大混雑!! 日光白根山(2,578m)      2000年7月9日(土)晴れ

日本百名山のひとつ、日光白根山へはゴンドラで楽々登山。一気に標高差600mを丸沼高原から約15分で登る。
汗もかかずにたどり着いた標高2,000mの山頂駅からは、眼前に雄大な山容が姿を見せる。何か山が低くなったように感じるのは私だけであろうか?

標高差    約580m
歩行時間  約5時間15分(休憩含む)
行  程    丸沼スキー場山頂駅…大日如来…ガレ場…奥白根山頂…五色沼…弥陀ケ池…七色平…山頂駅
        0855                          1030-1145  1225-55  1320    1345   1410
地  図    日光・奥鬼怒・奥日光(昭文社エアリアマップ31  1:50,000)
注意箇所  ガレ場では落石をしないようにしましょう。山頂から下るときコースを間違えないようにね


国道17号線から沼田方面の120号線に分かれ、老神温泉、吹割の滝を経て日光方面をめざす。
最初は、丸沼高原の少し先から加羅倉尾根に歩いて登ろうと思っていたが、ちょっとゴンドラの駅を見てみようと立ち寄った。すると駐車場には沢山の車。ゴンドラは快適に動いている。これで、汗をかいて登ることはあっさりと断念。軟弱者という声が胸に響くがたまには良いだろうと自分を納得させチケットを購入。
約15分の旅は往復で1,800円。安くはないが標高600mを一気に登り、尾瀬方面の素晴らしい展望を窓から眺めればまあ、こんなものでしょう。
山麓駅発は土曜祝日は7:00〜16:00、山頂駅発は16:30分。季節により変わるので注意が必要だ。


白根山15分で山頂駅
沢山の登山者が、眼前にそびえる山頂めざして歩き始める。
私は日光白根山には特別の思い入れがある。その山がこんなに簡単に登れるようになるのはちょっと複雑な心境だ。山頂まで行かなくてもと言う人には、自然散策コース(約45分)、史跡散策コース(約120分)があり、老若男女楽しめそうだ。
標識もしっかりしており、最初は広い道で展望のないコメツガの樹林帯を緩やかに登る。立ち枯れした木が見え出すと大日如来が岩の上に鎮座している。真新しいお賽銭箱が景観を損なっている



厳しい岩場の登り
七色平への分岐を直進する。これから先は火山特有の景観が目を楽しませてくれる。ここらあたりからひと休みしている人も多くなり時々渋滞している。まあ、焦らず登ろう。振り返れば上州武尊方面の雄大な景色が望める。







岩峰
左手に見える地獄薙、荒々しい景観だ。明治6年(1873年)の大噴火のあとらしい。この岩峰の基部を巻くように。ガレ場を登る。登山路は木々に太陽を遮られ、ぎらぎらとした暑さから守ってくれる。このあたり、イワカガミの群落が見られた。







頂上はもう少し急登をひとしきり登ると、休み岩と呼ばれる気持ちよいところに出る。ここでも沢山の人が休憩している。特におばさん達の話し声が賑やかだ。ここらあたりから、砂礫地を横切る。崩れやすい岩と砂、時々前の方から「ラクッ」と声がかかり、小さな石が落ちてくる。石を落とさないように慎重に歩く。なんかコマクサでも咲いていそうな雰囲気の所だ。でも咲いていなかった。この砂礫地を登り切ると、もう頂上は近い。沢山の中学生が「コンニチワ」と声をかけながら降りてくる。元気な挨拶は爽やかで気持ちよいが、これも数が多くなってくるとちょっと閉口する。
そして、登り切ると、旧火口の大きな窪地にでる。以前ここでツエルトで泊まったことを思い出す。あの時は遭難者の死体を見つけて警察に通報し、翌日現場検証に立ち会った。小さな物音にもびっくりした事や星空が綺麗だったことを思いました。


