
年末になると厳しい西黒尾根を登り谷川岳に立ちたい! と思ってしまう。天気は良さそうだ
02年12月15日(日)晴れ でも山頂は吹雪(^^;;; 単独
天神平ロープウエイ山頂駅〜天神尾根〜避難小屋〜天狗岩〜〜山頂〜〜〜肩ノ小屋〜
0800 0900 0930 1040-1050 1055-1135
天神尾根〜避難小屋〜分岐〜田尻尾根〜駐車場
1205 1240 1330
先日の日光白根では素晴らしい天気だった。天気予報は引き続き快晴を告げている。今年最後の谷川岳は年末にと思っていたが、この機会を逃す手はない。よし登ろうと妻に伝える。「あんたも好きねえ」と言うような顔で見つめられる。そう、わが輩は山が好きなのだ。そして雪の谷川岳も…
朝起きると空には星が輝いていた。予報通り好天が期待できるぞと心うきうき国道17号線経由で水上をめざす。夜が白みはじめると谷川岳が見え始めた。しかし水上あたりから眺める山頂は雲に包まれていた。う〜ん、あの雲は厚そうだ。さてどうしようと思案する。
予定では西黒尾根から登る予定であったが、この天気では登りは険しそうだとロープウエイ利用で天神平から山頂をめざし、西黒を下ろうと予定変更する。ロープウエイは片道切符。まだ時間も早いのでそう混んでいない。途中で雪洞堀り訓練をするという数人と乗り合わせる。そして一気に標高を上げ天神平に到着。真っ青な空と真っ白な雪原。眩しい!さっそく右手のゲレンデを登る。トレースのないところを歩いてみる。ズボズボと潜りとても歩けない。残念だがトレースを利用しながら登る。途中の斜面では滑落停止などの訓練をしているグループが数組いた。肩に出ると数張りのテントがあった。
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土合口ロープウエイ駅 |
山頂は厚い雲に覆われている |
ぽっかりと厚い雲が… |
ここから眺める山頂方面はまだ厚い雲がかかっている。はたしてあのあたりに到達するまでに雲は晴れるだろうか?東から南の方面は素晴らしい青空なのにねえ…雪もまだそれほど深くはなく、沢山のトレースもあり問題なく歩ける。途中一カ所急な下りがあるが、距離は短くロープもあり問題ない。そして快適な稜線歩きで熊穴沢避難小屋に到着。
入り口は雪かきがなされ中に入れるようになっていたが、積雪は2mを超えているようだ。もうこの小屋が埋まるのもわずかの期間だろう。ここから結構急な登りになる。夏道だったらちょっとガレた感じのコースだが、雪は全てを隠してくれる。5,6名の団体さんが前を歩いている。すぐ後ろに我が輩を含め数名が歩いていたが、そんなことは気にすることもなく「うわあ、素晴らしい景色だね、あそこは…」などと全く無頓着に景色を楽しんでいる。そしてちょっと歩いてはまたそんな感じで景色を眺める。ちょっとよけて道を譲ってくれればなあと思いながらくっついていく。そしてようやく気づいたのか、うるさいなあと思ったのか道を譲ってくれた。
「一人ですか?」と問われた。「はい」と答える。すみませんねと追い越させて貰う。その時「一人だって、危ないわねえ…」との声が聞こえた。あんた達の方がよっぽど危なさそうだよと言い返そうかと思ったが、ここは大人の対応で、笑顔で「はい、気をつけていきます」と答えた。
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ちょっと厳しい下り(帰りに撮す) |
熊穴沢避難小屋 |
徐々に視界が悪くなる |
山頂の雲は晴れる望みはなさそうな雰囲気だ。1,700mを過ぎるあたりから風が強くなってきた。天狗岩を過ぎると時々視界もなくなってきた。頻繁にGPSに位置を登録しながら慎重に登る。次第に風も強くなり粉雪のつぶてが頬に痛い。もう前後も全く見えない。このままではやばそうだ。防寒着を着る。その間にもザックが白くなっていく。後ろを登っていた人達も見えなくなった。時折ガスが切れ視界が現れる。どうも撤退しているグループもあるようだ。どうしようと思案するが、山頂はもうそんなに時間かからないだろうとそのまま登ることにした。このあたりから雪が固い。岩陰でアイゼンを装着していると単独の人が登ってきて「やはりアイゼンつけた方が良さそうですね。視界も悪いし気をつけましょう。だいぶ下っていきましたよ」と話しかけられた。「今日は天気良いはずだったのに残念ですね」と言葉を交わす。
