谷川連峰 万太郎山はガスの中

97年8月30日(土)〜31日(日)曇り時々晴れ


 先日の飯豊本山に沈む夕日に魅せられ、また山頂から夕日が見たくなった。簡単に行けて山頂に近いところ、そうです。谷川岳肩の小屋が候補に上がりました。残念ながら夕日、朝日はガスってて無理でしたが、素晴らしい星空は見ることが出来ました。

土樽駅…谷川新道分岐…舟窪分岐…大ベタテの頭…万太郎山頂…大障子避難小屋
5:00    5:50        7:20-30    8:00      9:55-11:10   11:55-12:25
…小障子小屋…肩ノ小屋(泊)…ガレ沢のコル(西黒尾根)…鉄塔…登山口…土合駅
13:20-35    14:45 5:40    6:10-15            7:20   7:30   7:40


 今度は電車で行こうと時刻表を見ていたら、土樽に深夜に着く電車が見つかった(これは本日までで終わり)。最初は谷川岳往復と考えていたんだがこれで欲が出てきた。折角ならこの列車を利用し、万太郎山経由で尾根を縦走し谷川岳経由で土合に降りようと出発。吾策新道はきつそうだし、初日はちょっと長丁場である。まあ、歩けなくなったら途中に避難小屋もあるし…と本庄駅から乗車。車内にはたくさんの登山者が長椅子に寝そべっている。皆、谷川方面だろうなと思っていると殆どが土合で降りた。土樽では数人が下車。既にホームや待合室、駅前の道路では沢山の人達が仮眠していた。私も待合室の床で仮眠、暑いほどであった。そして5時出発。

 関越道下をくぐり林道を歩く。万太郎直下のギザギザした岩稜が見える。いやあ、先は長そうだ。林道終点から登山道にはいる。車が道の入り口を完全にふさいでいる。右手にも道がありこっちかなあと迷ったが、車の陰に赤い缶が見えた。本当に迷惑な車だなあ、間違うとこだったぞ。もう少し配慮して停めてもらいたいものだ。
スギ林の中を進み僅かで谷川新道との分岐、ガイドブックの写真では分岐の表示で谷川岳も写っているが実際は朽ちて万太郎の方だけであった。ここらあたりからブナ林となり気持ちよい。かなりの急登となり休み休み登る。途中単独行氏に追い抜かれる。

 舟窪の分岐を過ぎ展望の良い大ベタテの頭にでる。このあたりは気持ちの良い尾根歩きである。眼下にはパーキングエリア、後ろには尖った足拍子岳を擁する稜線が美しい。茂倉の尾根も雄大だ。大源太山の鋭い山容も遠くに見える。前方には万太郎山の威風堂々とした姿がそびえ立つ。え〜っ、あんなに急なの〜とちょっとビビってしまった。ここらあたりから傾斜もきつい岩混じりの道、そしてやせ尾根のガレ場が続きちょっと緊張するところだ。所々張られたロープが頼りになる。この先、道が分かりにくいとあったが、それほどでもない。笹を払ってくれているからだろうか。そしていよいよ登山口の方から眺めた岩稜だ。道通りに歩けば特に危険はない。ここらあたりから山頂付近はガスで見えなくなる。何回か頂上かとだまされながら縦走コースの分岐に出る。そこから山頂まではわずかである。

 三等三角点の山頂はあまり広くない。山名の表示も朽ちたのか標柱だけである。仙ノ倉方面の稜線はガスが切れたり現れたりと様々な様相を見せる。しかしあれが仙ノ倉や平標山はあれがそうかなあ?と一瞬見えただけであった。頭上は青空が広がっており、移りゆくガスの晴れるのを期待しゆったりとくつろぐ。肩の小屋から平標への縦走という単独行氏が到着、お互いに記念写真を撮りあう。さあ、先は長いとそろそろ出発。いつも谷川岳から眺めるだけだった縦走コースの始まりだ(これで残すは万太郎から仙ノ倉だけとなった)まずは石ころの多い下り、山肌は笹が綺麗だ。もう少し時期が遅かったら素晴らしい草黄葉が見事であろう。吾策新道は花は少なかったが(ゴゼンタチバナの赤い実はたくさんあった)ここらはウメバチソウ、ハクサンフーロ、トリカブト、リンドウが咲いていた。しかし夏に比べれば花は少ない。