日光男体山を望む 沢山の人 人があふれんばかりの山頂
山頂(写真右)に到着。でも、沢山の人で座る場所もない。あふれんばかりで記念撮影もままならない。こんなに登ったら標高が低くならないかなあと心配になってくる。この人出は何度も日光白根山に登ったが初めての光景だ。長居は禁物。三角点にちょこんと触って男体山方面の展望の岩場(写真左)に腰を落ち着ける。こちらも沢山の人だ。どっちを向いても人ばかり…まだまだ中学生の160名を超える団体や、沢山の中高年の団体が続々と押し掛けてくる。岩陰で目立たないところに陣取り久しぶりにスケッチをする。でも人が多くてなんとも落ち着かない。そのせいでは無かろうがあまりうまく描けなかった。

五色沼へも長い列喧噪の山頂をあとにして、五色沼方面に下る
あそこなら静かなときが過ごせるだろうと思ったが、それも甘い考えだった。下りも中学生の団体に阻まれてなかなか先に進めない。「先生こわ〜い!!」「キャー」「写真撮って〜先生」と先生は大もてである。お陰で遅々として進まない。業を煮やした人達は、登山道を離れて下っていく。植物を踏みながら下るのはあまり薦められたものではない。また見えない石ころなどあって捻挫や転倒も考えられる。そんな危ないことをしてと思ったが、その心境は十分理解できる。
私は辛抱強く列の後ろに着いていたが、ちょっとした広場があるとやはり気ぜわしく追い抜いて下った。
もう小屋はすぐというところで、ゴンドラ方面に下る予定だった人達が「あれ〜道間違えたようだ」と焦っていた。また登り返していくか、それとも…と思案していたので「また登るのも大変だし、こちらからもゴンドラへ行けますよ」と教えて上げた。地図も持ってなかったので予備の地図をあげた。

五色沼
避難小屋手前から、以前お世話になった窪地の方へ行き、
今年も安全な山行が出来るよう手を合わせ、小屋方面に戻る。そして静かな五色沼に到着。まだ学生達は到着していないのでしばしのんびり出来た。ここで持参した缶ビールを飲む。見上げれば白根山の勇姿、沼岸には気持ちよさそうな緑の木々、爽やかに吹き抜ける風、岸を彩るショウジョウバカマ…いいなあ、やはりここは…
と、楽しんでいたら、中学生がまた賑やかになってきた。岸にたむろして石を投げ込んで遊んでいる。「先生、石投げて良いんですか〜。黙ってみている先生いますよ〜」と一部の生徒から声が上がる。先生「こらっ、石投げやめ〜ッ」と声がかかる


弥陀ケ池さてと腰を上げ、学生達が休憩している内に、弥陀ケ池へと進む
ビールが効いたのか、わずかな登りだが足が重い。池の周りでシラネアオイが咲いていないかと探してみたが見つけることは出来なかった。しかの食害から守るために張り巡らされた電線は異様な光景だ。もう花の時期は終わったのであろうか?
 
これよりまた、白根山方面へ少し登り、分岐から七色平方面をめざす。ここからは樹林帯で展望もなくなる。かなり急な道で所々ロープが張られている。七色平への分岐に到着。史跡散策コース経由で六地蔵を見てこようかと思ったが今日はちょっと疲れ気味。わずかな時間であるが短い方を取り七色平へと左に進む。






七色平避難小屋七色平は小さな湿原だろうか?ワタスゲが風に揺れていた。窓は壊れ、寂れた避難小屋があった。中も雑然として焚き火の跡やごちゃごちゃとした感じで非常時以外は泊まりたくないところだ。でも作りはしっかりしている。その昔、信仰登山の人達が、白装束に着替えたところらしい。
これからは登りで歩いたコースを戻る。振り返れば、立ち枯れた木々の間から険しい山肌の山容が見えた。

このコース、ゴンドラで楽々登山。湯元や菅沼からの登山にも優るとも劣らない展望や、ごつごつした岩の景観、花の多さからいずれ主流となっていくのではと思った。
通年営業と言うことから、夏よりも冬にも来てみたいところだ。でも、ガレ場のあたりからは冬はちょっと厳しいかなあ

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