岩峰と紅葉を堪能の大ナゲシ、赤岩岳  

1997年10月25日(土)晴れ

さあ、西上州の季節がやって来たぞと岩峰と紅葉を堪能すべく大ナゲシ、赤岩岳を歩いてきました。道に迷い腕は傷だらけ、足はへとへと状態となり、誰にも出会わず静かと言うより不安の方が多かったが、一時は断念かとも思った大ナゲシに登れ満足の一日でした。

赤岩橋…NO.37境界杭…1583m峰…赤岩岳……赤岩峠…大ナゲシ…赤岩峠…雨量計標柱…赤岩橋
0740    1025     1100-1120  1200   1230-1240 1300-1340  1440    1500     1600


 さすが西上州、踏み跡も薄く道に迷うのはざら、岩峰ややぶには何度やめようかと思ったことか、まさにハプニングの連続でようやく終えたと言った感じです。

 今の季節にはちょっと無理かなあと思う約11時間の行程、当初の予定は小倉沢から赤石峠、大ナゲシ往復、赤岩岳、そして赤岩尾根を経由し八丁峠から小倉沢だったんですが(^^;

 早立ちのため前日登山口までと思い車を走らせるが、坂本あたりからガソリンの残警報ランプが途中でチカチカ…えっ、やばい。まだ大丈夫のはずであったが…と心は焦る。山に入ってガス欠なんて言ったら悲惨である。とはいってももうスタンドは開いていない。迷いながら志賀坂トンネル着。看板に工事中のため日曜以外8時から17時迄通行止めとある。帰路も心配であるしガソリンのことも考慮し敢えなく当初予定を断念し、明朝すぐ燃料補給できるよう中里町の閉まっているガソリンスタンドの前で車中泊とする。明日の行動予定を検討しながら眠りにつく。

 そして朝。燃料のインジケーターはまだ余裕は少しありそうだ。スタンドもまだ開かないので野栗沢経由で赤岩橋位は大丈夫だろうとメーターを睨みながら進む。赤岩橋から大ナゲシをめざすこことした。(橋の付近は2〜3台は駐車可能)

 林道もわずかで終わり歩きにくいザレた山肌を沢沿いに歩く。そして丸木の橋?の先で沢を渡る。少し行ったあたりから道が不明瞭となり感じからたぶんこっちだろうと進む。この判断が間違いと気づいたときはもう遅かった。踏み跡もテープも無くなりひたすら尾根を歩くようにつとめ急登を獣のように四つん這いになって稜線をめざす。途中、めざす大ナゲシが樹林の間からそびえ立つ容姿を見せる。

 二時間くらい歩いたろうか、稜線に出たと思ったらまだまだ先がある。大ナゲシ方面に行くには絶望的な絶壁である。眼前の登りも厳しそうだ。いやあ、まいったなあ、今日はここで断念か、せめてあの雄姿だけでも撮しておこうと記念撮影。結構あちこち歩き回ったようなので果たして無事降りてこれるだろうかと不安になる。帰路に間違わないようにと木の枝を拾い集め目印をつくる。また、登りながらも下山時の風景を目に焼き付けておこうと所々で振り返りながら歩く。さて、一つくらいはピークを踏んでどうするか判断しようと藪をこぎ登る。暫く歩いてたらどうも1583m峰との中間点位の県境標識NO.37のピークに出てしまった。ここから下ることになるかも知れないのでマーキングする。

 東西にテープの目印が見える。踏み跡も割と明瞭だ。やった〜ようやく稜線に出たぞっと一安心する。安心した途端に欲が出てきた。東側に岩峰が見える。そこまで行ってみようと進む。眼下に林道や家が見える。南側には両神山も見えてきた。いくつかの岩峰を経て一番高そうな岩峰の基部に到着。テープを目印に頂をめざすがちょっと油断するとコースが分からなくなる。手がかり足がかりを探し登るが、行き詰まり何度か行ったり来たりするうちにようやっとピークに達した。朽ちた表示があったが何と書いてるか不明だ。樹林で展望はわずかだ。少し端によるとよく見える。地図から見て1583m峰だろう。大ナゲシが早くおいでと呼んでいるようなのでここから引き返す。37番の標柱、ケルンのあるピークを過ぎ次のピークに到着。赤岩岳の表示がある。ここも樹林のため展望は良くない。しかし展望なんて今日はどうでも良い。ここに到達できただけでももう満足である。

 もう不安はない。これで自分の位置がはっきりしたので赤岩峠をめざす足取りは軽やか…であったがすぐにその甘い考えに暗雲が漂った。結構な岸壁である。下る道がよく分からない。右往左往してそれらしきところを下る。藪、崖と容赦なく攻めてくる。いやあ、参った参ったと思いながらどうにか下りきった。そして石祠のある赤岩峠に到着。本来なら登りでここにたどり着く予定だったのである。感激もひとしおだ。
表示もちゃんとある。下りはここから降りよう。ようやく心にゆとりも出てきた。紅葉を楽しむ余裕も出てきた。コースは割と明瞭だ。振り返れば赤岩岳の荒々しい岩肌に赤、黄、橙、緑、茶、小豆色とカラフルな落ち葉の絨毯を踏みしめいくつかのピークを越える。そしてようやっと念願の大ナゲシの麓に到着。見上げれば青い空にそびえ立つ岩峰。こちらは比較的簡単に三等三角点のあるピークに立つことができた。

 360度の眺望を満喫。地図を頼りに山座同定を楽しむ。しかし山名は自信がない。綺麗な蝶がすぐ横でくつろいでいる。逆光で羽の図柄が見事だ。一時はだめかなあと思った苦労してたどり着いたピーク、喜びもひとしおだ。しかしあまりゆっくりして入られない。さあ、下山開始。おやっ、どこから降りるんだっけ…まあ、降りやすいところから降りようと下る。これがいけなかった。ちょっと方向がずれたのかしんどい思いをしてようやく基部に到着。テープが見あたらないがこっちだろうと進む。どうも藪が多そうだ。ちょっと道がずれてるかなと思いながら眼前の岩峰を藪をかき分け登る。偉い藪やなあと不思議に思いながら歩いてたら叶山の痛々しい姿が右側に見えて気がつきました。この間ロスタイム往復35分、傷心でようやくもとまで戻り赤岩峠までたどり着く。

 峠からはジグザグの下り。広葉樹林の紅葉が見事だ。途中から沢となり小さな滝があった。沢沿いの道からついには沢のコケの生えた石をトントントンと快適に下る。しかしこちらも途中で道が分からなくなりまた不安になる。まあ、左右は結構な絶壁の岩峰であり沢沿いに降りれば間違いないだろうと下る。途中堰堤があり行く手を阻まれたときは内心どうしようかと思ったがいったん登り返し無事通過。

 そのうち、キジ打った跡や、空き缶、水を引くパイプなどが見えてきて人の歩いた気配を感じるようになった。もう大丈夫だゴールは近いと思いながらだいぶ降りてきてかすかな踏み跡発見、道らしいところがあったのでそちらへ行ったら突然車のあるところにでてびっくり…しかし無事下山にほっと一息である。

藪こぎも楽しみましたが、踏み跡のないところをよじ登るのは結構しんどかったです。一瞬帰れるかなあと不安が心をよぎりました。結構あちこち(腕、足など)傷だらけになりました。藪が嫌い、岩場が苦手、道がないと不安、磁石がない、それに寂しがりや(^^;などの人は歩かない方が無難と思いました。、まあ、大変なところですが機会があったら当初のコースにいずれ再挑戦したいものです。