そこから肩の小屋まで急な登りだ。赤い籏竿と時々ガスが切れるので道を間違えることはなく小屋に付いた。入り口のドアは雪で埋まっており、窓から入るようになっていた。おばさんがなかなか出るのに苦労していたので先に山頂をめざす。山頂は360度全く視界はない。寒い!風が強い!しかしめげずに記念撮影。そして早々に小屋へ退散。窓からはいると単独のおじさんが休んでいた。
熱いお茶が美味しい。おじさんとしばし山談義。このおじさん年齢は我が輩よりだいぶ上とのことだが、聞くと何とも元気の良いおじさんだ。結構あちこちの山歩きを楽しんでいる。それもテントを背負っての山歩きが多いらしい。いやはや、我が輩もその年になってそんなに元気に歩けるだろうか…
予定では西黒尾根をくだる積もりだったが、この天気と風では無理をしない方がいいだろうと判断。おじさんと一緒に天神尾根を下ることにした。話で感じたとおり、おじさんは元気だった。下る速度も速い。我が輩も下りは早いほうだが、とてもかなわない。慌ててアイゼンを引っかけたらやばいのでマイペースで下る。
天狗岩あたりでは雲も切れ青空が除いている。下るほどに天気が良くなる。まだ登ってくるグループが居る「山頂はどうですかねえ…」と聞かれる。可愛そうだが「結構凄い風、それに視界は全くなしです」と答える。まだ12時前だが、今の時間でここだったらちょっと厳しいね等とおじさんと話しながら下る。そして小屋に到着。暑い、汗をかくほどだ。防寒着、手袋、帽子、アイゼン装備を解く。ここからは快適な歩き、ところどころのピークで写真を撮る。おじさんはビデオ派だった。撮しながらぶつぶつとしゃべっている。解説を入れているとのことでした。山頂や西黒尾根上部はまだ雲の中だ。今日はずっとダメみたいだね。残念
おじさんはスキー場を下るらしい。我が輩は田尻尾根を下る予定だ。スキー場の見える肩からコースを確認するとトレースがあった。よし下れそうだ。ここでおじさんと別れる。田尻尾根は雪解け時はイワウチワが咲き乱れるところだ。展望も良く快適な下りのコースとして気に入ってるところだ。それにみんなロープウエイを利用するのか、谷川岳のコースとしては寂しいくらい静かさを満喫できる。今日も下りでは誰にも出会わなかった。結構急な下りもある。尻セードで一気に下る。これがなかなか楽しい。ズボンはビチョビチョになったがもうあとわずか下るだけ。お構いなしに滑る。
そしてスキー場のゲレンデに出た。まだ雪が少ないためだろう、このコースはオープンしていなかった。お陰で新雪にあちこちトレースを付けながら楽しめた。途中で雪景色の写真を撮っていたら先ほどのおじさんが下ってきた。おじさんもカンジキでトレースを付けながら下ってきたようだ。「いやあ、良かったよ。誰もあるいていなかった」とちょっと興奮気味(^^;;; やっぱ新雪はいいねえ等と語り合い、またどこかで会いましょうと別れを告げた。
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田尻尾根の下り |
雪・静寂 |
今日は快晴予報であったが、やはり気候変化の激しい上越国境に聳える谷川岳、そう簡単には登らせてくれない手強い山だった。今度こそ快晴の西黒尾根をと心に近い帰路に就いた。
途中の土産物店に立ち寄った。最近地酒を買って帰る癖が付いた。今日も美味しそうなのを一本調達して夫婦で飲もうと考え物色していると「寒いでしょう、熱いお茶いかがですか?」と若い奥様風の人が湯気の立つお茶を差し出してくれた。いやあ、山の上は吹雪で寒かったですと、熱いお茶を頂く。本当に温かいもてなしに気分良くして、ちょっと高めの地酒を買ってしまった。
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