青空だあ、素晴らしい谷川岳  (1,963m)    2001年12月24日(月)快晴

西黒尾根尾根、あと少しで山頂だ!
 今年最後の山歩きは、やっぱり谷川岳。昨年も素晴らしい谷川岳を年末に堪能したが、今年はどうだろう。何しろ谷川岳はなかなか天気を読むのが難しいのだ。結果は、風もなく真っ青な青空、そして汗ばむような暖かさ、いやあ、今年も最高の谷川岳で山行を締めくくることができた。万歳!

行  程    土合口…鉄塔…ラクダの背…トマノ耳(山頂)…肩ノ小屋…熊穴沢ノ頭避難小屋
         0805  0825   1015    1200-30   1235-1300   1340
        天神尾根分岐…田尻尾根…土合口
         1420               1540
地  図    谷川岳、苗場山、武尊山(昭文社エアリアマップ)、水上(1/25,000図)
メンバー    単独

 この3連休、本当は肩の小屋に泊まって夕日、朝日を眺めようと思ったんです。でも金曜日は忘年会で午前様、そして土曜日は出張。忘年会が終わって出張先まで行こうと思ったが電車で寝過ごし、ず〜と先まで行ってしまった。「もしもし、終点ですよ」気持ちよく寝ていたところに聞き慣れない声…今宵の宿をどうしようかと町中をうろうろ、どうにか塒を確保し、土曜日は痛い頭を抱えて出張を無事果たす。日曜日、良い天気。でもまだ二日酔いの後遺症か元気が出ない。泊まりは諦める。しかし良い天気だった。登ってれば綺麗な夕焼け見えただろうなあ…

朝焼けの谷川岳望遠 そしてクリスマスイブの月曜日、Tさんも行けたら行くよって言ってたが、娘さんが赤城山に行きたいとのお言葉。滅多に一緒に行けない娘さんとの山行だ。我が輩なんかと山に行ってたら、もう二度と娘さんと山に行く機会はないかも(^_^;) で、Tさんは赤城山へ。

 単独となったので少し遅めの出発となり、5時半過ぎに伊勢崎を出た。夜空には星が、今日の快晴を予感するように瞬いている。沼田を過ぎることには、真っ白に冠雪した谷川岳が朝日に輝きだした。う〜ん、素晴らしい山行が期待できそうだ。水上を過ぎ、湯桧曽あたりからは道路に少し積雪していた。立派な立体駐車場に停める(\1,000/日)。早いからかなあ、ガラガラだ。

気持ちいいね、樹林帯 登山届けを出し登り始める。過ぎに暑くなり100mもいかないうちにフリースの上着を脱ぐ。そしていきなりの樹林帯の急登。殆どまっすぐにトレースが付いている。しかしトレースはあるがこの急登では、膝くらいまで潜り歩きにくい。びっしょりと汗をかき鉄塔に到着。やれやれ、いつもこの最初の登りは身体が慣れてないせいか思いっきり疲れる。

 ここから樹氷を眺めながらの気持ちよい白銀の世界。残雪時と違ってきらきらと純白の雪は神々しいほどだ。樹林帯での登りで疲れた頃、振り返ると白毛門が輝いて見える。風もなく暑いくらいだ。フリースの帽子を脱ぐ。ここで単独行の
前を行く伊勢崎の男性 左のピークが鎖の始まり ラクダの背へ
男性と遭遇。なんと同郷の伊勢崎市という。樹林帯から抜け出ると、そこは一面の雪の世界。前方にはラクダのこぶ方面の登りが待ちかまえている。一旦下り、そしていよいよ登り。夏ならば鎖のあるところだが、雪がついており鎖は見えない。この少し下で女性の二人連れがアイゼンをつけていた。赤布の付いた竹竿持参である。私はGPSを持ってきたが、この天気では用無しに終わりそうだ。しでも油断は禁物!山の天気は一瞬にして変わることもある。

