憧れの谷川岳 95年7月22日 雨時々曇り
行程 西黒尾根登山口…ラクダのコル…ザンゲ岩…肩の広場…谷川岳……オキの耳…トマの耳
05:25 07:35 08:25 08:50 08:55-09:20 09:30-10:15 10:30
…熊穴沢避難小屋…田尻尾根分岐…土合口ロープウエイ駅
11:15 11:45 13:15
前から憧れていた谷川岳に梅雨明けを待ちきれず雨の予報の中登ってきました。幸い大雨にならず薄桃色のハクサンフウロ、黄色のニッコーキスゲ、瑞々しいヤマアジサイやマチガ沢、シンセン岩峰群の荒々しい姿が印象的でした。
深夜のJR急行利用も考えたが、土合駅の階段歩きがおっくうに感じられ早朝0320車で自宅を出発した。天気予報は山間部は大雨の恐れ、降水確率50%を報じていたが、出るときは降っていない。うまく行けば天気予報外れるかも……と勝手に思いこみ出発した。実は今日の山行はある程度雨も期待していたのである。それは、以前買ったゴアの雨具とスパッツを着用して見たかったのである。
関越道を快適に走り水上インターが近づいたあたりで雨がぽつりぽつり、いよいよ降ってきたかと思ってると土合のところからすごい雨になってきた。いくら期待しているとはいえこの大雨ではやはり危険だ。でも、折角ここまで来たんだから一の倉沢出合でも見て帰るかと車の中で考えていたら少し雨足が弱くなり、先着の単独行の人が雨具を着込み歩き出した。それを見て「よし、登ろう」と決意する。
決意に時間がかかり、登山開始は05:20となってしまった。登山指導センターに計画書提出。センター内では7〜8人あたりがシュラフにくるまり寝ている。深夜についた人たちだろうか?先ほどの単独行の人は巖剛新道経由のようだ。
西黒尾根は樹林の中をいきなり急登である。ゴアの雨具は快適の筈だったが汗が出ていかないようだ。やはりこの程度かとガッカリしたが今日は異常に汗が多いようだ。やはり睡眠不足の性だろうか。数分で鉄塔に到着。下方の見晴らしがよい。雨具の前をはだけ新鮮な空気を取り込み歩き始める。ところどころアジサイが綺麗だ。雨に濡れて生き生きしている。雨は樹林帯の中のためかあまり落ちてこない。小降りにもなってきたみたいだ。むしろ雨より内部からの汗の方が多いくらいであり上を脱ぐ。涼しい!!
甲羅が6cmはあろうかというカタツムリや大きなガナガエル?が雨で気持ちよさそうだ。7時ころ展望の良い岩場についた。至仏山、武尊方面が望める。ニッコウキスゲが咲いている。初めて見たが綺麗だ。ここらから天神尾根の方がよく見えるようになった。雨がひどくなってきて上着を再度つける。前方に7人位のパーティー、後方に2人組が見える。ラクダのコルの登りには数カ所鎖場があり濡れた素手では滑りそうだ。足場は良く慎重に登る。こんな時は皮の手袋がいいんだろうか等と考えていると。僅かで西黒尾根ガレ沢の頭に到着、巖剛新道の道と合流する。
これよりマチガ沢の対岸やシンセン岩とガレ場混じりのコースとなる。落石しないよう注意し登る。やがて大きなザンゲ岩と呼ばれる側を通る。ツルツルして滑りやすい。更に「気をつけよう」と一人つぶやき登る。大きな雪渓が見えてくると天神尾根コースに沢山の登山者が見える。肩の広場の合流点は近い。雨もやみ展望も良くなってきている。このまま晴れに向かうようだ。展望が開けている。
ガイドブックでは肩の広場では道が方々に分かれており濃霧の時など迷いやすく要注意と記されている。単独行でもあり、より慎重に目印等目に焼き付け頂上を目指す。
肩の広場から数分で谷川岳頂上だ。やった〜。憧れの谷川岳だ。昨年から何回となく行きそびれていた頂上にようやく立つことが出来た。頂上には可愛い2人の女性連れと髭の立派な青年がいた。髭の青年に頼んで記念撮影「パシャッ」
