日光 三岳
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日光三岳、藪マニアにはたまらない魅力満載の神秘的な雰囲気を醸し出す山だ。以前から気になっていた山だが、とても単独で登るには度胸がいるように思えて躊躇していた。今回、藪大好き人間からお誘いがあったので登る機会が訪れた。写真はこちらをどうぞ
03年3月16日(日) 快晴 Nさん、NGさん、Tさん、Fさん、酒呑童子
三岳 1,945m
湯元〜小峠〜1,883m〜山頂三角点〜鞍部〜林道〜小峠〜湯元
9:00 10:00 12:00 13:25-14:30 16:00 16:20 17:30
三岳のおもしろさは、NiftyのFYAMAフォーラムなどで時々目にしていた。夏はとても登れなさそうな感じ。登るなら積雪期、そしていったんその魔境に入れば、自分がどこにいるのかさえも分からなくなってしまうルートファインディングの難しさ…。地形図(男体山 1/25000図)を見ると、日光戦場ヶ原の北に位置するその山は、もっこりとしてとぼけた山容を見せる。果たしてそのもっこりと穏やかな山容のどこにそのような魔境があるのだろうか?色々な報告を見るたびに「歩きたい!」と言う誘惑にかられた。そして今日その機会がやってきたのだ。
日光の藪山はお任せあれというNGさんを筆頭に、いつも冷静沈着なNさん、体力は任せてと言うFさん、スキーに藪に、岩山にと変幻自在のTさん、そして最近はMTBに凝ってる我が輩が日光湯元に集合した。そうそうたるメンバーで今日は三岳の魔物もなりを潜めるだろう。NGさんはその風貌だけでも堂々たるものだ。さて出発。路面がところどころ凍結した硫黄の匂い立ち込める湯元の町中を過ぎ、林道まで急登だ。わずかで林道に出ていよいよ登山道。夏道と思われる山肌につけられたトレースを忠実にたどる。途中から、左手の川沿いにトレースがあったが、そのまま進む。
ここらでスノーシューをはめる。雪は少し締まってるがやはりスノーシュー無しでは歩きにくい。小峠手前はかなりの急登。喘ぎながら登ると数名が休んでいる峠に到着。ここで全員で本日のコースの確認。「この辺からこう行って、あ〜行って…」と楽しいひとときだ。全員が地形図を用意していた。我が輩とTさんはGPSも持ってきたが、この山の魅力は飽くなきルートファインディングだ。GPSを使用して歩くなんて野暮である。万一のために(これも緊張感を低める要素ではあるが)、また帰宅後コース確認のために、コースの記録くらいはみんなも許してくれるだろう…
さあ、出発。すると少し先でホイッスルが鳴った。団体さんの行動開始の合図だった。長い列が続く。追い越そうにも追い越せない。ここらあたりから登ろうかと途中の急坂を登る。トレースのない所を歩くのはやはり楽しい。少しで林道に出る。
そしてNGさんが地図を見ながら「このあたりから登りましょう」とゴーサインだ。さっそく密林に突入する。コースは太陽の少し左に向かってと声がかかる。今日は天気も良く、太陽はよい目印だ。
まずは1,883mのピークをめざす。木の枝に進路を妨げられながら歩く。視界が悪かったら本当に迷ってしまうだろう。そしてところどころには落とし穴が待ちかまえている。先頭は以外と疲れる。交代で登る。標高を上げると三岳の特徴である凸凹した地形が現れる。方向はあっちだね。としっかり確認。ちょっとした下りの樹林帯でNGさんのスノーシューが雪の下の枝か何かに引っかかって取れなくなった。しょうがないやNGさんは置いていこう…なんて冗談です(^^;;; Nさんが雪を掘り返しスノーシューは無事脱出。そしてやや展望が開けたピークとなる。やったね、1,883mピークだ…と思いきや地図を確認するとまだ先だった。ここで一休み
腹ごしらえをして先へ進む。いったん下りわずかで1,883mピークに到着。展望はあまり良くないが、めざす山頂はたぶんあれだろう。眼前には登りたくなるような岩峰が聳える。雪が着いて格好いい感じだ。
樹林帯の中には小さな岩があちこちにあり進路を遮ったり、落とし穴を作ったりしている。時々倒木と思われるもっこりした所もある。
先ほど見えていた岩峰の方へ下るが、とても歩けないような場所だ。進路を左に変更。少しトラバース気味に登る。そして山頂北西のピークの左を巻きながら進む。山頂から北にのびる尾根の登りになると展望も開ける。「山頂まで一気に登る?」との問いに、みな「休憩しよう!」とすかさず返事。小休止のあと一気に頂上をめざす。
憧れの三岳頂上です。ちょっと広い樹林帯の頂上。展望は樹林に遮られて殆どなしです。NGさんが以前来たときには無かったようなという、真新しい山名板が掛かっていた。裏を見ると「ナナ」との表示。もしかして妙齢のお嬢さんかなあと話が弾む。みんなのザックからはぞくぞくとアルコールがでてくる。さあ、楽しいひとときです。
「銘酒 谷川岳、ホットワインにバーボンetc」でほんのりいい気分。出来ればここでゆっくり寝ていたい、でもそれは無理。なら湯元方面への短絡コースで降りようかと誰からか声が掛かった。ちょっと心動かされたが、藪好きなみんながそれで納得するわけがない。せっかく登ってきたんだからもう少し三岳の魔境を楽しまなくっちゃ…で、予定通り北向きの斜面で刈込湖方面へ下ることに決定。
最初はちょっと足がふらついた。転びそうになる。でもこれは酔いのせい でなく坂が急なのです。その証拠に私以外の人もしっかり転んでいた。もしかしてあの人も飲み過ぎ(^^;;;
あっちだこっちだと楽しみながら、鞍部に到着。この窪地、見通しの悪い日だったらやばいところですねえ。しかも薄暗い樹林帯は何故か魔窟の匂いがする。しかし適切なNGさんの道案内で、窪地からいったん少し登りそして下るとちょっと樹林帯が開けているような感じのする林道らしき所にでた。
ここからはもう迷うことはない。刈込湖からの道と合流するとトレースがいっぱいあった。小峠で一休み、そしてトラバース気味に歩き湯元が見える林道に出てコーヒータイム。この頃どんよりとして雪が降ってきた。三岳には青空よりこんな天気が似合いそうだ。さてもうひと歩き。ジグザグの道をショートパスしながら湯気の立ち上る湯元に着いた。
今日はほとんど道も迷うことなくスムーズに歩くことが出来た。やはり藪好きのそうそうたるメンバーに恵まれたことと、天気が良かったせいだろう。魔物が住むという三岳、出来ればちょっと迷ってみたかった(^^;;;
最後に誰からともなく「今度は三岳全ピーク制覇だ」と勇ましい言葉が漏れ聞こえてきた。是非いつの日か挑戦したいものだ。