日光 高山 03年2月1日(土) 晴
もっこりした高山頂上
中禅寺湖のすぐ北にこじんまりした山がある。スノーハイクに良さそうだと数年前に行こうとしたが雪が少なく断念。今年は雪がたっぷりありそうだ。千手ケ浜からの男体山の勇姿も見てみたい。天気予報は晴れの予報で急遽登ることとした。しかし、お気軽スノーハイクのつもりが…
行程 竜頭の滝上P…1,565ピーク…高山………千手ケ浜…弓張峠…しゃくなげ橋…駐車場
0920 1210-1230 1400-1430 1710
メンバー 単独
地図 昭文社エアリアマップ31 「日光」1/50000図、 中禅寺湖&男体山 1/25000図
戦場ヶ原方面から眺めると南にもっこりとした三つのピークがある。高山だ。風邪を引いてちょっと山から遠ざかっていた。どこか気軽に行けるところはないかなあと物色していたら、FさんのHPに千手ケ浜からの男体山の勇姿が目に飛び込んできた。ここだ!この景色を見たい!と地図を確認。ふむふむ、せっかく行くならどこかピークを踏みたい…以前行こうと思って中止にした高山があるではないか。Fさんの情報によれば、柳沢林道も除雪しているらしい。千手ケ浜、そして小田代原を組み合わせれば面白いスノーハイクが期待できそうだ。よし行こう
標高差約220m。あまり苦労せずに行けそうだ。でも病み上がり、早起きしてゆとりを持とうと考えたが、自然と目覚ましを止めていた(^_^;。再度目覚めたのは7時少し前…やば〜、急げばまだゆとりはある。大急ぎで出発する。陽は昇り赤城山の頂は少しモヤッとしている。大間々を過ぎ日光方面がちかずくとこちらも薄いベールがかかっている。快晴は期待できそうにないかな?いろは坂はところどころ凍結している。標高を上げるほどに路面には雪があった。
もう少しで前面凍結?竜頭の滝
紅葉時期なら賑わう竜頭の滝も今日はひっそりしている。まずは滝見物。そして滝上の駐車場に到着。車が一台あったが山登りでなく写真撮影のようだ。雪はたっぷり積もっている。この分ならトレースもないかなとスノーシュー担いで出発する。少し橋を戻り道路を進む。すぐに竜頭山ノ家が現れる。少し手前で登山道となる。やはりトレースはない。さっそくスノーシューを装着する。程良い雪加減で快適に進む。
最初のピークは右から巻くようだ。ところどころテープがあった。少しづつ高度を上げながら進む。途中でテープが見あたらなくなった。このあたりから登るのかなあと斜面をジグザグに登る。あの上に出ればと見上げるが、なかなか厳しそうな斜面。方向は右手の方に登るんであろうが、ジグザグでも厳しい。斜面で直登しようとすると胸までのラッセルだ。ジグザグでも進退が厳しくなり、雪が少なく見える左の尾根へと方向修正する。トラバース気味に登るがこちらもなかなか厳しかった。ようやくのことで尾根に出る。予定では最初のピークの先の鞍部に出るはずだったが、左に面舵をきったため1,506mのピークに出てしまった。ここ迄でかなりの体力を使ってしまった。やっぱ雪山は大変だ(^_^;
戦場ヶ原方面が見えた 山頂はまだまだ。トレースは我が輩ただ一人
そこからは時々深雪に足を取られながらも快適な尾根歩き。下ったり登ったりしながらの歩きは結構疲れる。振り返ると戦場ヶ原や男体山が樹間に見える。ちょっと粉雪でも舞っているのかなあ、薄いベールがかかっているようだ。そして標柱のあるちょっと広いところに到着。見ると高山までまだ0.9mもある。登山口からは1.5kmとの表示。なんとここまででコースタイムの倍かかっている。ということは高山まであと1時間以上もかかるの?ちょっと戦意喪失。しかしまだまだ先がある。ざわめきが起きる。みると10匹ほどの猿がこちらを偵察していた。さあ、頑張って進もう!