 このくらいなら私は坪足の方が歩きやすいので、そのまま進む。鎖場は東から巻いている。3カ所の鎖場は全く鎖は見えない。ピークに出るとそれはそれは素晴らしい眺め。全体的に右を巻きながらトレースが付いている。一旦踏み外したり転倒すれば、際限なくしたまで落ちていきそうな雪の斜面。このあたりは緊張する。そしてちょっとした下り。夏なら何でもない下りだが、90度とも思える下りでステップを確実にたどり下る。
白毛門方面を望む
頂上を望む 厳しい登りが続く 対面の白毛門方面
さあ、ここからが西黒尾根の正念場だ。マチガ沢や東の尾根が、だれも寄せ付けないような急峻な山肌を誇らしげに太陽に照らしている。見上げれば空にはいっぺんの雲もない。この空の青さはなんと表現した良いだろう。紺碧なブルー、深海に吸い込まれそうな色だ。コル付近でアイゼンを装着する。傾斜が徐々に増してくる。雪も深く、トレースはあるものの一歩一歩持ち上げる足が重い。時には膝上まで潜ることもある。途中、下りの人と遭遇。昨夜は小屋で泊まったとのこと。気になる天気のことを聞いてみた。「夕方までは晴れていたがそのあとはあまり良くなかった」とのこと。夕日は見れなかったと聞いて、残念でしたねえ。実は私も泊まり、考えてたんですけどとしばし雑談。なかなか谷川岳で夕日と朝日を見るのは難しそうだ。
いやあ、満足。気持ちいいなあ もう少しだ。でもここからがきつい 山頂からオキノ耳を望む
尾根が広くなってくるともう遮る物もない。山頂が早くおいでとそびえている。しかしこんな良い天気、そんなに急いで登ったらもったいないじゃないか。今日は久しぶりに一眼レフカメラを持ってきたのだ。先ほどの女性が「素敵だわ〜、まるでポジで撮したようなくっきりした空、白い山肌…」そうです。今日の山は一点の汚れもないようだ。一眼レフカメラの「バシャツ!」という心地よい音が響く。デジカメではこの快感が物足りないんだよね。

 左手に肩ノ小屋が見えると山頂はもうすぐ。途中、谷川岳の有名おじさん?が温度計を雪に突き差し計測していた。今日で2,138回目の谷川岳登山、今度の目標は「目指せ3.000回」だそうだ。同じ山にこれだけ通うってどんな心境だろう?とにかくその執念には恐れ入る。そしてわずかで山頂。4人ほどが展望を楽しんでいた。快晴無風、素晴らしい展望だ。オキノ耳も指呼の距離だが、もう今日は満足。lここまででいいや、しばし冠雪した山々の展望に見とれる。凄い展望、最高!と妻に電話を入れる。
万太郎方面、展望最高! 風雪に耐える肩ノ小屋 左が我がスノーシューのトレース

 記念撮影のあと肩ノ小屋で休憩。有名おじさんも休んでいた。入り口のドアは雪で閉まらなくなっていた。土間まで雪が吹き込んでいる。う〜ん造りが悪いのかなあ…
  
 さて、素晴らしい展望に別れを告げ下ることにしよう。肩の広場はちょっと急なのでアイゼンで下ったが、途中からスノーシューに変更した。トレースのないところを選んで下る。こちらの方が下りやすい。右手には西黒尾根の険しさとはまた違った景観が目を引きつける

 熊穴沢避難小屋までスノーシューでは厳しい下りが続く。急な坂はどうしても爪先の方に力が入り、下手するとつんのめってしまう。どうにもそのままでは下れないと言うようなところは尻餅をついて滑る方が楽だ。これがまたおもしろい。そんなところが何カ所もあった。

熊穴沢の小屋 小屋に到着する。去年の同じ日に来た時より雪が多い。屋根の部分が少し出ているだけ。凄い積雪だ。これからはのんびりと稜線歩きが続く。このあたりからは西黒尾根、天神尾根の歩いてきたコースが一望に望めるので感慨もひとしおだ。あの急な登り辛かったなあ等と思いはつきない。
 そして一旦登り天神平スキー場が見えるピークに到着。スキー場は静かだ。音楽もなっていない。今日はクリスマスイブ、若者達はスキー場より街でデートかなあ。我が輩も以前はクリスマスイブは繁華街に繰り出し騒いだものだが、今の時代、家族でクリスマスパーティーだよね。さあ、急いで帰らなくっちゃ(^_^;)

田尻尾根から望む西黒尾根 でもロープウウィは使いません。下りは田尻尾根だよね。このコース殆ど歩く人は居ないんです。そう、やっぱり山は歩いて登って歩いて下る。これですよね。トレースはありませんが、下りだったら問題ないでしょう。ここからがスノーシューの本領発揮、いやあ、快適快適。とはいっても急な下りは慎重に転ばないように滑りも交えながら下る。木の脇によると要注意です。突然身体が無重力状態になる。ズボっと腰くらいまで潜ることもしばしば。これが楽しいんです!

 途中からスノボーのトレースが合流した。そういえば、去年はこのコースでスノボート危うく衝突しそうになったんだよね。スノボーのトレース、急な坂はよけい歩きにくい。堅くなっているので下手するとズルズルッと思いがけなく滑るんです。これはやばい。自分で意識して滑るときと、おっとビックリ滑っちゃったというのは心構えが違いますよね。

 で、トレースのないところを選んで歩く。ロープウエイが頭上に見える頃になると勾配も急になる。木も伐採されており手がかりもない。ここは急過ぎて滑るのもやばそうだし、定石通りジグザグに進路をとる。ロープウエイからは「あ、あんなところ歩いてる」なんて言ってるのかあ…

 そしてスキーコースに出てわずかで土合口に到着。下山届けを提出し無事、今年最後の山歩きは終了した。今回は天候に恵まれ、人も少なく、今までで最高とも思われる山歩きだった。やったね、谷川岳万歳!
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