 カマボコ型の避難小屋に到着。10人ほどは寝れそうだが簀の子などはない。すぐ先で水場への分岐、15分とある。ちょっと遠そうだが後学のためときつい下りをくだる。冷たい水で顔を洗い喉を潤す。割と水量は多い。そして登り。往復で約15分ほどだった。表示は往復の時間なんだろうか?この頃から晴れ間が多くなり行く手の稜線がどこまでも続いている。日焼け止めを塗り小障子の頭を目指す。右手の爼グラ山稜が押し迫るようだ。結構な登り下りでようやっとオジカ沢の小屋に到着、4人位が限度みたいだ。簀の子はあるが曲線になっており寝にくそうだ。そしてピークを越えやせた稜線となる。風がわずか出てきてちょっと緊張する場所だ。

 中ゴウ尾根の分岐を見送りいよいよ本日最後の登りである。肩の小屋が見え隠れするようなると一安心。岩場でしばらく休憩し歩いてきた道を振り返る。このさきイワヒバリが2m前くらいを歩いていく。まるで先導されてるようだ。50mも一緒に歩いたろうか。小屋手前でちょっと石ころに躓いたのに驚いたのか、さようならと飛び立った。小屋に到着、この頃はガスで遠くの展望はなしの為小屋でくつろぎトマノ耳は夕焼けか朝焼けに期待することとしお預けとした。しかし、ガスは晴れることなく夕方となる。小屋は次第に満員となり約30人位と盛況だ。遅く着く人の度に、もうちょっと詰められません?と移動するが、それも限界となり最後の方には土間も一杯で満員御礼となり夜は更けていった。

 満員のためか暑いくらいだ。途中用足しに出ていくと(22時半頃)空には満点の星空、眼下には水上だろうか、夜景が綺麗だ。用足しも忘れしばし鑑賞する。明日は好天が期待できそうだ。しかし暑い。着ていたフリースを脱ぎ、靴下を脱ぎ、最後にはシュラフからも這い出した。そして朝……日の出は?と外に出るが生憎のガスで展望はなし、すぐには回復しそうにもない。今の時間なら土合駅一つ前の列車に間に合いそうだとそうそうに下山することとした。トマノ耳に登ってないことに気づいたがパスする。ザンゲ岩、氷河の跡あたりからは見通しも良くなりマチガ沢や天神尾根、そして白毛門あたりも見えてきた。立ち上るガスでシンセン岩峰もいい雰囲気だ。ラクダのコルで一休みし岩峰や降りてきた尾根の写真を撮る。ピーカンとは違った雰囲気が写欲をそそる。これより、樹林帯の中、西黒尾根を下る。結構な急坂である。小鳥の鳴き声が心地よい。そして鉄塔に到着、土合駅が見える。

 いやあ、間に合いそうだ…というよりちょっと早くつきそうだ。お土産買いたいが店は開いてるかなあと心配になる。開いてる開いてる、早速お土産、おっとワインが美味しそうだ。赤城、谷川等の名前にどれにしようかなあと舌なめずり…そして遭難者慰霊碑にしばし黙祷しこれから登ろうとする団体さんとすれ違い土合駅に到着。
 目的の夕日や朝焼けは生憎のガスで出会えなかったが、上り下りの変化の多い縦走コースはまずまずであった。それと電車利用は何故かゆったりした気分になりこれも満足、山頂から眺める夕日は秋までお預けとした。今度訪れる谷川連峰は紅葉時期だなと早くも次回の山行に胸を弾ませ11時前に無事帰宅する事が出来た。