久重の山々  99年6月26日(土)雨〜27日(日)曇り一時雨

 中岳中腹より大船山を望む
最高峰中岳の中腹より大船山を望む

25年以上前ピンクに染まったミヤマキリシマに感動、そしてその青春の思い出を胸に大雨の中、歩いてきました。


【山  名】  久住山群(大船山、白口岳、稲星山、中岳、久住山)
【メンバー 】  単独
【行  程】  長者原…雨ケ池…坊ガツル…大船山…坊ガツル…法華院温泉(泊)
        1100   1200  1250-1350  1520-1530 1625     1645
       温泉…鉾立峠…白口岳…稲星山…中岳……空池…久住山…久住別れ…
       0600   0630   0730   0805 0830-0915     1010-1100  1115
       スガモリ越…長者原
       1200      1250
【地 図】 BIRD'S-EYE-MAP 18久重連山(1/25,000図) 


  青春時代、社会人になってはじめて先輩に連れられ久住の山々を歩いたのは遙か彼方、その時一緒に歩き、共に花に感動した可愛い女性は今の妻である。その思い出を胸にいつか又歩きたいと思っていたが、遠く九州を離れ群馬の住民となりその夢は果てしないものとなった。しかし出張で福岡に行く機会ができ念願の夢が果たせる機会がやってきた。しかし天は二物を与えず…おりしも九州地方は梅雨まっただ中、大雨警報まっただ中、こうなったら坊ガツルまででも行こうと強行した。

 博多でゆふいん号(バス)で出発した時はほんの小降り…天は我に味方したかなと思うのもつかの間、本格的な降りのなか長者原に到着した。雨で元々と思ってたので雨具を着込みさっそく雨ケ池から坊ガツルに向かう。登山道は降りしきる大粒の雨で川のようだ。雨ケ池からはガスの中ぼんやりと平治岳が望めた。雨は強いが風はなくザックを少しでも濡らさないように傘を併用する。三俣山は山肌をわずか見せるだけで、大船山も山頂を隠している。草地の坊ガツルキャンプ場は川みたいだ。どこを歩いても水の中である。で、避難小屋に入る。何ともわびしく暗くてじめじめした雰囲気の小屋である。土間はゴミが散らかりちょっと汚い。奥の板間は所々雨漏りが…

 あいにくの天気、予定の平治岳は断念しゆっくりと食事。しかしここに一人で寝るのは嫌だなあ…サブザックに換え、ガスの中、大船山をめざす。5合目あたりまでは樹林帯、道は川のようだ。傘は木に引っかかり歩きにくい。途中ミヤマキリシマの咲き残り、ドウダンツツジ、ベニウツギが沈んだ心を和ませてくれる。段原あたりはミヤマキリシマもそこそこ残っている。本来なら時期を過ぎ枯れ尾花であろうが、雨に濡れ最後の輝きを増しているようだ。凄い風、傘が吹き飛ばされそうになる。そして山頂。展望全くなし。寒い。雨の中、小さな板に書かれた坊ガツル讃歌を歌う

 さあ、戻ろうか…ちょっとまてよ、このままあの小屋では久住の思い出もちょっとむなしいなあ。よし、豪勢に温泉に泊まるか…山頂から法華院温泉山荘に携帯で電話する。繋がったら温泉泊、駄目だったら我慢して避難小屋泊…で、繋がったので下山後小屋で荷物をまとめ温泉を目指す。素泊まり4500円の予定外の出費、しかし暖かい温泉、生ビール、綺麗な4畳半の部屋は満足でした。外は大雨、小屋の前の通路は川のように水が流れている。ふと窓の外を見ると狸が雨を避けるように軒下にたたずんでいました。夜中は雨と風。明日も駄目かなあ…

 翌朝、雨だろうと出発予定を1時間遅らす。今日も雨かと思ったが天は最後に我に味方した。カッコウやウグイスの声に送られ、鉾立峠に向かう途中ちょっと浮き石に乗り危うく転びそうになる。見上げれば急な登りが続いている。坊ガツルから平治岳はばっちり見えるが大船山はガスの中。三俣山は恥じらいを見せるかのようにほんのわずかずつしか姿を現さない。しかし白口岳の中腹あたりから太陽は顔を見せないもののガスが切れだし素晴らしい山並みが見えだした。中腹よりかなりの急登。しかし大展望に疲れも吹っ飛びわずかで白口岳。遠くの山々は雲海に浮かびいい雰囲気。山頂は風が強い。危うくお気に入りの帽子を飛ばされそうになる。

 久重の山々が手に取るように見える。ぽっちゃりした山容の稲星山、予定にはなかったが時間も早いので登ることとした。わずか残ったミヤマキリシマを前景に最高峰の中岳が聳えている。赤褐色の砂瓦礫の山頂も風が強い。鞍部への下りはコマクサでも咲きそうな雰囲気の砂礫である。思わず辺りを見回してしまった。そしてわずかの岩場を経て最高峰の中岳、ぐるっと好展望。ここで妻に携帯で連絡。群馬は大雨とのこと。そして登頂記念にCQ、CQと無線をする。松山、湯布院の局と交信する。その後又ガスが出て全くの展望なし。御池のあたりでちょっとうろうろとする。天狗ケ城を過ぎ、空池。ガスで見通しはないが大きなケルンに誘われるように久住山をめざす。そして岩だらけの誰もいない山頂。展望無し。ここでも記念のQSOを行う。しばらく孤独を楽しんでいたら4名のパーティーが登ってきた。

 聞けば昨夜同じ温泉に泊まっていたようで、北千里浜方面から登ってきたらしい。昨日からこの久住山まで登山中は全く一人も出会えなかったが、ようやく人に会えて何となく嬉しかった。4人組は大阪からはるばる出かけてきて全くの展望無し、ちょっとがっかりしていたので、中岳で写したデジカメ画像を見せてあげたらコーヒーやカステラをごちそうになった。さてガスも晴れそうにないし下山とするか。久住別れ迄は迷いそうなところである。しっかり磁石をセットしてケルンを頼りに下る。するとガスがだんだんと晴れ、またまた素晴らしい光景が出現した。先ほどの4人組もこの素晴らしい展望を楽しめただろうなとホッとした。

 岩峰の星生崎、そして噴煙あげる星生山から硫黄山の山肌、北千里浜から三俣山となんか異次元に迷い込んだような雰囲気だ。中でも噴煙と、これでもかこれでもかと岩に記された目印の黄色いペンキは何とも形容しがたい光景だ。北千里浜は雨のせいか、ところどころ川の様になっている。しばしこの雄大な光景を楽しみ休憩。ここで雨具を脱ぎ半袖になる。いやあ、すがすがしいなあ。そして小屋跡の残るスガモリ越え。三俣山も予定していたが、またいつの日か訪れたときの宿題を残すのも良いかなと今回はパス。長者原方面の山の奥に格好良い山が見える。近くの人に聞いたら湧蓋山と教えてもらった。ここから長者原までは硫黄山の噴煙と岩場でちょっと宇宙の様な雰囲気(もっとも宇宙には行ったったこと無いが…)

 そして長者原着、ヘルスセンターで入浴。300円と安い。湯面に揺れる逆さ三俣山の山容は最後まで久重を楽しませて貰えた。

ミヤマキリシマは時期遅れであったがそこそこ残っており見ることができた。今度は全山ピンクに染まる頃妻と来てみるのも悪くないなと思った。今回は一人旅、沢山の写真と共に、博多でしっかりと御機嫌伺いのおみやげを買ったのは言うまでもない。

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