肩ノ小屋は大入り満員
97年11月8日 晴れ、山頂はガスの中
11/8 登山口…鉄塔…ガレ沢のコル……山頂……肩ノ小屋(泊)
0820 0840 1040 1210 1220
11/9 小屋…熊穴沢の頭…田尻尾根…ロープウエー登山口
0815 0855-0905 0920 1015
秋晴れの好天との予報に、あの素晴らしい眺望と朝、夕焼け、それに雪を満喫しようといそいそと出かけてきました。結果、山頂は吹雪状態の強風とガス、雪はちょっと少な目という状態でした。
今回は普通なら一日行程を二日かけて歩こうとののんびり山行である。好天快晴との予報に朝日、夕日、雪をまとった荒々しい山容をばっちり撮影しようと肩ノ小屋泊まりとした。もちろん雪山の感触を得るのも魅力的である。雪がどれくらいあるのか、凍結は?寒さはと心配もありアイゼン、かんじき、それに過剰とも思える防寒防風装備、それに水3L、三脚と一泊にしてはかなりの重量となってしまった。のんびりなんて言いながらザックの重さからは西黒尾根を登るのは結構しんどかった。
でもそれほど寒くはない。ラクダの背手前の最初の鎖場までは登山道に雪は殆ど見れなかった。しかし尾根に出ると風がゴーゴーと強い。山頂は雲の中、まあまだ時間も早いし今日は快晴との予報、そのうち晴れるだろうと楽観する。対面の白毛門、朝日岳も山頂はガスの中だ。後方には真っ白な山が見える。至仏山、笠が岳方面だろうか?マチガ沢からシンセン岩峰、そして時々見えるトマの耳への山肌が太陽に照らされて、まだらの積雪が綺麗だ。さっそくシャッターチャンス。
ガレ沢のコルを過ぎ強風に耐えながら高度を稼ぐ。迫り来る岩場や猛々しい山容が見事だ。雪も少しずつ見えてきた。日当たりの悪いところは少し凍っているがアイゼンをつけるほどでもない。氷河の跡、ザンゲ岩あたりは雪があった方が歩きやすいくらいだ。鎖は雪に埋まっていた。ここらあたりで有名な千回おじさんにであった。今日は1368回目とのこと、今年出会うのはこれで3回目である。ここらあたりから雲の中に突入し展望が無くなる。おじさんと同行し山頂を目指す。道中いろいろと話を伺うことができた。2千回目は2000年を目標とのこと。気力と体力がなければ成しえない素晴らしいことである。山頂はガスの中、展望もない。−5度C、おじさんと一緒に記念撮影(重い三脚が役に立ったのはこの一回だけ)おじさんは温度などの調査を実施、素晴らしいデータの蓄積であろうと感心する。
肩ノ小屋を目前にして安心したせいか凍結した道ですってんころりん、横ではおじさんが石の祠に手を合わせていた。12時20分、まだ寝るには早すぎる。天気が回復しなければ降りようかとも思ったが、まだ12時。まだまだ時間は十分。天気予報は相変わらず好天を告げている。よし、晴れることにかけようと当初予定通り泊まることとした。おばさんから「今晩泊まるんですか?まだまだ時間ありますからこれでもどうぞ」ってミカンや柿をもらった。
時間も過ぎだれもいなくなった。静かなひとときだ。時々明るくなるが外は相変わらず晴れる気配がない。寝袋に入りさっそくウイスキーを嗜みながら短編小説を読みふける。
その後単独の横浜からの男性到着。これで今日の宿泊は二人、1人の寂しい夜を過ごさなくて良いと一安心。この男性中芝新道を登ってきたようだ。積雪量も多く人は少なく大変だったようである。16時半位だったかなあ、4人パーティーが到着。これで6人かと思ったが、暫くみんないなくなったと思ったら戻ってきてザックを背負っている。えっ、こんな時間から下山するのかなあと思い訪ねると「外でテント泊する事にした」との返事。うひゃあ、びっくり!!寒いだろうなあ。風も強いし…と人ごとながら心配になった。室内は3度位。天気は回復せず、期待した夕焼けや星空はまったくだめ。風はごうごうと吹いている。20時頃トイレにたったときテントを見たら必死に風に耐えていた。
朝、天気は相変わらずである。まあ、しょうがないや。のんびり下山とするか…
4人組が小屋に入ってきた。寒かった〜との雰囲気が漂っている。しかしみんなあの厳しい夜を乗り切ったんだとの充実した思いを表情に感じることができた。
外は相変わらずの風、小石や草にはエビのしっぽが…
山の厳しさを感じる光景である。さあ、下山開始。外は−3度C。目だし帽に雨具、オーバー手袋、ズボン下等々全てを着込み着膨れ状態。肩の広場から天神尾根への道は凍結していた。アイゼンをつけるのも面倒なので慎重に慎重に下る。これも束の間、ガレ場を過ぎ天狗の腰掛け岩あたりでは暑くなってきた。雪も少なくなり風も弱まってきた。ガスも切れ青空、遠くの山々の景色が見え出す。数人の人達とすれ違う。驚くほど軽装の人がいた。運動靴にジーパン、普段町中で履くような靴の女性etc、日帰りとはいえ今の時期に谷川岳に登るにはちょっと不安を感じた。
避難小屋で防風防寒装備を解き軽装になる。見上げる山頂はまだガスの中だ。ここから天神峠への分岐あたりまで木道はほぼ雪で埋まっていた。田尻尾根との分岐に到着。これでロープウエイで降りたんではちょっと物足りない。雪もほとんどないためロープウエイを上に眺めながら尾根を下る。枯れ葉に足を取られ、粘土状の滑りやすい道で数回転んでしまった。雪より歩きにくい。が無事土合口に到着。ロープウエイ乗り場には長い行列。今日もスキー場は賑わいそうだ。土産物屋で「水上旅情」という日本酒をお土産に購入。紅葉の名残を車窓に眺めながら帰路についた。
今回は雪が思った程なく、天候もすぐれず当初目的を達することができなかったが、小屋に約20時間も滞在したのは初めての経験である。文庫本も一冊読んでしまった。用意したウイスキーも底をついた。この時期谷川岳に登れたのは満足であった。今年あと一回くらいは登れそうな気がしてきた。今度はもう少し雪のあるときに登ってみたいなあ。今年の山頂の展望は2勝3敗である。せめて引き分けにまでは持っていきたいものだ。