中ゴー尾根から谷川岳  2000年10月30日(月)小雨時々曇り、たまに雪

二俣から望む幕岩方面

 谷川岳、今年はちょっとご無沙汰してしまった。中ゴー尾根、谷川岳屈指の急登と素晴らしいダイナミックな展望といううたい文句に是非歩いてみたいと思っていた。噂通りの急登だった。でも生憎の天気で展望はお預けとなった。

【山 名】 上越 谷川岳(1,963m)
【メンバー 】 単独
【行 程】  谷川温泉…二俣(中ゴー尾根)…谷川岳…熊穴沢避難小屋(いわお新道)…二俣…谷川温泉
       0715     0825-30       1145-1155   1318              1410-20  1522
【地 図】  水上(1/25,000図)、谷川岳(昭文社エアリアマップ1/50,000図)


前日は大雨だったが、月曜日の天気予報は「曇りのち晴れ」と回復の兆し。谷川温泉のはずれにある無料駐車場に車を止め登山届けを提出し出発。
川沿いを進み東大寮の右手から樹林帯の道を歩く。澄み切った川を左手に見下ろしながら上流へとたどるとやがて牛首と呼ばれる川幅の狭くなったところに到着。
牛首付近の清流           二俣
ロープの張っている岩肌を慎重に進みところどころ河原の中を歩く。そしてだるま岩と呼ばれる巨岩の右手を通過する。このあたり少しわかりにくいが大きな赤ペンキを見落とさないように進む。そしてまた河原の中を歩きわずかで二俣に到着。右にコースをとればいわお新道だ。眼前には幕岩の大i岩壁が聳えているがあいにくの天候、圧倒的な山容と言うより、薄く靄のかかった岩壁は何か哀愁を感じさせる。
中ゴー尾根への取り付きがちょっとわかりにくかったが赤ペンキ印に導かれて無事取り付く。
苦しい登り               ヒツゴウ沢
昨日の雨のせいで足にまとわりつく笹や低木でズボンの裾をぬらす。ここらあたりから噂通りの急登となる。木の根っこ頼りの急登。低木の紅葉が綺麗だった。少し太陽も顔を出し、濡れた葉っぱがきらきらと輝きいい感じ。先ほどまでうっとおしかった雰囲気の歩きであったが、何となく華やかな感じになる。太陽の威力は素晴らしいなあ。
さすがの急登もようやく一旦終わりをつげわずかながらも平坦でゆっくりできる尾根に出た。左右には白いスジを引いたオジカ沢、ヒツゴー沢の景色が素晴らしい。このあたりまでが紅葉は見頃であった。しばし休憩。
寒そう! 樹氷 なにも見えない山頂
一旦少し下りまた登りとなる。このあたりからまた少し雨が降ってきた。樹林帯を終えると今度は岩が多くなってきた。雨に濡れた岩は凄く滑る。慎重に慎重に…大きな岩をよじ登ろうと小枝に掴まったらスルっと抜けた。そのとたん手がかりを失った体がズルッと2mほどずり落ちた。必死で岩にしがみつきかろうじて止まった。一瞬冷や汗がどっと出た。用心しなくっちゃ…1,500mあたりからコースに少しずつ雪が現れてきた。雨はそれほどでもないが、風が少し強くなってきたので雨具の上を着る。

急傾斜も緩やかになる。ついに谷川随一の急傾斜を登り切ったぞ~。でも展望はますます悪くなってきた。草紅葉と雪の白さが旨くマッチングしている。今期初めての樹氷に感動。ナナカマドの赤い実が氷に包まれていい感じ。わずかで万太郎山方面への縦走路に到着。ここからは新潟方面からの風が更に強くなり、顔にピシピシとあたる粉雪が痛い。

そして前方にぼやっと肩の小屋が見えてきた。やった~、やっと到着。小屋にはいると突然沢山の人々。今までただひとりの静かな(というよりちょっと寂しい)歩きだったので、人懐かしさがこみ上げてきた。とりあえず、カメラだけ持って山頂をめざす。
山頂までの道は気温がまだ零度までは行ってないのであろう、降った雪と雨でシャーベット状の道であった。山頂は誰もいない。風が強く寒い。急いで記念撮影。レンズに水滴がついて良い写真は撮れなかった。まあ、展望は全くなかったからそれでも良いけどね。

小屋に戻ると相変わらずの人出。15人ほどだ。どの人も身体から湯気をポッポと立ち上がらせている。温かい鍋焼きうどんを食べている人がいる。美味しそう…私はラーメンとビールだ。寒くてもやはりビールは旨い(^^;

隣に陣取った人としばし談笑。この人谷川岳は初めてなのだろうか?「山頂は後どれくらいですか?」と訪ねられた。その後も「谷川岳に熊はいるんですか?」「ガスのカートリッジ、余ったようだけどこのままはコンロを取り外していいんですか?」「寒いですねえ。もう雪が降るんですね」…カートリッジの件については、一瞬唖然とした。一回で使い切りと思っていたのだろうか(^^;  

外は時々強烈な風が吹いている。もうこの時期は本格的な傍観の用意が必要である。アイゼンも必要と思った。ピッケルを携えている人もひとり見かけた。山はもう冬です。慎重に、また装備は十分にする必要がありますね。
木道             避難小屋手前の鎖場
さて下山、下りは天神尾根経由いわお新道とする。久しぶりに天神尾根を下ったら、木道の部分が増えていた。しっかり整備が行き届いている。しかし、整備し過ぎといった感がある。こんなにしてしまうと何か谷川岳の魅力が遠のいていくようだ。この道は雪のあるときのみにしようかな…熊穴沢避難小屋手前のガレ場には鎖が張られていた。登山ブームで色々な人が登ってくるんでやはり必要なんだろうか?至れり尽くせりだなあ…

避難小屋から右に曲がりいわお新道を下る。結構急な下り。落ち葉に隠された木の根や石ころに注意しながら下る。それでも何度かズルッと転んだ。このコースはブナの木が見事だ。標高を下げるとまた紅葉がそこそ混み頃であった。
そして傾斜も緩やかになると二俣に到着した。雨も上がり晴れ間が覗いている。天気が悪いのは上の方だけだったようだ。幕岩方面は以前どんよりともやっている。谷川温泉までの道、このあたりはまだ紅葉はちょっと早い。さわやかな川の流れを楽しみながらのんびり戻った。
いわお新道のブナ林