上州玉原高原のブナ黄葉ハイク
鹿俣山(1,637m)、尼ケ禿山(1,466m)、迦葉山(1,322m)
1997年10月18日(土)晴れ〜19日(日)
ブナの原生林と湿原、紅葉を求めて以前から気になっていた玉原方面の山を歩いてきました。ついでに天狗の面で有名な迦葉山も行って来ました。秋晴れに恵まれ黄葉で顔まで黄色くなるのではと思える色づいた木々、素晴らしい展望、スリルある岩登りと満足の山行でした。
【行 程】 10/18 登山口…キャンプ場…鹿俣山…ブナ平…1302m峰…湿原…キャンプ゚場(泊)
1115 1245 1355-1425 1515 1540 1650
10/19 キャンプ場…登山口…センターハウス…登山口…第5鉄塔…尼ケ禿山…
0700 0720(車) 0725 0750 0815 0840-0920
第6鉄塔…玉原湖…センターハウス…弥勒寺…和尚岩…迦葉山…弥勒寺
1035-1045(車) 1120 1150-1215 1240-55 1325
先週末の北アルプスの疲れがとれないのか、せっかくの好天が期待されるのに早起きできなかった。近くて良いところは…と考慮の末、以前から行きたかった玉原のブナ林をのんびりテント泊で楽しもうと急遽決定。そそくさと準備、何か忘れ物はないかなあと思いながらもとりあえず出発した。事前の準備もなくガイドブックの写しだけでちょっと不安だ。
関越道沼田経由で玉原をめざす。街道にはリンゴの直売がにぎやかだ。スキー場が近くなる頃山肌は紅葉真っ盛りで期待は膨らむ。そしてオートキャンプ場と思われる駐車場に到着。キャンプ場への道が分からず、うろうろしていたらトイレの横に表示あり黄葉の樹林帯を歩く。しかしなかなかつかない。案内ではすぐの様だったけど…途中ペンションへの案内あり…そちらへ行ってみる。しかしキャンプ所場らしきところ無くどうしたことかぐるっと回って元のところに戻ってしまった(^^;
再度案内確認。なんだなんだ、ペンションの分岐より先にキャンプ場入り口って書いてるではないか。まあ、運動になって良かったじゃないと自分に言い聞かせ同じ道を歩く。そして今度こそその分岐を見つけ無事キャンプ場到着。黄葉の樹林帯の中に落ち着いた雰囲気のキャンプ場だ。さっそくテント設営、身軽になって先ほどの分岐に戻り鹿俣山をめざす。紅葉はあまり綺麗ではない。時期的に遅いんであろうか?赤が少なく、黄色も枯れた感じだ。しかしまあまあの感じである。登りも急でなくわずか数人に出会っただけで静かな山行だ。山頂手前ではちょっと急になったがなんなく山頂に到着。
さあ、ビールで乾杯だ!!と思ったが、無い……やはり忘れ物があったか…まさにビールが飲みたくなるような晴れわたった青空、素晴らしい山の彩り、爽やかな風…しかしビールはない。まあ、最近飲み過ぎてたから今日はノーアルコールデーとするか(^^;しかたなく武尊剣が峰の雄姿や赤城、榛名の展望で心を紛らわせる。谷川連峰も見えるそうだが分からなかった。で、下山開始とする。
下山はスキー場のゲレンデを横断しながら下る。玉原スキー場は何度か息子と来たことがあるが、雪がなければスイスイだ。リフトで登り降りれるかなあとビビッた急勾配も雪がなければ恐れることもない。スキー場を離れササの緑とブナの黄葉が目立ち始める。どこまでも続くブナの森、見事な巨木に圧倒される。そよそよと吹く風が心地よい。まさに心洗われる風景だ。木々の葉をくぐり抜けて降り注ぐ光が暖かさを運んでくる。光と陰、思わずシャッターを切る。
「誰がつけたかブナ地蔵さん 山の安全守っておくれ 道に迷ったら教えておくれ」
ブナ地蔵さんの格好が面白い。
そしてわずかの登りで1,302m峰だ。エナガが賑やかだ。玉原越の分岐から湿原をめざす。草黄葉といった雰囲気ではないが木道を歩くと尾瀬を思わせる。規模はあまり大きくなく、今の時期花もなくちょっと寂しい。ここらあたりは観光客も多く見かけるようになった。そして車道に出てわずかで「ブナの湧き水」だ。甘くて冷たく渇いたのどにはビールより美味しそうだ。キャンプ場に水場は無い為3L補給する。 数分でセンターハウス。ビールを買おうと立ち寄るが時間が遅いためかもう閉まっている。えっ、そんなあ…そばにいたおばさんにビール欲しいんだけどと言うと、裏口から入ったら中に自販機あるからどうぞって…まさに神様仏様、湧き水もいいけどやっぱり夜はビールがなくっちゃね…
ビールでザックは重くなったけどこれで一安心、足取りも軽く歩道をちょっと戻ったところから探鳥路に入りキャンプ場をめざす。沈みゆく夕日に暖かい日差しが森を包む。逆光に映える紅葉に思わずシャッターを切る。キャンプ場につくと数人のカメラマンが傑作をものにしようと撮影に余念がない。今宵は1人静かな夜かなと思っているとなんと車が上がってきた。上の大広場にはもう一台の車。ずっと下の方には車道が見える。なんと反対側からは容易に来れることに、重い荷物を背負ってやっとたどり着いた(といっても1.5時間位だが)私は少々がっかりする。車両乗り入れ禁止の柵をどけて上がってきたようだ(ルール違反はやめましょう)で、今宵は3組(自動車組は車中泊)
