残雪、新緑、花を求めて
98年5月4日 晴れ
土合口駐車場…西黒尾根登山口…鉄塔…ラクダのコル…谷川岳(トマの耳)…オキの耳…肩ノ小屋
0900 0915 1110 1232 1245-1330 1345
…熊穴沢避難小屋…田尻尾根…駐車場
1430 1625
厳冬期はとても近寄れない谷川岳、今期最後の雪山でも楽しもうとMさんと出かけました。出がけは曇り空でちょっといやな雰囲気であったが、沼田から水上辺りの車窓からは快晴、雲一つない山頂が望める。土合から先はまだ通行止めで、立派な立体駐車場に停め(\1000)エレベーターで出口まで…まるでデパートに来たような気分である。西黒尾根はブナの新緑で緑が瑞々しい。途中ウグイスが挨拶に出てきてくれた。
最初はきつい樹林帯の登りであるが、高度を上げるにつれ展望が良くなる。白毛門方面は殆ど雪はない。昨年同時期に歩いた時はもっとあったような…樹林帯が終わり鎖場を過ぎ岩稜帯、そしてラクダのコルに到着、山頂が雲一つない青空にそびえ立っている。いい眺めだ。マチガ沢の雪渓も涼しさを感じさせてくれる。今日は展望の良いところで心ゆくまで写真を撮りゆっくり登山である。時々下山してくる登山者と交わす言葉は「いやあ、気持ちいいですねえ」ばっかりである。それほど気持ちよい風景だ。Tシャツ一枚でも暑いくらい、殆ど雪山の感じはない。
そして頑張ってやせた岩尾根、岩稜を登る。まだこのあたりは高山植物はちょっと早かったようだ。「写真撮るのに少しくらい雲が欲しいねえ」等と贅沢を言いながら登る。万太郎方面の稜線が、今年もおいでよと言っているようだ。巻機山、越後三山の残雪も青空に輝いて見える。残雪の残る光景は夏とは違った景観を見せてくれる。そして山頂到着。沢山の人達で座る場所もない程だ。三角点にタッチしオキの耳をめざす。このころ雲が出てきた。わずかでオキの耳、ここも人が多いので一つ先の岩場まで行く。ここは二人で貸しきりだ。
さあ、ビール、ビール…武尊、日光、尾瀬方面は素晴らしい山並みを見せてくれる。しかし新潟側はガスに包まれ展望はなくなってしまった。
と、突然「ゴゴゴッ!!」とすさまじい音、何だろう、雷かな。「あっ、雪崩だ」とMさんの声、見ると東尾根にへばりついてた残雪がガレを巻き込みながら音を立てて滑り落ちていく。一瞬そのすごさに圧倒されてしまった。いやあ、凄いなあ…雪崩の怖さを思い知らされてしまった。なだれた後はぽっかりと地肌が見える。こうしてあちこちの残雪が消えていくのかと珍しい光景に感動と恐れのひとときであった。
さあ、下山開始だ。肩ノ小屋に立ち寄り天神尾根をめざす。肩の広場は広々とした雪田だ。霧の深いときは迷ってしまいそうだが、今日は最高の天気、どこまでも見通しはよい。スキーのまねをしてズリズリと滑って下りる。結構調子よく滑る。
いやあ、気持ちいいなあ。山スキーでシュプールを描く人有り、ピッケルで滑落停止訓練する人有り…春山は冬山の緊張感がちょっと薄れ心地よい雰囲気だ。わずかで天狗の腰掛け岩を過ぎ、そして登山道脇の花々を眺めながら避難小屋着。ここは全く雪がない。
去年の同じ時期はまだまだ登山道にも雪があったが、今年は雪解けがかなり早かったようである。
木道も全く雪はない。まだ芽生えてない雑木林越しから雲の帽子をかぶった谷川岳が見える。なかなかの容姿だ。そして田尻尾根へと分岐する。今回の目的の一つでもあるイワウチワの群落は期待通りであった。白やピンクの花が所狭しと登山道脇を埋めている。傑作をものにしようと、じっくりと写真撮影。でも。重いからと置いてきた三脚がちょっと悔やまれる。沢山のコブシが大きな白い花を付けている。まさにコブシのトンネルと言った感じだ。そしてオオカメノキ、ツツジ、ブナの新緑と最後まで楽しい田尻尾根であった。(滑りやすい急坂には閉口したが)
帰路、関越道は行楽帰りの車で大渋滞。普段の倍くらいかかってようやく帰宅できた。今回は期待した雪は少なかったが、快晴とイワウチワ、コブシの群落には大満足であった。