひかげつつじも見られる。淡黄色の花びらが綺麗だ。少しばかりの急登を終えると前方に小さな滝がみえる。水量はあまり多くない。雨が少ないときにはたぶん水はないのではなかろうか。登りが続く。ひとり黙々と歩く。鳥の声が賑やかだが残念ながら、何の鳥か分からない。
 
 いつの間にか沢の水が涸れ10時30分奥の二股に着く。郡界尾根にでてマルを通るコースを登る。落ち葉、ガレキを踏みしめ足下に気をつけ登る。踏み跡は少し不明な部分があるが所々にテープがあり尾根を目指して登れば大丈夫だ。左手に烏帽子の山頂が木々の間に見える。数人が展望を楽しんでいるようだ。花の写真を撮りながらのんびり登る。(もっとも、急なため急いでは登れない。体力不足だ、反省)帰路は直接コルに向かうコースを下ったが、これは大正解であった。こちらより遥かに急な登りである。尾根の少し手前で3人の女性と出会う。

 尾根にでてマルからコルに向かう道はひとつ花のトンネルだ。ここらあたりからビデオカメラが回り始める。前方からカメラを数台ぶら下げた人がやってきた。この優雅な花景色では重いカメラにもめげず写欲をそそられるであろう。マルでは指導標が壊れていた。岩峰のひとつ花が素晴らしい景観を見せてくれる。上野村への分岐を立木につかまりながら下り、烏帽子のコルへ向かう。コルから15分程で山頂だ。

 山頂には、12、3人ほどの人が展望を楽しんでいる。それほど広くはない、混雑気味だ。天気も回復し、青空だ。暑いくらいである。西上州の山々、浅間と僅か春霞はあったが360度の展望を満喫することができた。マルの斜面、南東のシラケ山や天狗岩方面の岩峰、ひとつ花も圧巻だ。山頂北面の切り立った崖から見える景観も素晴らしく足下が震える。吸い込まれそうだ。稜線を花が縁取る。地図を手に山座同定を楽しむ。
 12時50分、山頂を跡にし、コルからマルに戻り山頂から眺めたシラケ山方面の岩峰に挑戦する。地図には載ってないが、上野村方面への踏み跡があり行けそうだ。10分ほど下ると大きな岩の下に到着。ルートは岩の基部を巻いているようだが、ツツジの立木につかまりよじ登る。藪をこぎ分け数分で岩尾根にでてシラケ山方面に進む。下の方では中年の夫婦がこちらに登ろうとしていたが、断念したのか、弁当を開き始めた。
 こちらからの烏帽子岳の眺めも素晴らしい。眼下には烏帽子から見えた岩峰がそそり立つ。ヒカゲツツジが多く見られる。こちらは誰一人通らずゆっくりと写真を撮る。
 
 時間が許せばまだ先に進みたかったが、単独行であまり無理もできずここらで同じルートを引き返す。マルからコル経由で奥の二股に下る。凄い急降下で滑りやすく、下手をすると石を落としそうになる。慎重に下る。数組が登ってきていたが、かなりばてているようだ。こちら側から登らなくて良かったと胸をなで下ろす。急降下を終えほっと一息をいれる。これより登山口までは花や景色を楽しみゆっくり降りる。名前の知らない草花は写真を取り、後日図鑑で調べることとした。

 15時10分無事下山。これで連休中の山行きはおしまいだ。8日からはまた大都会での喧噪にもまれる生活に戻る。思いっきり自然を楽しみリフレッシュしたし、次の山行きをめざして仕事に戻ることとしよう。

 ところで、「マル」「コル」の意味は何でしょうか?ガイドグックにでており意味も知らず使ってしまいましたが……烏帽子山頂よりマルと呼ばれるところの方が標高が高く??です。他にも登山用語で分からない言葉がありますが、そういう時は何を参考にしたらいいんでしょうか?どなたか教えてください。