美味しいビールや夕食も終わり就寝までのひとときだ。寂しい夜を好きな本でもと思って持ってきた山と渓谷11月号、神々の山嶺をブナの湧き水で割ったウイスキーを嗜みながら読む。家ではなかなかこんなゆとりある時間はもてない。静かに夜は更けてゆく。満天の星空、そして月明かりに浮かぶ木々、テントに落ちる葉の音。自然っていいなあ…
自然っていいなあと思いウイスキーをちびりちびりやっていると、突然車中泊の一台が突然闇を切り裂くようなカーステレオを響かせる。寂しさを紛らすためかどうか分からないが全く困ったものだ。30分くらい続いたろうか、それでも疲れていた為いつの間にか寝てしまった。
朝…鳥の声に目覚める。山肌を朝の光が照らす。早い人はもうカメラを持って歩き回っている。近くにペンションがありそこの宿泊者であろうか。まずは熱い紅茶でゆとりのひととき、そして朝食もそこそこにテントをたたみ車に戻る。車道に出てスキー場の脇を通り駐車場まで焼く15分。そこよりセンターハウスに向かう。朝日に輝く黄葉は美しい。白樺、赤や黄色の木々の色が玉原湖の湖面に揺らぐ。ススキの穂がキラキラと輝く。紅葉の上には昨夜みたお月様がまだ頑張っている。う〜ん、絵になる光景だ。
車止めのゲートをくぐり登山口をめざす。うっかりしてると見逃しそうな表示を見つけいよいよ山道となる。こちらの黄葉も色づきがいまいちのようだ。しかしこのあたりはブナが多い。いつまでもこの自然を大切にしてもらいたいものだ。スキー場やダムが無かったらもっともっと素晴らしい光景だったに違いない。わずかで第5鉄塔に到着。北方向になだらかな山が見えるが、木々にじゃまされてどこかよく分からない。左の道をとり赤テープを目印に進む。道はわかりやすくそれほどの急坂もなくあっけなく山頂に到着。1人のおじさんが写真を撮っていた。
呆気なくついた割には素晴らしい眺望が待っていてくれた。玉原湖を全景に武尊山が雄大だ。右には皇海山であろうか、そして赤城山、榛名山だ。木々の間からは至仏山方面が見える。その左には越後三山や巻機山と思われる山容。北西の樹木の方を少し下ると谷川岳から朝日岳方面が望める。木々の葉が多いときはこの展望は得られないだろう。この標高でこの眺望はまさに儲けものだ。時間があれば迦葉山まで歩いてみようと思ったが帰路が遠くなりそうなので縦走は諦める。で、下山開始。
帰りはわずか下った分岐から左に折れ第6鉄塔経由で玉原湖に降りる。ところどころ真っ赤な楓類が目を楽しませてくれた。湖のほとりではたくさんのススキが風になびいていた。秋だなあ…
車道に出て湿原の入り口に到着。自然環境センターに寄っていこうと思ったが今日も閉まっていた。今に時期は開いてないのであろうか?ブナの湧き水でお土産用にまた3L補充する。今晩も水割りが楽しめるなと口元が緩む。そしてセンターハウス到着。満車状態の盛況だ。これより迦葉山の登山口、弥勒寺をめざす。
いろは坂のような道路沿いの紅葉はまさに旬だ。鹿俣山や尼ケ禿山ではこんな素晴らしい紅葉はみれなかったが時期が遅かったのであろうか…弥勒寺への道は結構車が多く時間を要してしまった。寺の前には道路まで車がいっぱい、殆どが参拝だけのようだ。ここ迦葉山は天狗の面で有名である。
さっそく天狗様にご対面…でっかいなあ〜
そして寺の裏より山道に入る。さっそくの急登である。こちらもブナの巨木が見事である。落ち葉で急坂は歩きにくい。しかしつらい登りだ。
程なく大きな岩峰の下に到着。和尚台といって古びたお堂のあるところだ。岩の割れ目には鎖がつけられている。狭い隙間を登るとまた小さなお堂があった。ここまで来るのも一苦労であったが、割れ目をくぐって抜け出たところでまたびっくり。まだまだ岩峰の頂は上の方だ。首を伸ばして覗いても上は見えない。4本の鎖を頼りに登る。足がかりはあるがちょっと間違えば絶壁の方に振られるんではと不安になるが一歩一歩慎重に登る。途中で緊張で息が切れ一休み。そしてようやく到着。
いやあ、絶景だ。山頂方面には色とりどりの素晴らしい紅葉、紅葉。この二日間で一番素晴らしい色づきであった。それに足もすくむ高度感、切れ落ちる岩峰。う〜ん、満足…さあ、降りるぞっと気合いを入れ慎重に降りる。降りる方が難しい。まさに緊張が走る。この岩場は迦葉山で一番のポイントであろう。しかし鎖が苦手な人は登らない方がよいだろう。登っても降りれなくなったら大変だ。
ここからさらにきつい登りが続き「御嶽山大紳」の大きな石碑に到着。ここからは割と平坦な歩き数分で山頂に到着だ。稜線尾根の一部といった感じで木々に遮られ眺望は良くない。わずか南方面が開けているがあいにく靄ってきて眺望は良くなかった。
ここから先ほど歩いた尼ケ禿山迄の表示もあるがあまり歩かれてないようだ。
さあ、下山開始。急な坂は歩きにくい。時間的にはわずか30分で下ってしまったが歩きごたえのある山であった