風雪の谷川岳      97年12月21日 曇り時々雪

 12本爪アイゼンの練習に谷川岳に行って来ました。今年5月連休に登った時よりも積雪量は少なかったものの、時々吹きつける風、視界不良、消え入るトレースにはちょっと緊張しましたが、割と暖かく雪を楽しめました。

土合口…西黒登山口…ガレ沢のコル…山頂(トマの耳)…肩ノ小屋…天神尾根…熊穴沢小屋
 0730   0750    0945-0950  1150-1200   1205-1250       1320
…天神平との分岐…田尻尾根…土合口
 1340           1430


今年はこれで6度目の谷川岳、山頂からの眺望は今まで二勝三敗、せめて引き分けに持ち込もうと挑戦。しかし出かけるときは晴れてたのに水上を過ぎた頃からぽつりぽつりと白いものが…
 土合口の駐車場に到着。どうしようかなあと暫く空を見上げるが依然小雪と少しばかりの風、しかし上空にはわずか明るいところもチラホラと感じれる。よし、結構だ。でもこの天気だし登りはロープウエイにしようかと思ったものの、なんと長〜い列がどこまでも続いている。これじゃあ、いつ乗れることやらと早速断念し西黒尾根から登り始める。

 鉄塔あたり迄は風も強かったもののそれから先は収まってきた。雪の量もここらはほとんどない。これなら大丈夫そうだ。しかし徐々に雪の量も多くなり時々夏道を外れるようになる。最初のピークを過ぎたところでツエルト泊の人がいた。いやあ、寒そうだなあ…樹林帯も終わり鎖場のある岩稜となる。最初の鎖場のところで数人の人達(今まで踏み跡があったのはこの人達だな。感謝)ストックをピッケルに持ち替えたりアイゼン装着をしている。道を譲ってもらい先に進む。ラクダの背あたりでは雪の量は増えてきたものの気温が高いせいか凍結はしていないためアイゼンは必要ない。雪も小やみになったがガスで視界は悪い。天神平スキー場方面も殆ど見えない。でも幸い風も殆どない為快適な歩きだ。

 と楽観してたのも束の間、ガレ沢のコルを過ぎいよいよ本格的な登りとなる頃から風が強くなってきた。飛ばされそうな風ではないが緊張する。やせた尾根を慎重に通過し広くなった尾根辺りから視界も急に悪くなる。途中から風のためかトレースも所々無くなり不安がよぎる。ここら辺りで急な登りとなりまだ凍結はしていないもののアイゼンを装着する。初めての12本爪、最初はちょっとぎこちない。一番の心配は前爪を引っかけての転倒だ。がに股歩きや足を持ち上げることを意識しながら歩く。ザンゲ岩の辺りの鎖は埋まっていた。この辺りで先ほどのパーティーに追い越される。いやあ、これでトレースもばっちりだろうと内心ほっとする。雪の量は深いところで1m位みたいだ。

 そして急な登りも終わり大きな岩のところで右に巻く。此処はちょっと緊張した。本当は左に巻くらしいがトレースがあったためついついそちらへ行ってしまった。ここからわずかで大きな道標、もう山頂は近い。ガスのため肩ノ小屋は全く見えない。風も弱まったものの山頂は全く展望無し。しかしこの雪の中、苦労して登ってきたんだ。すぐに下山とせず、わずかな時間であるが1人で静かに山頂を独占する。熱いお茶が最高のごちそうだ。でも念願の眺望は全くなくこれで二勝四敗…
 まあいいか又来ればと思い肩ノ小屋をめざす。5人程がいた。早速暖かいラーメンで昼食。先着の人達が引き上げ新たな人達が到着。その中の1人が声をかけてきた
「Fの人?」「はい酒呑童子です」。またしてもワッペン効果だ。だれかなあ、以前あったことはあるが名前が思い出せない。失礼ですが…OOさんでしたっけ?と訪ねる。その人はOさんでした。天神平でテント泊して登ってきたとのこと。いやあ、凄い。冬のテントは魅力あるが、まだまだ私には無理である

 さあ、天気も回復しないので下山開始とするか。肩の広場で滑落停止の練習を試みるが畳の上でやるのとはだいぶ感じが違う。それに雪も凍結していないためあまり練習にならない。数回練習し、なんとなく感じがつかめてきた。だだっ広い下りはガスで全く方向が分からない。初めてだったらちょっと不安を感じるだろう。慎重に踏み跡を見つけ赤い籏竿を頼りに下る。こちらの下りは西黒尾根に比べたら雪を楽しんで降りられる。避難小屋が見える辺りからガスも切れ少し視界が良くなってきた。木道は全く雪で埋まっており快適な歩きだ。そして分岐、みるとトレースがある。よし、今日も田尻尾根としよう。途中でアイゼンを外しぐんぐんと下り駐車場に到着。指導センターに下山届けを投函し雪の谷川岳登山は終わった

そうそう、アイゼンは慎重に歩いたもののスパッツや雨具をちょっと傷つけてしまった(補修用の接着剤で修理。ああ、良かった)。まだまだ修行が必要だと痛感した次第である。