このあたりから雪が深くなる。山頂手前の最後の登り、かなりな急坂となる。振り返ると男体山がばっちり見える。休み休み登る。このあたりの雪はフカフカして気持ちよかった。そしてなだらかな尾根となり、前方にまるっこい山頂が見えた。まるでマシュマロの様な感じ。ここにトレースを付けるのはなんか罰が当たりそうな感じがする。でも、単独で登ってきた特権だ。思いっきり目立つように、堂々とトレースを付け山頂標識にタッチした。
山頂はもうすぐだ 高山山頂。マシュマロのようだった
樹林に囲まれ見晴らしはいまいちだ。今は木々も葉を落としそれなりの展望はあるが、夏などは何も見えないのでは無かろうか?初夏はツツジやしゃくなげが多いようだから展望は二の次かな等と思いながら一休み。さて、ここまで2時間50分もかかってしまったし、次の予定をどうしようかと思案する。あと4時間も歩けば大丈夫だろうと考え当初予定通りとした。しかし、西への下山コースは50分もかかる。それにコースも殆ど分かりにくい。じゃあショートカットしようとまっすぐ南へ下る尾根を利用しようとじっくり目を凝らして眺める。行けそうな雰囲気だ。
南の尾根はなかなか急だった。木に掴まりながら下るが、ちょっと油断すると木がぽっきり。ずるずると滑ってしまう。立っていても自然と滑り落ちそうになる。それなら歩くより滑るほうが早そうだと尻セードで滑る。スノーシューとストックで上手にブレーキをかけながら滑る。途中で尾根筋に下ることが難しくなり、右手の谷筋に降りる。素人判断だが雪崩の危険はなさそうな感じだ。結構急だった。途中岩盤に氷がビッシリ着いていた。夏ならちょっとした滝なんだろうか?右手より巻き下る。そして勾配も緩やかになり、雪原が気持ちよい中禅寺湖畔に到着した。山頂から所要約40分だった。開放的で気持ちよいところだ。緊張感から解き放たれる。
険しい下り 静かな湖畔の森の中から〜
ひと休み後、千手ケ浜をめざす。しかし道が分からない。湖畔寄りを見てもそれらしきところがない。右上を見ると電線が通っている。ちょっと登りだが、こちらの方だろうと雪をかき分け登る。しかし電柱のと事から先はとても進めそうにない険しい山肌だ。万事休す。戻ろうかと考えたが、湖畔に降りれば道も見つかるだろうと様子をうかがう。ちょっと険しいがここを下ろうと進む。崖になる。右手から巻こうとしたが足の踏み場がない。スノーシュー外した方がいいかなとも思ったが、面倒だ。あの木に掴まって慎重に下ればと倒木に足をかけた。掴まった木がぽっきりと折れた。足はずりっと滑り、あっと思うまもなく2回転宙返り。地球が逆さまになり目の前真っ暗!着地失敗、雪だるまとなってしまった。
首にかけてたカメラがない。ストックはどこへ行った?毛糸の帽子もない。そんなことはどうでもいい、どこかに怪我はないかとチェックする。右腕を少し打ったようだが折れたり出血はない。一安心だ。雪に埋まったカメラのストラップが見えた。掘り出して雪を払いのける。ストックは上の方に埋まっていた。いやあ、参った。スノーシューを外し、取りに行く。単独でこんな調子じゃやばいんじゃない。慎重に慎重にと反省する。
落ちたところの数m下に登山道らしきものが見えた。怪我の功名、ほぼ湖畔沿いにある道らしきところをたどるとわずかで千手ケ浜だった。微風に揺れる中禅寺湖のさざ波、そして快晴、男体山の勇姿が目に飛び込んだ。これこれこの光景、会いたかった〜としばし声もなくたたずむ。耳を澄ませばアカゲラだろうか、コンコンコンと忙しげに木をつつく音がこだまする。いつまでもたたずんでいたいがまだ先は長い。
千手ケ浜 中禅寺湖と日光男体山 除雪された柳沢林道
柳沢林道は除雪されていたが、うっすらと積もった雪の下はテカテカの凍結。スノーシューを外す。ときどき足を取られながら進む。時間があったら西ノ湖も寄ってみたかったが今日は無理だ。カーブを曲がったところで二頭の鹿が驚いたようにピ〜ッと声を発しながら走り去った。今日は人より動物に出会う方が多いようだ。だらだらと果てしなく続く林道。しかし時々小鳥が退屈さを紛らわしてくれる。コゲラやヒヨドリ、鳩ぐらいの大きさの胸がオレンジの鳥、これは何だろう?今にも凍ってしまいそうな沢には鴨がいた。
男女の外国人二人連れに遭遇。このコース初めての出会いだ。ハローと声をかける。もうすぐこの二人も千手ケ浜から見える男体山に感動の声を上げることだろう。鹿の足跡などを眺めながらだらだらと林道を歩く。いやあ、長い長い!緩やかに登るコースだ。そして弓張峠に到着。いやあ、良かったここからは下りとなるので一安心。小田代原が見えてきたところで四駆がやってきた。二輪車、自動車乗り入れ禁止の看板が立っているが冬は良いんだろうか?
小田代ケ原から女峰山方面 シャクナゲ橋付近から男体山
小田代ケ原からは日光連山がパノラマ上に見える。ここも素晴らしい景色だ。夕方の斜光線は山肌を暖かい雰囲気に包んでくれる。長い林道に嫌気がさしてきた頃、男体山が西日に輝き神々しいほどの姿を樹間から見せてくれる。そしてようやくシャクナゲ橋に到着。最後迄退屈な林道歩きかと思っていたが、ここから、カラマツ林の雪原にコースは続いていた。トレースはしっかりあったが、スノーシューを装着しトレースのない雪原をこれが最後だと、思いっきり堪能しながら下る。薄暗くなる少し前に駐車場に到着した。いやあ、お気軽スノーハイクのつもりが結構ハードな結果に終わった。途中でのんびりホッとワインでも嗜もうと、ザックはワインが入っていたが、とうとう飲まずじまいだった。今夜の晩酌はワインだな等と思いながら帰路についた。