団体さんが登ってきたので早々に退却し、オキの耳に移動する。こちらも展望は良い。東の至仏山、武尊連峰、南の赤城、榛名方面がよく見える。北の方はいまいちである。苗場の方も見える。もちろん谷川連峰のそれぞれの尾根はくっきりと見える。白い雲と緑のコントラストが素晴らしい。白毛門、朝日岳方面もバッチリだ。前方の岩峰が見事だ。周りを見渡すと薄桃色のハクサンフーロが可憐である。
「さあて、食事とするか」とビールを取り出すと何となくいつもと感じが違う。なんと頂上で冷たいビールをと昨夜冷蔵庫で凍結させて持参したものが、凍らせ過ぎたらしい。生憎の天候でもあり、殆ど溶けていないようだ。ガッガッガッガ〜ン。一番楽しみにしていたビールが飲めない。一瞬フラフラッと谷の方へ………
まあ、雨もやんだし展望も有る程度楽しめたし、今日はちょっと寒いしビールなんて飲めなくたって………と心を落ち着けどうにか谷に落ち込むことだけは避けられた。
丁度周囲にガスが立ちこめだし、展望も悪くなってきた。ビールもないし、さあ下山だ、下山だと自らをせき立てる(ビールがあったらもう少しゆっくりしていただろう)下山は、天神尾根コースとする。肩の広場の避難小屋をのぞいてみた。綺麗に整理されている。避難小屋はこうありたいものだ。雪渓のところでは沢山の人が登ってきている。笹の原を横目に下る。登山道は岩が露出し溝状になっているところもあるがさほど歩きにくくはない。多少勾配がきついくらいだ。膝の調子を確認しながら快適に下る。一人のためついついペースが早くなり、大分追い抜いてしまった。
避難小屋では団体さんが休憩していたので先を急ぐ。これより木道が続くが濡れており滑りやすい。今日一番の難所と感じた。案の定、前方を行くおじさんがツルッと転んだ。足首をさすっていたが、幸い捻挫はしていないようだ。
帰りはロープウエー利用と思っていたが、時間も早く田尻尾根とした。地図では難路となっているがさほどでもない。むしろ誰もいなく静かに快適な歩きが楽しめた。前方には白毛門が見える。登りの西黒尾根が見える。沢の音がゴーゴーと聞こえる。頭上にはロープウエイが見える。ゴンドラには下りの客が見える。私を見つけて手を振ってくれる人が多くいた。笑顔(といっても表情は分からないだろう)で手を振ってこたえる。
このコースはアジサイの群落があり、一人で楽しむ事が出来最高である。薄い空色、くっきりとした青色の花びらが瑞々しい。程なく沢の流れに到着。ここで休憩とする。疲れでむくんだ足を水につける。5秒としてつけていられない。顔を洗う。え〜い、誰も通らないからパンツ一つになって体を洗う。ちょっと冷たいが汗をかいたからだに爽やかだ。しばらく水と戯れる。頭上をゴンドラが走り、客が下着一枚の私を見つけているだろうと思われるが、それもかまわずにしばらく鳥の声、沢の音に裸で耳を傾ける。幸いなことに誰もやってはこない。さあ、後少しだ。更にアジサイの花を眺めながら歩いていくと僅かでロープウエイ口に到着。
今日は最初雨になったものの降ったりやんだりで最後は天気は快方に向かい、ほぼ快適な山行ができた。帰りに温泉を予定していたが、沢遊びのおかげで温泉代が浮いた。心残りは凍ったビールだけである。うちに帰ってからも憎らしくまだ少し凍っていた。
ゴアの雨具は最初こんなものかと思いましたが、あの急登を登るときなど考えて見れば快適だったような気がする。最初の登りではやはり、寝不足と体調が整うまでの異常な汗かきの性であったろうと思う。やはり、ゴアはそれなりに素晴らしいと思った。
ところで、ビールを凍らせる場合どれくらいを目安にしたらいいんだろう?