平標山の山頂から冠雪した真っ白な谷川連峰を眺めてみたい。この思いにかられ二度目の挑戦。まだ
国道沿いの駐車場は除雪していない。別荘地の道を奥に進み登山道の様子を確かめるがトレースもない。今日も断念かと引き返そうとしていると、この別荘を管理している人だろうか、おじさんが「ここは駐車できないよ」という。駐車するつもりもなかったが「平標山行きたいけどどこか駐車場ないですかねえ。教えて」というと「わかりません。とにかくここは駐車禁止です」。何とも無愛想なおじさん。松手山の方のコースはトレースあるかなあと言ってみると、またもやおじさんが出現「駐車禁止って言ったでしょう!!」「コースを見に来ただけですよ!!」とついつい言い返してしまった。
嫌な気分になり、平標山まで嫌いになってしまった(^^; やはり駐車場が除雪されるまで待つしか無いなあ…
妻に予定変更の連絡を入れる「えっ、またあ…」と笑われてしまった。
白毛門へ
で、またまた前回と同様、近くて良き山、谷川岳へと車を走らせる。道々谷川連峰の冠雪した勇姿が望める。
今日も谷川岳は快晴だ。時間も遅かったので楽々ロープウエイで谷川岳を目指そうかとの誘惑にかられたが、
ちょっと体ををいじめたくなって白毛門へ登ることにした。こちらも登山口の駐車場は除雪していないので土合駅前に停める。登山口は全くトレースがない。橋を渡ったところから山肌沿いにカンジキの後があった。よし、誰か入山していそうだぞと、スノーシューを着けて後に続く。河原はマシュマロみたいなポッチャリとした雪景色。トレースを外れて雪と戯れ進む。前方には真っ白な武能岳が太陽に輝いている。
マシュマロのような雪
めざす白毛門は一旦川を渡らなければならない。浅いのでスノーシューを着けたまま渡る。このあたりから先行者のトレースはない。どうもこのあたり周遊し、川沿いに登っていったようだ。これから先は
マシュマロのような雪を独り占めだ!!
と喜んでいたのもつかの間、わずかで急な登りとなる。直登は厳しい。股下までの深い雪、急なところでは胸まである感じだ。ジグザグに登りようやく尾根に出る。この先こんな感じじゃあ、先が思いやられるぞ。早くも
登頂は無理かなあと諦めムード。
でも行けるところまで言ってみよう。リタイヤタイムリミットは12時と心に決める。
急登
尾根に出れば楽になるだろうと思ったが、甘かった!雪の少ないところは凍っている。凍っていないところを歩こうとすると雪が深い。凍っているところが多ければアイゼン着けて登れるんだが、ほとんどは深い雪…
念願の谷川岳が樹間から見えたときには、やった〜、今日の
目的はとにかく達したぞと元気を出す。天気も午後からは下り坂のようだ。とにかくさっそく写真を撮る。
撤退決断
さて、一度見えたら、やはり欲が出てくる。もう少しはっきり見えるまで登ろう。できれば、松の木沢の頭あたりまでは行きたいなあ。せめて白毛門の
山頂だけでも拝みたいものだと先に進む。アイゼン着けようか、スノーシューでそのまま進もうかと多いに迷うような道が続く。急な尾根の登りはスノーシューではきつい。坪足ではもう股下まで埋まってどうにもならない。そして悪いことに時々アイスバーンが出現する。う〜ん、
ここらが限界か!!天気も少しかげってきた。タイムリミットにはもう少しあったが、ここらで気力が途絶えた。
よし撤退!!やはり一人の力には限界があるなあ、とつくづく感じた。2時間でわずか標高400mしか登っていない。ここももう少したって雪が締まり、登山者が多くなる残雪のころの方が良さそうだ。眼下には土合方面が見える。
風との競演
撤退を決めたら焦りが無くなりのんびりとした気分になった。まず、妻に登頂断念の連絡「残念だったね、でも
無理しない方がいいよ」と慰められる。
そうだ、今日は平標山の山頂でハーモニカを楽しもうとザックに入れていたのを思い出す。さっそく名曲を披露する。観客は谷川岳東壁だ。強い風に乗って谷川岳まで届くことを期待して(^^;
あれっ、なんか変だなあ。ハーモニカ壊れたかな?なんか変な音が混ざっているなあとハーモニカを眺めていると、ひとりでに音が出ている。すわっ、白毛門の妖怪か透明人間か…
幽霊の正体見たり枯れ尾花
って言う感じでその原因が判明。なんともう一人の
演奏者は「風」だった。先ほど空風が吹いて粉雪が待っているなあって思っていたが、その風が奏でていたのだ。
なんか我が輩よりも上手だなあ…面白くなっていろいろと角度を変えて風の演奏を楽しむ。しかし我が輩の方が上手なことが歴然とした。風は吸う音が出せないのだ!!でも上手い下手でなく音楽は楽しければいいのだ。
その後、数曲風と競演し下山開始した。
行きはよいよい、下りは怖い!
今日のスノーシューはちょっと大きめのものだ。急な坂は下りにくい。凍ってるところでは面倒くさいがアイゼンを着ける。頻繁にアイゼンとスノーシューを付け替える。スノーシューがあるとか選って転んだり危険な感じがする。やはりこんなところはカンジキの方が適しているようだ。よし、外そう。
しかし数歩も行かないうちにズボッとはまって身動きがとれなくなってしまう。急な坂で勢いがついた時に埋まると次の一歩の時、埋まった足に凄い衝撃がかかり、足が折れるんじゃ無かろうかと思ったほどだ。これならスノーシューの方がまだ楽だと再び着けて慎重に下る。いやあ、下りも疲れた!!
雪だるま
最後の方に我が輩以外のトレースがついていた。誰か登ろうとして最初の急登を越え尾根で断念したようだ。この急登は楽しかった。滑って降りる。ブレーキも利かず雪だるまになってしまった。いやあラクチンラクチン。あっという間に下ってしまった。登山口のポストは雪に埋まっている。ここで、一休み。甘酒とお汁粉で元気を付ける。「雪よ岩よ我らが…」とハーモニカで演奏。風の共演者はなく、暖かくのんびりしたひとときであった